キーワードは「成長」と「グローバル化」――IT各社の年頭所感から2010年の目標は(3/4 ページ)

» 2010年01月05日 10時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

ソフトバンクグループ 孫正義代表

 2009年は歴史的な政権交代がありました。これは昨今の日本を覆っている不安感を払拭するため、変革を求めた国民が出した1つの結果だろう。将来見込まれる人口減、アジアなど新興国の台頭、産業構造の変化などさまざまな要因により、日本の置かれた状況は、あらゆる面で劇的に変わりつつある。この誰も経験したことのない激動の時代で、われわれは何ができるのだろうか。

 過去の成功体験が通用しなくなった今、現在の状況を嘆くのではなく、むしろより良い社会へ変革できる大きなチャンスととらえている。最新の情報通信技術を産業・生活のあらゆる場面で徹底活用することで、「量」から「質」への転換を図り、業務・ライフスタイルに変革をもたらし、国際競争力を強化することによって再び世界をリードし、質の高い豊かな生活が実現できると信じている。

 その変革の源泉は、各企業・各人がそれぞれ保有する知恵と知識だ。この知恵と知識の自由な発露を制限することのないよう、そして、人々の活力を最大限に活用できるよう、市場環境の変化に合わせて、自由で公正な競争環境が徹底的に整備されることを切に望む。創業30年を迎え、「デジタル情報革命」というビジョンの実現に向けて一貫して取り組んできたが、次の30年のビジョンを社員とともに考えたい。30年後の人々が幸せであるために何ができるのか真剣に議論したい。そして世の中に掲げたいと考えている。

ヤフー 井上雅博社長

 2009年の年頭は「メタボ解消」で始めた。1年間経ってみて、無駄を省き効率的にした結果、ちゃんとメタボ解消できて、目に見えて筋肉質の会社になったと実感している。2009年は「守り」に一生懸命集中した1年だったが、ゲームでもなんでも「守ってるだけ」ではつまらないので、2010年は「攻め」で行く。

 せっかく手に入れた筋肉質の体形は維持しつつ、中長期に向けての必要な投資は積極的にしたい。つまり、選択と集中で、筋肉質に加えてさらに「アスリート体形・体質」を目指す。そのプロセスにはつらい筋トレもあると思うが、2009年にこれだけのメタボ解消を1年間でできたのだから、筋トレにも必ず耐えられると確信している。

 中長期で注力していく分野は、モバイル、スマートフォン、クラウド、インタレストマッチなどの広告、eコマースなどなど。選択と集中といっても、大きな分野がたくさんあり、「攻める」相手として不足はない。ぜひ今年も一緒にがんばろう。

楽天 三木谷浩史会長兼社長

 創業14年目を迎え、2010年を「Hop, Step, Jump」の「Step」の年と位置づけ、「真の世界企業への脱皮の1年」をテーマとしたい。楽天が成功モデルとなり、日本経済の発展に寄与していきたい海外進出のさらなるスピードアップを推し進め、海外に軸足をシフトしていく。

イー・アクセス 千本倖生会長

 モバイルを中心に、IT・通信分野は高い潜在成長力を持っている。一方、成長戦略を模索し続ける日本経済にあって、古い殻を破り、可能性を示し、社会を元気にすることが求められている。走りながら解を探す新興国の活気溢れる企業精神に、改めて謙虚に学び、今こそ、長期的な戦略に基づいた積極的な種まきをする時だろう。

 ベンチャー精神を忘れず、より良い経営を志す強い信念と、リスクを取り高い目標に挑戦する気概を持って、本年も前進していきたい。豊かな生活に向けて少しでも近づいていくことに、微力ながら貢献をしていく。

インターネットイニシアティブ 鈴木幸一社長

 21世紀の始まりは、さまざまな争いが、違った形で表面化してきた時代でもある。この時代に世界を仕組みごと変えてしまう可能性を持った技術革新が、情報通信分野に起こったインターネットだ。

 クラウドコンピューティングという言葉は、あらゆる情報システムがネット上に存在していく過程の象徴的な意味合いを持っている。それはメディアを含めた情報のあり方、コンピュータシステムそのもの、あらゆるデータの持ち方など、世界規模で根本の変化を促す。より本質的な変化が具体化を始めた2010年は、われわれにとってインターネットの商用化を始めたときと同じような、重要な意味を持つ年になる。「信頼性・品質」という創業以来の社是を踏まえ、大きな革新に貢献していていきたい。

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