NTTコミュニケーションズの仮想ホスティングを検証:グローバルなクラウド――海外でのビジネスを支えるICT基盤

各国拠点間のサーバ統合に求められるITガバナンス、SOX法など各国の法規制への対応、TCOの削減――持続的な成長を求めてグローバル経営に舵を切った企業が直面するのが、ICTインフラの構築と運用にまつわる課題だ。NTTコミュニケーションズはこれに「仮想化技術を活用したグローバルなクラウド」で応える。同社のクラウド型仮想ホスティングサービス「Bizホスティング グローバル」の特徴やユーザー企業にとっての利点を探る。


グローバル展開で直面する今日的課題

 景気後退を受け、内需の伸びに限界を感じた企業が相次いで海外市場に進出しようとしている。既に海外進出した企業も、新潮流をとらえて競争力を向上させるべく、経営スタイルを大幅に見直している。グローバル経営は日本企業のキーワードとなった。

 企業がグローバル戦略を推進するに当たっては、本社と海外の各拠点を結ぶグローバルなICTインフラの構築が前提となるのは言うまでもない。企業のCIOやITマネジャーは、グローバルなインフラの設計・構築・運用に関するさまざまな課題に直面する。

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)でサービスディベロップメント部門担当部長を務める和泉雅彦氏は、企業のグローバル展開における今日の課題として、「ITガバナンスの強化」「TCOの削減」「事業継続性の確保」の3つを挙げる。

nttcom61.jpg NTTコミュニケーションズ グローバル事業本部 サービスディベロップメント部門担当部長 和泉雅彦氏

 SOX法のような各国の法規制に対応しつつ、各拠点のITシステムにガバナンスをきかせるために――1つ目の課題であるITガバナンスの強化は、グローバル経営を成功させる最大の鍵となる。2つ目のTCOの削減については、昨今の厳しい経済環境の下、どの企業もIT部門にコスト削減を要請している。当然、グローバルなインフラの構築・運用においても例外ではない。

 3つ目の事業継続性の確保も、グローバル経営を支えるICTインフラの前提条件となる。ネットワーク・トラフィックの急激な増大やシステム/ネットワーク障害の発生時にも安定してビジネス・サービスを提供し続けるためには、自社のBCP(事業継続計画)/DRP(災害復旧計画)をグローバルレベルにまで引き上げて検討し策定する必要があるのだ。

 これらの課題にこたえるべく、NTT Comは、インフラからアプリケーションに至るICTの広い範囲にわたってソリューションを提供している。同社は現在、「BizCITY」と呼ぶクラウド型サービスコンセプトを提唱している。これは、ユーザー企業が“いつでもどこでも安心・便利にICT環境を構築できる”ようにするためのコンセプトであり、海外での提供も積極的に展開している。2010年1月、同コンセプトに基づいた、クラウド型の仮想サーバ・ホスティングをワールドワイドに提供するサービスとして「Bizホスティング グローバル」の提供をスタートした。

 以下では、企業のグローバル展開を支援する「Bizホスティング グローバル」に備わる特徴、優位性と、ユーザー企業にとっての導入メリットを、IT部門が現実に直面している課題に照らしながら詳しく見ていくことにする。

「Bizホスティング グローバル」の特徴

 各拠点に散らばる業務サーバのグローバル規模での集約・統合は、以前より世界の各地域でデータセンターを運営しグローバル企業のニーズにこたえてきたNTT Comにとっては、既に多くの実績と経験を有する分野である。例えば、同社の「プレミアム・データセンター」は現在海外19カ国/地域・29都市で運営されており、北米、欧州、アジアの各地域においてホスティング・サービスを展開している。

 また近年は、そうした基盤サービスのみならず、パフォーマンス管理やアプリケーションマネジメントといった上位レイヤ系のソリューションも手掛けている。具体的には、各種モニタリング、WAN高速化、セキュリティといったソリューション群が用意されている。

 こうしてNTT Comが培ってきたグローバル・インフラの構築・運用ノウハウをベースに、ここ数年で企業から大きな注目を浴びるようになったクラウド・コンピューティングのコンセプトおよび仮想化技術を取り入れ、各拠点のサーバ集約・統合を効率よく、かつ低コストで実現するソリューションとして構成されたのが「Bizホスティング グローバル」だ。同社は、これまで各地域内のニーズに対応するためにホスティングサービスを展開してきたアジア(香港)、北米(米国東海岸・西海岸)、欧州(英国)の3地域において統一仕様の仮想ホスティングサービスを提供する(2010年6月にはシンガポール拠点での提供も開始予定)。

 仮想ホスティングサービスとは、その名のとおり、仮想化技術によってサーバ・リソースの管理/構築を行って複数拠点間の柔軟なサーバ集約・統合を実現し、ユーザー企業にサービスとしてICTインフラを提供するものだ。

 和泉氏は、「クラウド・コンピューティングならびに仮想化のニーズの高まりを受けて、当社としては、MNC(多国籍企業)が安心して採用できるような共通仕様のグローバルな仮想ホスティングを提供しようと考えた」と説明する。なお、同氏によれば、NTT Comは、北米と欧州において、すでに仮想ホスティングの提供実績を有しているという。

 「Bizホスティング グローバル」ならではの特徴と呼べるのが、Webブラウザ・ベースの監視・管理ポータル「カスタマーポータル」だ。同ポータルは、「Bizホスティング グローバル」の全タイプにおいて標準で提供され、ユーザー企業は、各拠点に分散した仮想インフラに対して、リモートで一元監視・管理を行える(備わる機能の詳細については後述)。

仮想ホスティングならではのメリットを享受する

 「Bizホスティング グローバル」の導入がユーザー企業にもたらすメリットには、具体的にどのようなものがあるのか。和泉氏は、主要なメリットとして、1.TCO削減と信頼性の向上、2.容易かつ迅速な導入、3.カスタマーポータルによる迅速かつ容易な管理、4.ネットワーク遅延問題の解決、5.クラウド利用時に課題となるコンプライアンス問題の解決の5つを挙げる。以下、同氏の説明を基に順に紹介しよう。

nttcom62.jpg 「Bizホスティング グローバル」の特徴

1.TCO削減と信頼性の向上

 上述したように、IT投資抑制のプレッシャーが強まるなか、TCOの削減はCIOやITマネジャーにとって至上命題となっており、仮想化技術がもたらすITコスト削減効果への期待は非常に高まっている。同技術に基づく仮想ホスティングは、サーバ台数の削減、サーバ追加時の導入期間の短縮とそれに伴う労力の軽減、そして電力需要の抑制といったコスト削減効果をもたらすものだ。

 TCO削減と同時に、「Bizホスティング グローバル」では信頼性の向上も追求されている。仮想化技術によって拠点ごとの冗長化構成を低コストで実現できるうえ、物理サーバでは難しいとされる保守作業時のノンストップ運用や、決算期、大型イベント開催時など特定時期に発生するサーバへの急激な負荷集中を見越しての負荷分散やリソース割り当ての自動実行も可能だ。

2.容易かつ迅速な導入

 グローバル・インフラの構築に当たって、多くの企業で高いハードルとなるのが、海外拠点でゼロからインフラを構築するのに掛かる作業の手間や期間の問題だ。現地でのデータセンター/ベンダー選定に始まり、サーバの調達と構築、ネットワーク接続、運用監視体制の構築といった作業をこなしたうえで、運用時には各サーバの監視、故障時対応体制や現地の言語に対応したサービスデスク業務体制の構築などの業務が発生する。

 このほかにも、現地ベンダーとのサービス契約/SLA交渉、IT資産管理など多くの煩雑な業務が担当者を待ち受けることになる。その間、担当者は現地に何度も足を運んで現地でのスタッフ雇用に奔走したり、カルチャーの異なる現地のベンダーと苦労して交渉や購買を行ったりと、場合によっては、サーバを1つ調達し構築するだけで数カ月単位の期間を要してしまうことがあるのだ。

 一方、「Bizホスティング グローバル」を導入した場合、担当者は上記作業の大半から解放され、ビジネス計画に沿って迅速にグローバル・インフラを調達し、必要なアプリケーションをインストールした後、直ちに利用することが可能になる。

 仮想ホスティングによるグローバル統合という新しいアプローチに不安を抱く企業にとっては、統合プランを設計する段階で的確なコンサルティングを受けられるかどうかが重要だ。その点では、グローバルでの豊富な運用実績に裏打ちされた質の高いコンサルティングを提供できることもNTT Comの大きな強みだ。

 「現地法人のシステムインテグレーターやSEが要件に沿って動くだけのコンサルティングではなく、例えば日本の顧客に対しては当社からコンサルティングを提供し、海外の顧客の場合は、向こうで現地のスタッフがお客さま側の担当者と話をさせていただくといったコンサルティングもグローバル体制で提供することを旨としている」(和泉氏)

 ちなみに、和泉氏によれば、近年、欧米の顧客からは、サーバ統合だけにとどまらず、メールシステムなど上位レイヤ系のアプリケーションもグローバルで集約・統合したいという要望が多く寄せられるという。「Bizホスティング グローバル」では、オプションの1つとしてMicrosoft Exchangeの構築・運用サービスが用意されている。同オプションでは、BlackBerryスマートフォン端末を組み合わせた、オフィス/モバイルのシームレスなメッセージング環境をグローバルで管理することも可能になっている。

3.カスタマーポータルによる迅速かつ容易な管理

 Bizホスティング グローバルの顧客専用の監視・管理ポータルとして用意されるカスタマーポータルでは、仮想サーバ環境の構成管理や性能・リソース監視に加えて、仮想マシンを操作してのリソース割り当て変更、仮想サーバのリブートなどの作業をリモートで容易に行うことが可能だ。これにより、サービスに関する高い可視化を実現するとともに、変更作業にかかる時間の大幅な短縮が実現される。

 カスタマーポータルは、過去にさかのぼってサーバの稼働状況を確認する機能も備えており、企業は、将来にわたるIT資産計画やキャパシティ管理までを一元的に行える。なお、NTT Comでは、カスタマーポータルによる監視・管理業務のアウトソーシングにも対応する。

nttcom63.jpg カスタマーポータルによる迅速性の実現

4.ネットワーク遅延問題の解決

 グローバル・インフラを構築した企業の間でよく話題に上るのが、ネットワーク遅延の問題である。国内企業だと、管理のしやすさから日本への集約・統合を選ぶ企業は少なくないが、十分な帯域を確保して構築したものの、実際に動かしてみると遅延が生じてしまうといったケースがままあるという。1拠点のみを中心としたサーバ統合をグローバルに適用した結果、距離(遅延)に伴ってスループットが大幅に低下し、パフォーマンスに著しい影響を与えてしまうのである。

 「Bizホスティング グローバル」では、こうした一極集中の弊害を考慮し、上述したような3地域で統一仕様でのサーバ統合モデルを採用している。そのため、地域ごとの集約による分散統合での遅延対策を十分に行うことができる。

5.クラウド利用時に課題となるコンプライアンス問題の解決

 近年、企業経営においてコンプライアンス(法令順守)の徹底が叫ばれるようになり、ほとんどの大手・中堅企業では、自社の事業と密接にかかわるITの領域において厳格なコンプライアンスを推進している。

 和泉氏は、クラウド・コンピューティングに対する企業の関心は高いものの、主に米国のクラウドプレーヤーが提供するようなパブリック・クラウドのイメージに引きずられるかたちで、「クラウド=出所が定かではないリソースを活用すること」といった印象を抱いてコンプライアンス面を懸念するユーザーの存在を認める。そのうえで、同氏は次のように強調する。

 「NTT Comが提供する仮想ホスティングが、パブリック・クラウドとは一線を画したものであることは強く訴えていきたい。Bizホスティング グローバルでは、セキュアなプレミアムデータセンターにおいて高品質なネットワーク、充実したサポートの下、カスタマポータルを通じて、所在が明確化されたサーバ・リソースが提供されていることを顧客自身の目で確認してもらうことができるので、不安は払拭されるはずだ」

 なお、同社は顧客企業のニーズに応じて、例えば基幹サーバは従来どおりオンプレミス(自社環境)で物理サーバを運用しながらも、特定の業務アプリケーションについては仮想ホスティング環境上に構築するといったハイブリッド型のインフラ構成にも対応していく構えだ。しかもその際、「Bizホスティング グローバル」のカスタムポータルを介して、仮想サーバ群だけではなく、物理サーバ群も併せて監視・管理が可能になっている。

仮想ホスティングの導入によるコスト削減効果

 以上、NTT Comの「Bizホスティング グローバル」に備わる特徴や優位性、ユーザー企業の主要な導入メリットについて紹介してきた。最後に、構成例と概算利用料金を確認しておきたい。

 企業は、自社のシステム規模や用途などに応じて、CPU数やメモリ容量、ストレージ容量の異なる、「Fundamental」「Enhanced」「Premium」の3種類の構成タイプから選択することができる。3タイプはすべてSAN(Storage Area Network)ベースの外部ストレージの利用が前提で、これらのほかには評価用として使うことを想定した内部ストレージのみで構成される「Stand Alone」も用意されている。

 図に、標準的なEnhancedタイプを利用した場合のシステム構成例と概算料金を示す。8コアCPUを搭載したエンハンスドサーバ2台(冗長構成)/仮想マシン(仮想サーバ台数)16(OSはWindowsとRed Hat Linuxが各8)の構成で、初期費用は62万4000円、月額費用が103万2000円となっている(外部ストレージ料金は含まない)。

 同様の構成を物理サーバで構成した場合、OSを含めた初期費用は概算で200万〜300万円に達し、仮想ホスティングの採用によるコスト削減効果が明らかである。各拠点に運用スタッフを配備する人件費なども不要なため、導入後の運用管理コストについても大幅な削減が期待できる。

nttcom64.jpg 「システム構成例・概算料金」

 「Bizホスティング グローバル」は提供が始まったばかりの新しいサービスであるが、NTT Comは、今後のサービス拡充として、3地域をまたがるサーバのレプリケーションサービスの提供計画を明らかにしている。これは、グローバル環境で仮想サーバを複製し、遅延の発生しやすい拠点においても、データ転送にかかわるパフォーマンスの劣化を最小化したうえで提供されるサービスで、グローバル規模のディザスター・リカバリ・ソリューションとしても有効であるという。

 和泉氏は、「経済環境は大変に厳しいが、ビジネスの動きも速い。グローバル戦略を敢行する顧客企業のニーズに応えるために、短期構築が可能な俊敏なサービスをタイムリーに提供する。注目のクラウドや仮想化技術を最大限に生かすとしたら、まさにこの分野だろう」と語り、クラウド型仮想ホスティングサービスの今後の発展に自信を見せる。

 もちろん、長年培ってきたグローバル・インフラに関する技術や経験、ノウハウに裏打ちされた“グローバル・クラウド”であることがNTT Comの最大の強みであり、ユーザー企業にとっては、サービスの拡充計画も視野に入れながら、グローバル・インフラ構築の有力な選択肢として検討に値するサービスだといえるだろう。



提供:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年2月28日