コラム
» 2010年01月14日 08時00分 UPDATE

Architecture for Modular Data Centers:コンテナ型データセンターは日本に根付くか? (1/2)

コンテナ型データセンターという日本ではまだなじみが薄いソリューションが持つ可能性について論じてきた本連載も今回で最終回となる。今回は、コンテナ型データセンターの事例を中心に紹介するとともに、その課題について考えます。

[James Hamilton,ITmedia]

はじめに

 本稿で紹介する論文「Architecture for Modular Data Centers」は、ジェームズ・ハミルトン氏が2007年1月に発表した、コンテナデータセンターの優位性を示すものです。同氏は、Microsoftにおけるデータセンターアーキテクチャの責任者を務め、その後、Amazonの役員に就任した人物です。移籍の後も、AFCOMやGoogle Data Center Summitで講演するなど、未来のデータセンター像を模索するアーキテクトたちに、有益な情報を提供しています。

 「データセンターのシステムパッケージングに対する発想の転換」では、最新のデータセンターの多くが、汎用のコンピューティングクラスタで構築されていること、また、こうしたトレンドの要因について解説しました。また、「全方位から検証するコンテナデータセンターの優位性」では、データセンターの構築、管理、増築にフル実装した搬送用コンテナを利用するというソリューションについて、さまざまな角度からその効果を検証しました。最終回となる今回は、事例を中心に紹介するとともに、その課題について考えます。

4:事例(2007年1月時点)

 データセンターの設計ではよくあることだが、搬送用コンテナに関連する初期のイノベーションは、通信業界に出現した。

 通信企業は、交戦地帯、工事現場、被災地域など、機器を設置できる屋内スペースのない場所に通信設備を迅速かつ安全に供給する必要がある。その結果として、ISO 668搬送用コンテナが一般的な選択となり、また、Nortel Networksのような企業の価格リストにも掲載されるようになった[16]。

 工場出荷時に設定を行い、耐水性のあるスチールボックスで、迅速かつ安価に搬送できる点は魅力的である。さらに、このユニットを駐車場や屋上に配置することで、設置のために充分なスペースが確保できない場合でも、通信設備の拡張が可能である。

 このコンテナ化で実現する低価格で迅速な実装技術に着眼した大規模電力企業は、コンテナを輸送手段兼大型発電設備向け筐体として導入している。こうしたフォームファクターの2メガワット以上を供給するコンテナが、複数のベンダーから提供されている[4][6]。

Rackable Systems(現SGI)のボックス型データセンター 図3:Rackable Systems(現SGI)のボックス型データセンター

 コンテナ化された搬送と供給のアプローチを、Internet Archiveプロジェクトの一部としてデータストレージに適用した点で、ブリュースター・ケールは先駆けであったといえるだろう。ケールが提起し構築したPetabox[12]は、ペタバイトのストレージをサポートするストレージサブシステムで、世界中のあらゆる場所へ向け、ストレージを効率よく配置、搬送できるというものだ。

 Rackable Systems(現SGI)は、40フィートのトールボーイ型(高さが標準の8フィートではなく9フィート6インチ)のコンテナにマクロモジュールを組み込んでいる(図3)。同社のデザインでは、1152台のシステムを収容するという、きわめて高いシステム集積度を維持する一方で、容易なサービスを実現するための通路も提供する。


Rackable Systems(現SGI)の空冷デザイン 図4:Rackable Systems(現SGI)の空冷デザイン

 Rackableは何よりもまず電力と冷却に重点を置き、1)750ワット/スクエア・フィート程度の高電力密度を達成し、2)冷却のための電力使用を、全体の30%に引き下げることを目指した。冷却における省電力は、密閉されたコンテナ内の気流を改善し、また、ファンのスピードと放熱装置上に配置された冷却水流を制御することで達成される(図4)。このデザインについては、適切なスケールダウンが可能なため、一般的な20フィートユニットにも適用できる。

 Rackableのデザインはまだ公表されていないが、そこで使用される完全な汎用性を持つコンテナがすでに顧客サイトで利用されている。


Sun MicrosystemsのBlack Box 図5:Sun MicrosystemsのBlack Box

 Sun Microsystemsも最近、計画中のマクロモジュールデザインが、2007年の夏に完了すると発表した。そのアプローチは、ここで述べているものと多くの類似性を持っている(図5)。Sunの現行プロトタイプは、20フィートの搬送用コンテナをベースにして、242台のシステムをサポートするという。これは、40フィートコンテナで1152台のシステムをサポートするRackableデザインの約半分の集積度に相当する。

 これまでに説明してきたわれわれのアプローチは、通信企業、発電、データストレージドメインに適用されており、モジュール式データセンターの構築、または拡張に採用されている。同様にGoogleも、カリフォルニアの本社で類似のプロジェクトを推進しているが、その細部は公表されていない。その作業は公には確認されていないが、ロバート・X・クリングリーというペンネームで報告されている[5]。

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