世界で勝つ 強い日本企業のつくり方

グローバルネットワークの潮流は「階層型」へ世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(2/3 ページ)

» 2010年01月21日 07時00分 公開
[百瀬崇,ITmedia]

最初に選ぶサービスは「IP-VPN」

 グローバルネットワーク市場はここ数年、右肩上がりで成長している。地域別でみると日本を含むアジア太平洋が最も伸びており、経済活動の活発化と連動していることがうかがえる(図1)。

fig1 図1 地域別グローバルネットワーク市場の推移(出典:ガートナー)

 サービス別では専用線が減少し、IP-VPNと広域イーサネットが増えている(図2)。特にIP-VPNは、専用線を抜いて最も多く利用されるようになった。これらも、サービスを選ぶにはIP-VPNに注目したい。

fig2 図2 サービス別グローバルネットワーク市場の推移(出典:ガートナー)

 IP-VPNは専用線よりも安価に利用できるため、導入が進んでいる。だが、通信事業者によっては専用線の方が安い場合もあるという。

 「IP-VPNは現在、カバレッジ(サービスを受けられる範囲)を広げている最中で、通信事業者にとって投資が必要なサービス。しかし専用線は既にインフラが整備されているので、それを利用してもらおうとIP-VPNを高値で提供している通信事業者もある」(田崎氏)からだ。企業ユーザーとしては、両者をよく比較してサービスを選ぶべきと言える。なお、広域イーサネットは現時点ではまだカバレッジが狭く、これからのサービスになる。

 最近増えてきているのが、データセンターを利用してスター型のグローバルネットワークを構築する方法だ。例えば、拠点をアジア太平洋、北米、欧州の3地域にまたがって展開している場合に、日本の本社からそれぞれの拠点を直接結ぶと距離が長くなり、遅延が大きくなる。拠点ごとにファイルサーバなどを管理していれば、運用の手間も増える。

 このため、3つの地域ごとにデータセンターを設けてそこを基点にスター型のネットワークを組めば、データセンターと拠点の距離が短くなり遅延を小さくできる。本社へのアクセスも減るので帯域の有効利用でき、普段の業務に使うサーバをデータセンターに集約して管理を効率化していける。

 「アジア太平洋、北米、欧州の3地域間では広域イーサネットを利用できるようになりつつあるので、バックボーンに利用すればいい。データセンターと拠点間は価格の安いIP-VPNか専用線を選ぶ。それほど重要でない拠点は、さらに安いインターネットVPNを使う手段も考えられる。1つのサービスに絞るのではなく、サービスを使い分けて“階層型”のネットワークを構築することがポイントだ」(田崎氏)

【ITmedia エンタープライズ『世界で勝つ 強い日本企業のつくり方』連動アンケート実施中】

お勤め先の海外進出状況などについて、ご意見をお聞かせください。

抽選で10名様に『Amazonギフト券(3000円相当)』をプレゼント! アンケートはこちらから。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ