成長著しい企業では、業務の質的・量的な変化に合わせ、使用PCもステップアップすることが多い。マーケティング事業を手掛けるディーアールエムがデスクトップPCのリプレースに踏み切ったのも、より多くのデータをスピーディに処理する性能が求められたからだ。リプレースを決断した背景やリプレース後の成果について、同社に聞いた。
ディーアールエム(以下、DRM)は、企業のマーケティング活動や営業活動のサポート事業を展開している企業。ダイレクトメールの送付代行、イベントやセミナーの集客、売り上げ分析、あるいは月次データの一括処理といった活動を支援している。
2003年の創業当初、預かったデータは顧客に返却していたが、信頼を得るに従って、データの更新・管理までも任せられるようになった。さらに、預かったデータを分析して新たな提案につなげるなど、より上流に近い業務も増えてきたという。
ビジネスが順調に拡大するとともに、預かるデータ量は飛躍的に増えた。その結果、従来のPCでは、データ処理が間に合わなくなってきたのである。
問題はもう1つあった。扱うデータの性質を考慮して、DRMではノートPCの使用を禁止していた。しかし、それによるデメリットもあったのだ。例えば、営業部門の社員は、メールの送受信、提案書や報告書の作成などを、必ず会社のデスクトップPCで行う必要があったという。
このため、セキュリティを担保したうえで業務効率を上げ、同時に従業員のワークライフバランスを向上させることが必要となっていたのである。
「扱うデータ量が飛躍的に増加する一方で、業務スピードに対するクライアントの要求水準も上がってきたが、それを処理するPCは以前に導入したモデルのまま。このままでは、顧客満足度の低下にもつながりかねないという状況だった。営業部門に関しても、セキュリティの観点からデスクトップPCを利用してきたが、メールを確認したり提案書を作ったりするためだけに会社に戻らなければならないのは、非効率。また、従業員のワークライフバランスの観点からも望ましくない。そこで、これらの課題を解決するため、全社的なPCのリプレースを決断した」(青木氏)
リプレースは、データの処理・分析を行うオペレーション部門と営業部門で実施。オペレーション部門はデータの処理性能を最優先し、vPro™ テクノロジー インテル® Core™2 プロセッサー搭載のOptiPlexと、インテル® Xeon® プロセッサー搭載のワークステーション Dell Precisionを導入。営業部門では、インテル® Celeron® プロセッサー搭載の古いデスクトップPCを、vPro™ テクノロジー インテル® Centrino® 2搭載のノートPC、Latitude Eシリーズにリプレースした。
リプレースの結果は、驚くべきものだったという。まず、OptiPlexとPrecisionを導入したオペレーション部門では、処理時間が42%短縮された。
テストには通常業務で使用するデータの数分の1のデータを使用。このため、現実の業務では、さらに大きな差が出ると予想される。
オペレーション部門は、データ処理の作業ウェイトが大きいため、処理時間の短縮により納品を早期化できるとともに、納品データの品質チェックにもより多くの時間を割けるようになった。
「デルのPrecisionシリーズには高い信頼感を持っていた。大きいデータの処理にはある程度時間が掛かるものだが、フリーズしたことは一度もない。今回もPrecisionシリーズを選択したことは、間違いではなかった」(青木氏)
青木氏のこのコメントに対し、デル マーケティング本部 クライアントソリューション・ブランドマネージャの堀内朗氏は、次のように話す。
「われわれのモットーは、業界標準のテクノロジーをできるだけ低コストで提供しITのシンプル化を実現すること。ワークステーションになると、ツールやユーティリティを追加して独自色を出したくなるものだが、そのために動作が遅くなったり、フリーズの原因になったりする可能性もある。できるだけ何も追加せず、OSの素に近いインストールイメージで納品することが、ユーザーの作業工数を減らせるベストの方法だと信じている。日本でビジネスをはじめて15年以上になるが、このスタンスは変わらない」(堀内氏)
スピードだけでなく、消費電力にも大きな違いが現れた。新しいOptiPlexでは、起動時に47%、高負荷時には62%もの消費電力を抑えられることが分かったのである。
「新しいPCの消費電力が、圧倒的に低いことが確認できた。また、オペレーション担当の社員からは、廃熱が減ったという声を聞く。オフィスでは、前の机に設置したPCから廃熱を直接受けるため、空気が乾いてのどを痛める社員もいたが、リプレース後は、そうした声はない。ファンの音が小さいことや、Windows 7の起動時間が高速なのも好評だ」(青木氏)
処理能力の向上と消費電力の低減には、インテルのテクノロジーが貢献している。インテル 営業本部市場開発マネージャー 矢嶋哲郎氏は、次のように話す。
「今回導入されたワークステーションのCPUには、2つの特徴がある。まずは、1つのコアで2つのスレッドを動かす“インテル ハイパースレッディング・テクノロジー”だ。これにより、処理速度が大幅に向上している。2つ目は“インテル ターボ・ブースト・テクノロジー”。従来は3GHzのプロセッサは3GHzでしか動作しなかったが、新しいCPUでは、温度などに余裕がある場合、ターボをかけてオーバークロック処理を行う。これにより、システム全体に余裕があるときは、高いパフォーマンスを発揮できる」(矢嶋氏)
インテルの試算でも、インテル® Pentium® D プロセッサー搭載のデスクトップからインテル Core2 Duo プロセッサー搭載のデスクトップに切り替えると、電力消費は約半分に抑えられるという。また、インテル Pentium D プロセッサー搭載のデスクトップPCから最新のノートPCにリプレースし、電源管理などの運用を徹底すると、電力消費が26分の1になるというデータもある。
営業部門に導入されたノートPC、Latitude Eシリーズ(vPro テクノロジー インテル Centrino 2搭載)の成果はどうだったのか。もともと、セキュリティの観点からノートPCの導入には消極的だった青木氏だが、考え方に何らかの変化があったのだろうか?
「ノートPCの導入を決断したのは、ノートPCのセキュリティ機能が向上したことも大きな理由だ。今回の導入にあたっては、パスワードで管理すると同時に、会社にデスクトップPCを1台置き、個人情報などの重要な情報はそちらで管理し、ノートPCに入れて持ち出さないという運用ルールを定めた。それによってセキュリティを担保し、ノートPCの機動力を活用することにした」(青木氏)
その成果は、従業員のライフスタイルを変えるほど大きいものであった。まず、営業部門の従業員は、メールを確認したり、提案書を作ったりするためだけに会社に戻る必要がなくなった。
「従来は会社で、時間を気にしながら提案書を作っていたが、ノートPCを入れてからは自宅で時間を気にすることなく作業できる。家族と顔を会わせる時間が増えたという声も聞いている」(青木氏)
クライアントに対しても、ノートPCによるプレゼンや提案書・見積もりの提出など、クイックなレスポンスが可能となり、従業員、会社、取引先の3者すべてにメリットがもたらされた。
ただし、現在の環境で十分とは青木氏も考えていないようだ。特にセキュリティに関しては、今後も継続的に強化を図るという。
その際には、今回導入したPCに搭載されるWindows 7が、大きな意味を持つことになるだろう。Windows 7のUltimate/Enterpriseには、標準で暗号化機能 BitLocker To Goが用意される。これは、ハードディスクやUSBメモリをまるごと暗号化する機能。コストを掛けず、手軽にセキュリティの強化を図れる。
BitLocker To Goの機能を引き出すには、ハードウェア側にTPM(Trusted Platform Module)というチップが必要だ。TPMによってセキュリティがより強固になると同時に、BitLocker To Goの設定作業が簡素化される。なおデルの法人向けPCのラインアップでは、ほぼすべての機種にTPMが搭載されている。
またデルのBTOを利用すると、ハードウェア単体でセキュリティを強化するオプションも選択できると堀内氏は紹介する。
「BTOの際に、ハードディスクのオプションで“FDE(Full Disk Encryption)”を選択すれば、書き込まれたデータをOSとは無関係にハードディスク単体でどんどん暗号化する機能を利用できる。CPUにも負担をかけないので、手軽にセキュリティを強化できるだろう」(堀内氏)
また、今回導入されたPCに搭載されているインテル vPro テクノロジーも、将来的には大きな意味を持つと考えられる。
「インテル vPro テクノロジーを搭載したPCは、PCの運用管理を支援する機能をハードウェアとして持つ。このため、OSが動いていなくても、あるいは電源がオフであっても、遠隔地からコンピュータにアクセスし、電源のオン/オフやBIOSの設定ができる。また、ユーザーが勝手にウイルス対策ソフトウェアや暗号化ソフトウェアを外した場合には、それを自動的に検知してネットワークから一時的に隔離することも可能。隔離後は遠隔地から適切な環境に戻したのち、再度ネットワークに接続できる。このようにPCの監視・制御が容易になる」(矢嶋氏)
今回導入したデルのPC群は、DRMがビジネスを拡大し、大きく成長していく、まさに土台(=プラットフォーム)としての役割を担う。青木氏はデル製品を使い続ける理由を次のように話す。
「以前、メモリのエラーが発生してデルのサポートに電話したことがある。その時のサポートの対応が丁寧で、印象に残っている。価格や性能はもちろんだが、サポートも含めた総合力で、デルを信頼している」(青木氏)
テクノロジーは重要だが、それと並んでユーザーとメーカーとの「信頼」も大切だ。信頼は一朝一夕にできるものではない。それはDRMのビジネスも、デルのビジネスも同じ。「信頼」は、デルのPCが持つ、最も大切なスペックなのかもしれない。
Windows7と最新クライアントPCとの組み合わせによって可能となる業務効率の改善、TCOの削減や一歩進んだ管理性など、デルが実現した優れたテクノロジーをWebcastにて紹介する。
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提供:デル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年2月25日