登場し始めた中堅・中小企業向けプライベートクラウドサービスの背景Weekly Memo(1/2 ページ)

これまで大企業向けが中心とみられていたプライベートクラウドサービスに、中堅・中小企業向けをうたう商品が登場し始めた。果たして同市場のIT投資活性化につながるか。

» 2010年02月01日 08時21分 公開
[松岡功ITmedia]

中堅・中小企業のIT投資に底入れ感

 IDC Japanが1月26日に発表した国内の中堅・中小企業のIT市場予測によると、2009年の同市場規模は前年比10.3%減の3兆4879億円、2010年は2009年見込み比1.7%減の3兆4270億円となる見通し。2008年から3年連続のマイナスながら底入れ感が出てきたことがうかがえる。

 ただ、景気低迷の影響による中堅・中小企業のIT投資引き締め傾向は大企業より長引きそうだ。IDC Japanによると、大企業のIT投資は2010年にプラス成長に回復するものの、中堅・中小企業のプラス成長への回復は2011年以降になると予測している。

国内中堅・中小企業のIT市場における産業分野別成長率予測(出典:IDC Japan)

 こうした中堅・中小企業のIT投資活性化につなげようと、これまで大企業向けが中心とみられていたプライベートクラウドサービスに、中堅・中小企業向けをうたう商品が登場し始めた。

 例えば、NECが1月21日に発表した「Cloud Platform Suite」は、クラウド環境の構築に必要なハード、ソフトをまとめて提供するパッケージである。具体的には、サーバ「Express5800シリーズ」、ストレージ「iStorageシリーズ」、ネットワーク機器「UNIVERGEシリーズ」、統合管理ソフト「WebSAM SigmaSystemCenter」、および基本構築サービスなどで構成されている。

 NECによると「各製品をあらかじめ組み合わせて検証し、必要なソフトをインストールして提供するため、ユーザーがシステム構築期間を個別製品で構築する場合に5日かかるところ、最短1時間に短縮できる」という。

 同社ではこの商品ラインアップに、導入の容易さを重視した中堅企業向けの「スタンダードパッケージ」を用意。サーバ、ストレージ、ネットワーク機能をコンパクトに集約した「Express5800/SIGMABLADE」をベースに、従来機と比べて30%軽量化したブレードサーバ新製品「Express5800/B120b-Lw」、ストレージにNASブレード新製品「iStorage NS500Ba」を搭載することで省スペース化を実現している。

 「初期コストを抑えたスモールスタートが可能」というこの商品、NECはExpress5800シリーズを扱う中堅・中小企業向け販売代理店網に強みがあることから、その販路に向けて売りやすいパッケージに仕立てたといったところだろう。

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