ソーシャルメディアマーケティングの基本戦略ソーシャルメディアマーケティングの時代(2/2 ページ)

» 2010年02月02日 08時00分 公開
[小川浩,ITmedia]
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ソーシャルメディアマーケティングの活用モデル

 ソーシャルメディアマーケティングの基本姿勢は、利用者と直接コミュニケーションを取ることにある。目的は、そのやりとりで商品やサービスのマーケティング/ブランディング効果に結び付けることだ。目的に応じたソーシャルメディアの利用モデルとして、以下の5つが考えられる。

1.販売促進用

 商売の基本的な手法である「対話型」は、ソーシャルメディアマーケティングに向いている。テレビ通販などは、やがてソーシャルメディアマーケティングにも登場し、主流となるだろう。

2.イベント・キャンペーン用

 コーヒーチェーン最大手の米Starbucks(Twitterアカウント:@starbucks)が2009年5月に実施したキャンペーンは、Twitterとマス広告を融合させた傑作といえる。

 Starbucksは、雑誌や新聞、屋外広告などのマスメディアを最大限に活用し、「If your coffee isn't perfect, we'll make it over. If it's still not perfect, you must not be in a Starbucks.”(もしコーヒーが完璧でなければ作り直します。それでも完璧でなければ、あなたはスターバックスにいるべきではありません)」という強気なメッセージを公開した。

 同時に、街中でこのメッセージを記したポスターを張り、写真を撮ってTwitterに掲載してもらうというキャンペーンを走らせた。写真をアップするときに@starbucksと書いてツイート(つぶやき)をすれば、キャンペーンに参加したことになる。

3.CRM(顧客関係管理)用

 対話メディアとして活用するソーシャルメディアは、顧客満足度の向上に最適だ。

 米国の格安航空界社のJetBlue Airways(@JetBlue)は、Twitterをオンライン上のコールセンターとして使っている。ある日、空港に常駐している管理人が、クレームを投げ掛けた顧客をTwitter上で発見した。チェックインカウンターに担当者がいなかったことに対して、不満を漏らしていたのだ。管理人はすぐにTwitter上で顧客に直接回答し、10分以内に対応することを約束したという。

4.広報、プロモーション用

 社長や社員、広報によるTwitterアカウントの開設は、広報やプロモーション用途として既に実績がある。国内で代表的なTwitterアカウントは、日本アイ・ビー・エム(@IBMJapan_PR)や日本オラクル(@Oracle_Japan)が分かりやすい。プレスリリースの情報を淡々とTwitter上で公開する手法で、RSS/Atomフィードの使い方にも近い。

5.マスメディア補完用

 この手法は、Webへの戦略変更を急ぐマスメディアやオンラインメディアが、ソーシャルメディアを利用してトラフィックを自社サイトに戻すためのものだ。例えばアイティメディアは、Twitterの活用で口コミマーケティングを支援するメディアビジネス「OneTopi」を運営している。

ソーシャルメディアマーケティングの活用目標

 ソーシャルメディアマーケティングの主要な目標は、(1)ソーシャルメディアに情報を効率的に流通させ、口コミを生み出すこと、(2)ソーシャルメディアから自社サイトや店舗への誘導を最大限に引き出すこと――の2つだ。

 従来のソーシャルメディアマーケティングでは、ペイパーポストと呼ぶ手法が主流だった。これは口コミ情報をWeb上に掲載してもらうために、有名なブロガーや芸能人、主婦といった特定の層にお金を支払い、商品のレビューを書いてもらうものだ。ペイパーポストは記事広告に近いが、書き手はプロの編集者ではない。結果として、お金をもらっていない公平な記事のように書いてしまい、読者をだますような情報になりかねないという危険性がある。

 もう1つは、ブログなどに広がる口コミを分析することで、検索連動型広告やスポンサードサーチといったSEM(検索エンジンマーケティング)につなげる方法だ。

 しかし最良の戦略は、企業が自らソーシャルメディア内に公式アカウントを設置して、身元を明確にしたうえで情報を発信することだ。そのためには、情報を正しく届けるためのガイドラインや技術基盤を整備しなければならない。次回は具体的な戦術を紹介していこう。

著者プロフィール 小川浩(おがわ ひろし)

小川浩

モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。商社にて東南アジアを中心に活躍後、1996年にマレーシアにて独立。帰国後、日立製作所にてイントラブログシステムなどの企画を手掛けた後、サイボウズのネット関連子会社フィードパスのCOOを務める。2008年にモディファイを創業した。著書に『ソーシャルメディアマーケティング』などがある。同書に関連する情報は、Twitter上のハッシュタグ「#smm2010」で共有している


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