499ドルのiPad、価格設定に脱帽

「Appleタブレットは1000ドル」といううわさとは逆に、iPadは499ドルとかなり手ごろな価格だ。コスト意識が高い人にも受け入れられる価格設定には脱帽だ。

» 2010年02月02日 17時35分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Appleは本当に見事だった。すっかりだまされた。

 わたしは先月の記事で、Appleのタブレットが1000ドルするかもしれないということについて、同社を批判した。

 われわれは法外なコストを払わなければならないと信じ込んでいたが、1月27日のiPad発表会で、Appleはそうしたコストなしで、新たなWebへのアクセス方法を実現した。

 Appleによると、iPadは16GバイトのWi-Fiのみのモデルが499ドル。32GバイトのWi-Fiモデルは599ドルで、64GバイトのWi-Fiモデルは699ドルだ。これらのモデルは3月にAppleストアと小売店で発売される。

 実際は、1000ドル以上をiPadに払う場合もある。Wi-Fiに加えて3G接続機能もあるモデルを買いたい人は、16Gバイトモデルに629ドル、32Gバイトに729ドル、64Gバイトに829ドルを支払う。

 ローエンドの3Gモデルでも、64Gバイトのトップエンド3Gモデルでも、いずれかの時点でコストが1000ドルを超えることになる。3Gに接続するためには、これらモデルが4月に発売されたときに、AT&Tのデータプランを購入する必要があるからだ。通信量無制限プランは月間30ドル。1年間使えば、TCO(総所有コスト)に360ドルが付け足されることになる。

 3Gモデルと月額15ドルの制限付きデータプランを買えば、「年間TCO 1000ドル」の壁を超えずに済む。重要なのは、必要なだけのストレージ(64Gバイト)が搭載された3G iPadを1000ドル以下で所有できるということだ。

 これは、厳しい経済情勢の中で面白いコンピュータを探している消費者に朗報だ。金融アナリストや「関係者」がiPadは600〜1000ドルだと主張してきたことを考えるとなおのこといい知らせと言える。

 専門家はむしろ、iPadの価格設定を称賛している。デジタルデバイスの専門家、ウォルト・モスバーグ氏は、「Apple製品にしては驚くほどの低価格」としている。

 Gartnerのレイ・バルデス氏は次のように述べている。「Appleは価格の件でメディアを相手にうまくやってのけた。iPadは999ドルするという憶測を助長した(あるいは、少なくとも否定しなかった)からだ。999ドルもしていたら、Appleのこれまでのエリート主義のイメージを強調したいライバルに攻撃手段を与えていただろう」

 バルデス氏の最後のコメントは、人々が「AppleがiPadの基本モデルに1000ドルの値段を付ける」といかに簡単に信じ込んでしまうか浮き彫りにしている。皆、Mac(特にMacBook)に1000ドル以上払うことに慣れているからだ。

 Appleのコンピュータと初代iPhoneは手品のようなものだった。クールなテクノロジーで目を引いておいて、ユーザーが魅了されているうちに、彼らの財布からお札を数枚余分に――Apple以外の製品を買っていれば、節約できたかもしれない金額を――持っていくというやり方だ。600ドルで初代iPhoneを買った人には申し訳ない。

 だがiPadはそうじゃないと、喜んで言わせてもらう。iPadの価格設定には商業主義はなく、それが「みんなのためのものがここにある」という好ましいメッセージに変わっている。

 ここで何度も言っておきたいのは、16Gバイトのエントリーモデルが499ドルということだ。このモデルは、Webを閲覧する新しい方法を求めているが、自分のデジタルライフすべてをため込める大きなマシンは要らないという人にはちょうどいいのではないかと思う。

 iPadはASUS、Hewlett-Packard(HP)、Acer、DellなどのNetbookメーカーに打撃を与えるかもしれない。ハードウェアキーボードや折りたたみの形状を必要としない消費者はいるし、彼らの多くはおそらく、iPhoneユーザーだろう。

 Appleは裕福なユーザーのためのコンピューティングマシンを立ち上げただけではない。裕福なティーンエージャーから仕事でも遊びでもメディアを大量に消費する大人のユーザーまで、幅広いユーザーに訴求する可能性を持つデバイスを発表したのだ。

 わたしにとっては、それがiPadの一番いい部分であり、バージョン1.0の不足点――次のバージョンでは間違いなく改善される点――に目をつぶるには十分だ。

 カメラがないという点はWebビデオ愛好家にとっては痛いだろうし、マルチタスクがないのは期待に沿わない。われわれはコンピュータで複数のアプリを一度に開くことに慣れているからだ。それからAT&Tのネットワークだけに依存しない製品も出してほしい。

 つまるところは、うまく価格を設定し、iPadをコスト意識が高い人にも受け入れられるものにしたAppleに脱帽だということだ。iPadは普及するだろう。

関連キーワード

iPad | Apple | Wi-Fi | TCO | マルチタスク | Netbook


Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ