EMCとシスコ、VMwareのクラウド連合、国内向け施策を発表

クラウド連合を組むEMCとシスコ、ヴイエムウェアは、日本での事業施策を発表した。大手SIer各社と共同で販売から運用支援までをワンストップで提供する。

» 2010年02月09日 17時33分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 EMCジャパンとシスコシステムズ、ヴイエムウェアは2月9日、米国で2009年11月に表明したクラウドコンピューティングの3社施策「Virtual Computing Environment(VCE)」に関する国内展開について発表した。

 VECは、企業におけるプライベートクラウド型コンピューティング環境の推進を目的にしたもので、データセンター仮想化をサポートする3社共同のパッケージインフラ製品「Vblock」を中核に、導入から構築支援に関するコンサルティングなどのプロフェッショナルサービス、運用支援ソリューションなどを提供する。

3社によるクラウド連合の役割とVCEの提供狙い(右)

 Vblockは、シスコのUnified Computing SystemやNexus、EMCのストレージ、VMware vSphere、管理機能などを1つに統合しており、サポートする仮想マシンが3000〜6000台のVblock 2、同800〜3000台のVblock 1、同300〜800台のVblock 0(今後提供する予定)を3つをラインアップする。いずれも3社による共同検証が済んでおり、プラグ・アンド・プレイ感覚での容易な導入および展開、リソースの自動最適化、EMCが提供する統合管理ツール「Ionix Unified Infrastructure Manager」を利用した簡素化された運用性などを特徴にしている。

Vblockの製品概要と適用イメージ(右)

 プロフェッショナルサービスでは、企業幹部を対象とした経営の優位性につなげるクラウドコンピューティング導入のガイダンスや、クラウドコンピューティングのアーキテクチャデザイン、IT戦略の立案、導入支援などのメニューを提供する。

 これらの製品やサービスの提供、構築、運用支援、サポートなどは、3社の共同パートナーとなるアクセンチュアと伊藤忠テクノソリューションズ、新日鉄ソリューションズ、東芝ソリューション、日本ビジネスシステムズ、ネットマークス、ネットワンシステムズ、ユニアデックスの大手システムサービス各社が担当する。米国ではEMCとCiscoの合弁会社「Acadia」が同様の業務を担うが、3社によれば国内ではシステムサービス各社が提供することで、企業でのプライベートクラウド導入が促進されると判断したという。

 3社ではVCEを専門担当する30人規模のビジネスチームを組織しており、各社のソリューションサポートおよび営業部門でもVCEの提案を始めている。また、EMCとシスコは首都圏にVblockを使用した検証設備を構築しており、3月から公開するとしている。

 VCEのメリットについてシスコのエザード・オーバービーク社長は、「コスト削減と俊敏性のあるコンピューティングインフラの実現を最短で安全に実現する最適な手段だ」と話す。またEMCジャパンの諸星俊男社長は、「仮想化およびクラウドに対する3社の技術開発力は業界トップクラスだろう。すでに300種のアプリケーション、24種類以上のOSの検証を終えており、ユーザーに手の届く状態にある」と述べた。ヴイエムウェアの三木泰雄社長は、「インフラが巨大になるほど、ネットワークやストレージとの連係が重要になり、3社の役割は大きい。将来的にプライベートクラウドとパブリッククラウドがシームレスにつながる環境を提供していく」と述べた。

VCEの日本展開を発表したオーバービーク氏、諸星氏、三木氏(左から)

 VCEの今後の見通しについて、3社のトップはいずれも具体的な目標などを明言しなかったが、オーバービーク氏は「クラウド化が進む現在の市場環境にVCMは合うものだと確信している。1年後には良い結果を発表したい」と述べた。また、既存事業への影響とパートナーとの関係について3社のトップは、「既存ビジネスに変化はなくこれまで通りに継続する」(オーバービーク氏、諸星氏)、「クラウド連合は排他的なものではなく、パートナーとの関係は変わらない」(三木氏)とそれぞれ強調した。

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