スティーブ・ジョブズ氏がきっと伝記に残したい11のストーリー(2/2 ページ)

» 2010年02月19日 16時39分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
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5. Apple受難の時代

 ジョブズ氏の伝記に盛り込まれるべき重要な物語の1つが、彼が不在の間のAppleのトラブルだ。ほかの人がCEOを務めている間、Appleは財務的な問題を抱えていた。その運命は、会社をたたむか、一番高く買ってくれる相手に身売りするか、2つに1つだった。最悪なのは、Newtonなど、事業の焦点を失わせ、ファンの忠誠心もなくすような幾つもの製品に投資していたことだった。ジョブズ氏がこのときAppleにいたら同社を救えたのか、それは議論の余地がある。だがジョブズ氏は、彼がいなければAppleが生き残る可能性はほとんどなかったと皆に思わせたいはずだ。

6. 華々しい復帰

 ジョブズ氏は復帰するなりAppleを変えた。彼を暫定CEOにするためのクーデターで、Apple取締役が当時のCEO、ギル・アメリオ氏を追放するのを見ていただけではない。NewtonやCyberDogなどの進行中だったプロジェクトをやめさせた。Appleが再び成功するには、競争上のアドバンテージを確立する必要があることも彼は認識していた。そのアドバンテージをもたらしたのがNeXTSTEPだった。ジョブズ氏がAppleから離れていた間に設立したNeXT Computerが設計したOSだ。NeXTSTEPは最終的に、Mac OS Xの基礎となった。そして今日、同OSはAppleのコンピュータが売れている主な理由の1つとなっている。

7. iMac

 iMacが、ジョブズ氏がリリースした中で特に重要な製品の1つだということは言うまでもない。iMacが発売された当時、Appleはほかの人がCEOだった時代よりも少しばかり調子が良かったが、それでもまだうまくいっていたわけではなかった。iMacは非常によく売れた。独特のデザインのおかげであり、Appleのコンピュータでしか手に入らないOSが載っているからでもあった。この製品は市場への復帰第一歩となった。その影響は今でも感じられる。

8. iPod

 Appleが過去10年間にリリースした製品の中で、iPodほど同社にとって重要な意味を持っていた製品はない。iPodのおかげで、同社の売上高は大幅に増えた。そしてiPodとiTunesを統合したことで、ジョブズ氏は個人の音楽利用と音楽業界全体の両方に革命を起こすことができた。これは、彼が皆の記憶に残したい話だろう。

9. iPhone

 iPodと同様に、iPhoneもAppleが参入した業界に革命を起こした。ジョブズ氏が2007年にiPhoneを発表したとき、すべてが変わった。この製品は携帯電話業界を前進させただけでない。業界のほかのすべての企業が追い上げを図らなければならなくなった。それからおよそ3年たつが、追いついた企業はない。ジョブズ氏とそのビジョンが正しかったという証拠だ。またこの製品は、先導者についていくよりも、業界の基準を打ち立てたいという彼の欲望を浮き彫りにしている。あいにくと、彼はその欲望を皆に知ってもらいたがっている。

10. iPad

 ジョブズ氏公認の伝記が店頭に並ぶのであれば、それはマーケティング上の戦略だ。彼の人生を華々しく見せるだけでなく、Appleをできるだけよく見せようとするだろう。だからこそ、ジョブズ氏はiPadにスポットライトを当てたいはずだ。今のところ、iPadには大いに疑問が持たれている。マルチタスクがないし、標準的なiPhoneアプリをフルスクリーンで実行できない(訳注:ピクセルを倍にすれば実行可能だが、表示が粗くなることもあるという)。Flashをサポートしないため、Web閲覧にも支障がある。言い換えれば、iPadにはジョブズ氏の期待通りの成功はないかもしれないということだ。だから彼は、iPadを売るためにあらゆる宣伝の手段を利用する必要がある。公認の伝記は、とっかかりとしていいかもしれない。

11. 健康問題

 過去数年間、ジョブズ氏は2004年半ばに診断を受けたすい臓がんのせいで、健康問題への対処を余儀なくされ、長らく死の運命に接してきた。2009年4月に、彼は肝臓移植を受け、成功したと報じられている。だがその間、彼はそれをニュースにされないよう力を尽くしていた。伝記は、ジョブズ氏が事実を明らかにするちょうどいい機会かもしれない。自身の健康について望むことを話し、実際に起きたことを正確に説明できる。ジョブズ氏が経験してきたことを考えると、手遅れになる前に公認の伝記で打ち明けるのがベストだと決心する可能性は高い。

 ジョブズ氏の伝記では、これまで語られなかった、あるいはあまり知られていないたくさんの面白いエピソードが明かされるかもしれない。だが彼の望む通りに書かれたら、彼の勝利を中心にした伝記になるだろう。ジョブズ氏が何者であるか、Appleが何であるのか、という内容になりそうだ。

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