「事務規定取扱要領システム」の開発は、2008年4月スタート。同時に、規定改訂のための執筆もスタートする。システムを「器」、規定を「中身」とすれば、器と中身の開発が同時並行で走ることになったのである。執筆に関して、静岡銀行 事務サポート部 ビジネスプロフェッショナル 大庭正壽氏は次のように語る。
「執筆には、本部のすべての部署がかかわるため、われわれの方で細かい執筆スケジュールを作成しました。また、規定の執筆のために、ベンダーに特別なツールを用意してもらいました。このツールに対しては、できるだけ制約が少なく、使い慣れたWordライクに書けるよう、多くの要望を出しました」(大庭氏)
規定の「見やすさ」「分かりやすさ」という観点でも、さまざまな工夫が行われた。
「従来の規定では、基本となる情報のほかに付加的な情報までが網羅的に含まれていたので、先頭から読まないと理解が難しいという問題がありました。これを解決するため、知らなくてもよい情報やプラスアルファの情報はできるだけ分離して本文を簡素化し、業務のフローごとに必要な情報を素早く確認できるように工夫しました」(大庭氏)
ただし、まさに「言うは易く行うは難し」である。規定の執筆にかかわった人数は120〜130名。原稿の品質を揃えるため執筆要項を作り、何度も説明会を開き、月に一回は進捗会議を開いてスケジュールを管理したという。
2009年7月、営業店事務取扱要領システムの開発は無事完了。全営業店で稼働を開始した。ただし、システムに載せる規定は段階的にリリースされ、すべての規定が新システムに移行するのは2010年7月が予定されている。
2009年7月より全営業店で稼働を開始した本システムだが、まだすべての規定が新しいシステムに移行したわけではない。従って、業務によっては旧システムの規定を参照している段階だが、それでも、新システムの効果は目に見えて現れていると、静岡銀行 事務サポート部 ビジネスリーダー 増田靖氏は言う。
「新システム稼働後、比較的規模の大きい幾つかの営業店で行員約300名にアンケートを実施しました。その結果を見ると、『検索がしやすい』『1つの画面ですべての情報が分かる』『本文がスッキリしていて分かりやすい』といった評価がなされています。また、規定が変更されると画面に『改訂中』という表示が出て、そこをクリックすると、どこが変わったのかが即座に確認できるようになったため、通達を読むのを忘れ、古い規定で業務を行ってしまうというミスもなくなりました」(増田氏)
A4で約1万ページあったボリュームも、約40%を削減。最終的にはA4換算で6000ページ程度になる予定だという。
また、今回の「営業店事務取扱要領システム」を基盤とした「営業店事務ナビゲーションプロジェクト」も、すでに立ち上がっている。このプロジェクトは、前述のように店舗の7割をロビーとし、正行員でなくてもスムーズに業務を行えるナビゲーションシステムの構築を目指すプロジェクトである。
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