日本のクラウド技術に明日はあるかWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2010年03月15日 08時08分 公開
[松岡功ITmedia]
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ユビキタスと知識処理で優位性を発揮

 状況に応じたサービスの提供は、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)に代表されるように目に見える形で進展している。しかし、知識の蓄積、知恵の活用は、データセンターの運用などで生かされつつあるものの、実社会への適用という意味ではまさしくこれからだ。

 言い換えれば、ヒューマンセントリックなネットワーク社会においてクラウドの利便性および信頼性を向上させていくためには、高度な「知」のデータベースをどう構築し活用していくかが勘所となるわけだ。

 こうしたことから、近間常務は「ヒューマンセントリックなネットワーク社会の実現に向けたクラウド技術の開発競争は、まだ始まったばかりだ」という。

 この説明を聞いて答えは想像できたが、初志貫徹、質疑応答で先述の疑問をぶつけてみた。近間常務の回答はこうだった。

 「クラウド対応のシステム作りやパブリックサービスでは、日本勢は少々後れをとっているかもしれない。しかし、クラウドが企業向けやハイブリッド型へと広がるにつれ、高い信頼性やインテグレーション力が求められるようになってきており、そこでは日本勢の総合力が真価を発揮すると考えている」

 そしてここからが核心だ。

 「改めて強調しておきたいのは、いま話題になっているクラウドの先にはヒューマンセントリックなネットワーク社会という大きな世界が広がっているということ。そこでは、さまざまなデバイスから得た情報をどう生かしていくかがクラウドの重要な役目となる。日本勢はそうしたデバイスや知識処理でノウハウを蓄積しており、日本人特有のきめ細かさも相まって十分な優位性を発揮できると確信している」

 最新のコンピューティング技術、ネットワーク技術、運用管理技術による総合力もさることながら、今後強みとなり得るユビキタスコンピューティング技術や知識処理技術で、ぜひ日本勢もグローバルなクラウド市場に打って出ていってもらいたい。

プロフィール 松岡功(まつおか・いさお)

松岡功

ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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