クラウドの真実――その答えをサービス活用法に見た第3回 クラウドコンピューティングセミナー リポート

セミナー「第3回 クラウドコンピューティングセミナー いま企業はどこまで取り組むべきか――クラウドの真実を探る」では、クラウドに対する各企業の取り組みが紹介された。アイアイジェイテクノロジー、日本ラドウェア、アイシロン・システムズの講演から、クラウド時代に真価を発揮する製品やサービスの内容をお届けする。

» 2010年03月18日 10時00分 公開
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 クラウドコンピューティングの台頭に伴い、IT企業や情報システム関連の子会社がクラウドサービスを提供するといった動きが出始めている。自社の情報システムにクラウドの仕組みをどう取り入れるか、社外のクラウドサービスをどう活用するかを考えている企業も多い。

 ITmedia エンタープライズ編集部と@IT編集部は2010年3月3日、ベルサール新宿でセミナー「第3回 クラウドコンピューティングセミナー いま企業はどこまで取り組むべきか――クラウドの真実を探る」を開催。アイアイジェイテクノロジー、日本ラドウェア、アイシロン・システムズの講演を基に、クラウドに対する各企業の取り組みやクラウド時代に真価を発揮する製品、サービスの詳細をお届けする。

image 「第3回 クラウドコンピューティングセミナー いま企業はどこまで取り組むべきか――クラウドの真実を探る」の会場の様子。当日の講演資料はバーチャルセミナー上で取得できる(2010/03/31 まで)
 

ビジネス活用に最適なクラウド基盤

 クラウドサービスが脚光を浴びる理由の1つは、導入や運用の手軽さである。情報システムを1から構築するのではなく、クラウドサービスによって種々のITリソースを「使いたい時に、使いたい分だけ使う」という利用形態は、情報システム部門に掛かるコストの削減にも寄与する。

アイアイジェイテクノロジー 取締役 ソリューション推進本部 本部長 松本光吉氏 アイアイジェイテクノロジー 取締役 ソリューション推進本部 本部長 松本光吉氏

 「クラウドという言葉が出る前から、オンデマンドサービスを提供している」と話すのは、アイアイジェイテクノロジー 取締役 ソリューション推進本部 本部長の松本光吉氏だ。同氏は『ビジネスに活用するクラウド基盤「IIJ GIO」』というセッションにおいて、IIJ(インターネットイニシアティブ)グループが提供するクラウドサービスの強みやコスト効果を紹介した。

 IIJグループでは、過去10年以上にわたり、ホスティングやデータセンター接続などのサービスを展開。顧客の要望に合わせてITリソースを提供する「リソースオンデマンドサービス」も2000年から開始するなど、ネットワーク経由のITサービスに磨きを掛けてきた。

 そんなIIJグループが満を持して2009年に提供を開始したのが、クラウドサービス「IIJ GIO」だ。IIJが作り上げてきた国内最大級のインターネットバックボーン上にクラウド基盤を構築。企業の情報システムの要望に応じて、「個別のシステムインテグレーションと同等の柔軟性を、個別の企業にクラウドサービスとして提供する」(松本氏)点が強みだという。

 柔軟性とは、サービスを活用する企業がサーバやストレージ、OS、ネットワーク機器などを自由に組み合わせられることを指す。IIJ GIOは「仮想」「専有」「個別」というサーバの種類や「Cent OS」「Red Hat Enterprise Linux」「Windows Server」を含むOS、SAN(ストレージエリアネットワーク)やNAS(ネットワーク接続ストレージ)などのシステム構成を、利用企業が自由に選べるのが特徴だ。ITリソースの選択によって、「1000通り以上のクラウドサービスの構成が可能」(松本氏)である。

 競争力のある価格にも重点を置いている。クラウドサービスに対する企業の要望が「“安ければいい”から“サービスのパフォーマンスを求める”傾向に変わってきている」(松本氏)からだ。

 IIJグループではIIJ GIOの提供に当たり、「社内の複数のシステム基盤や数千台規模のサーバを集約する技術、そして分散ファイルシステムを自社開発し、運用の自動化などを取り入れてきた」。こうした努力により、1000台規模のサーバで構築したクラウド基盤から提供するIIJ GIOの価格を、従来の半分にまで下げられたという。

 「規模の経済でリードする米Googleや米Amazon(のクラウドサービス)と戦うより、国内のIT企業が求めているコスト改革に踏み切れるように、高品質なサービスを低価格で提供していく」。これがIIJ GIOのスタンスだと松本氏は説明する。大地に根付くという意味のジオグラフィックから名称を決めたというIIJ GIOには、「日本企業のIT基盤を支える」という思いを込めている。

 「国内最大級のバックボーンネットワークを構築、運営してきたのがインターネットイニシアティブのコアコンピタンス。インフラを中心にパートナー企業と協業しながら、あらゆるレイヤー(SaaS/PaaS/IaaS/HaaS)でクラウドサービスを提供していく」(松本氏)

第1回 アイティメディア バーチャルセミナー クラウドコンピューティングフォーラム

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3月3日に開催された「第3回 クラウドコンピューティングセミナー」当日の講演資料を中心に、クラウドコンピューティングに関する最新の情報を掲載しています(2010/03/31 まで)。エントランスから企業ブースへお進みください。

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クラウドに必要なネットワークの最適化

 世界各地に分散したデータセンターにインターネットを通じてアクセスするクラウドサービスを利用すれば、企業はサーバやストレージなどのインフラを自前で用意せずに済む。その際に考えておきたいのが、アクセスするネットワークの性能や信頼性だ。

 「(クラウド関連の)アプリケーションが実行されるデータセンターは世界27カ国、100カ所を超えている。GoogleやAmazon、Salesforce.comなどのクラウドサービスと既存の自社システムを併用して使うようになれば、“どこのデータセンターと通信をしているかが分からない”といった課題が出てくる」

日本ラドウェア 技術本部 ソリューションアーキテクト 出雲教郎氏 日本ラドウェア 技術本部 ソリューションアーキテクト 出雲教郎氏

 日本ラドウェア 技術本部 ソリューションアーキテクトの出雲教郎氏は、セッション『クラウドコンピューティングに必要となるネットワークの最適化とは?』において、クラウドサービスを活用する場合、サービスが提供されるネットワーク環境にも注意を払う必要があると説く。

 「どのインターネットサービスプロバイダーを選ぶかによって、クラウドサービスを活用する地域との距離は異なっており、遅延時間にも違いが生じる」と出雲氏は続ける。日本やアジア、米国などに分散された代表的なパブリッククラウドサービスでは、遅延の差が既に表面化している。クラウドサービスで生産性を高めるためには、自社に最適なネットワークを選択するための技術が不可欠になるという。

 ここで出雲氏が紹介したのが、日本ラドウェアのマルチホーミングアプライアンス製品「LinkProof」だ。同製品は、データ専用線や広域イーサネット、FTTHなどのネットワーク回線から遅延が起きないネットワーク回線を選び出し、最適なアクセス環境を提供する。クラウドサービスを活用する場合にLinkProofを導入すれば、どのネットワークが接続に適しているかを自動で判断し、サービスの体感品質を上げられる。ネットワークの混雑具合のほか、インターネットサービスプロバイダーで起こった障害も自動で判定できる。

 LinkProofによるクラウドサービスの最適化を支えるのが、イスラエルに本拠地を持つRadwareの技術だ。同社は地理的に離れた拠点間のデータセンターで負荷分散を行う「グローバル負荷分散技術」などの特許を取得しており、LinkProofにも応用されている。これにより、クラウド基盤に分散したあらゆるアプリケーションのトランザクションの完結を保証し、最適な応答時間を提供できるとしている。

 「回線のブラックホール化によるダウンタイムをなくし、クラウドサービスの信頼性、継続性、生産性を向上させられる。情報システム部門の手間はまったく掛からない」――。出雲氏はLinkProofの強みをこうアピールした。

第1回 アイティメディア バーチャルセミナー クラウドコンピューティングフォーラム

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クラウド時代を支えるスケールアウトNAS

 「企業はまずサーバの統合や1つのOSで複数のシステムを稼働させる仮想化技術を使い、情報システムの効率化に着手する。その後は運用コストの削減を考え、情報システムを所有するか、クラウドサービスを利用するかを検討する。そして、事業に合わせたビジネス展開を視野に入れ、ITリソースの有効管理やシステムの共同運用を考えていく」

アイシロン・システムズ 営業本部長 兼 マーケティング本部長 関根悟氏 アイシロン・システムズ 営業本部長 兼 マーケティング本部長 関根悟氏

 セッション『クラウド時代を支えるスケールアウトNAS 〜“仮想化環境をクラウド化する”最強ストレージ〜』に登壇したアイシロン・システムズ 営業本部長 兼 マーケティング本部長の関根悟氏は、現在のコスト削減の概況および少ない投資でビジネスを開花させるための筋書きをこう紹介する。

 サーバの仮想化に着手した企業が、クラウド基盤を自社内に構築したり、外部のクラウドサービスを活用したりする際に求められるのは、「事業やサービスの拡大に合わせた拡張性を実現できるストレージの確保だ」(関根氏)。

 「従来のストレージはSANで構築する手法が主だった」と関根氏は話す。通常は拡張が必要になったタイミングで都度拡張していくが、SANによるストレージシステムは、性能や容量の拡張性が必要になった場合、より高性能で大容量のストレージに買い替えていかなければならない。アップグレード時の設定やデータ移行なども複雑であり、「SANを詳しく知らない企業が導入すると、運用管理が煩雑になり、コスト削減に結び付かない」(関根氏)からだ。

 企業のストレージ管理の課題に対し、アイシロン・システムズでは、ストレージの仮想化技術を駆使した「スケールアウトNAS」というコンセプトで、解決策を提示する。スケールアウトNASを使えば、クラウドサービスを企業が活用する際に、業務の変化に合わせてストレージの性能や容量を動的に変更できるという。

 アイシロン・システムズのスケールアウトNAS製品「Isilon IQ」では、「複数のノード(ストレージ筐体)から1つの巨大なボリュームを共有する」という基本アーキテクチャを採用し、どのノードのIPアドレスからファイルシステムにアクセスしても、ファイルデータを共有利用できるのが特徴だ。ノードを追加するごとに、ファイルシステムへのI/O性能や容量が線形的に拡張する仕組みとなっている。

 関根氏はIsilon IQの最大の特徴として、「シングル・ファイルシステム」を挙げる。これはノード数に関係なく、NASの容量を1つのボリュームとして段階的に拡張できるもの。最小構成は3ノード、最大構成の場合、144ノード、10P(ペタ)バイトを1つのストレージ(ファイルシステム)として利用できる。

 「Isilon IQでは、物理的なシステムの筐体数に依存せず、単一のファイルシステムによりストレージの利用を効率化できる。また複数のストレージシステムを並列的に活用して性能を上げたり、RAID技術に依存しないデータ保護技術を採用し、データの自己回復機能も提供したりできる」と関根氏は語る。大容量のデータを容易に管理し、必要な時に必要なだけストレージ容量を追加できるスケールアウトNASは、クラウドサービスとも親和性が高いといえるだろう。

第1回 アイティメディア バーチャルセミナー クラウドコンピューティングフォーラム

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提供:株式会社アイアイジェイテクノロジー、アイシロン・システムズ株式会社、日本ラドウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年3月31日