気付きが「起こる」ものと分かれば、会話の工夫もしやすくなる。相手が自分で考え、気付きを得るようにするには、「問い掛け」が有効だ。問い掛けられることで人は自分で考え、「あっ、そうか」という気付きが生じやすくなる。
整理整頓されていない職場を気付いてもらうには、「どうせ働くなら、気持ちいい職場がいいよね。どうすれば働きやすい環境ができると思う?」「前はきれいだったけど、最近は整理されてないよね。どうすればいいかな?」などと問い掛けてみるといい。クイズの司会者になった気分で、気軽に問い掛けるのがポイントだ。
「問い掛ける」「考える」「気付く」というサイクルを回すことで、職場や仲間内での気付きは自然と起こるようになってくる。
毎日欠かさずに問い掛けをすることで、自分自身の気付きを強化することも可能だ。
わたしはメールマガジンを発行しており、スタート時は週1回のペースで書き始めた。当初は毎週書けるかが不安で、メールマガジンの題材を常に考えていた。つまり、自分自身への問い掛けを繰り返していたのだ。
これを継続することで、記事の題材が日々の出来事の中にたくさんあることに気付きはじめた。メールマガジンの執筆に加え、気付きが起きるのが楽しくなっていった。問い掛けを繰り返すことで気付きのアンテナの感度が高くなり、一時はメールマガジンを毎日配信するといった成果にもつながっていった。
仕事には、過去からの習慣でなんとなく行っている業務もあるだろう。そこで「これって、なぜ○○になっているんだろうね?」「もっと良くするにはどうしたらいいかな?」と問い掛けると、仲間と一緒に考えるきっかけができ、気付きも生まれやすくなる。
「『働きやすい職場』を作るクイズ」という番組の司会者になったつもりで、仲間に問い掛けをしてみよう。クイズの正解は1つだが、職場を良くするための答えは人の数だけある。
答えの正しさよりも、「問い掛ける」「考える」「気付く」のプロセスを回すことが大切だ。これを繰り返すことで、自発的に物事を考えて行動する仲間が増え、やがて働きやすい職場が作られていくだろう。
テイクウェーブ代表。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分が辛かった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場が作れるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。
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