マイクロソフトが語るクラウドのユーザーメリットWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2010年03月29日 08時39分 公開
[松岡功ITmedia]
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キーワードは「イノベーション」

 4つ目は、「クラウドはより機能の高い端末を求めるようになる」。今後、端末はタッチセンサーのような、より自然なユーザーインタフェースをサポートし、PCや携帯電話もクラウドとともに一層進化するという。

 5つ目は、「クラウドがサーバの高度化を促し、サーバの高度化がクラウドの強化を促す」。クラウドにはスケーラビリティ(拡張性)を実現する機能が不可欠。また、クラウドの特徴を生かした新たなアプリケーションの開発が進み、既存のアプリケーションもクラウドへ移行できるようにする必要がある。そうしたクラウドはサーバ技術の進化とともに実現されるという。

 これら5つは特徴というより、クラウドの進化という視点でとらえた方が分かりやすいかもしれない。とはいえ、マイクロソフトによる選別なので、それぞれに優位性を発揮できるというのが同社の言い分だ。

 ちなみに、樋口社長はクラウド時代におけるマイクロソフトの強みとして、「同一の技術、設計のソフトウェアとサービスにおける柔軟なデータの移行と連携」「あらゆる端末からのクラウド利用」「優れたクラウドプラットフォームの提供」「世界規模でのデータセンターへの投資」「セキュリティやプライバシーなどへの取り組み」――の5つを挙げた。

 では、マイクロソフトが提供するクラウドはユーザーにどのようなメリットをもたらすのか。質疑応答でコメントを求められたクルトワ氏はこう答えた。

 「マイクロソフトが提供するのはソフトウェア技術。それをオンプレミス(自社運用)でもパブリッククラウドでもプライベートクラウドでも利用できるように、いわば選択肢を提供しているのが当社ならではのクラウド。それによってユーザーはそれぞれの取り組みの中で、コストを節約しながら新しいビジネスモデルを構築し、イノベーションを実現していくことができる」

 ユーザーの視点に立てば、「コストを節約しながら、いかにイノベーションを実現していくか」が、クラウドへの取り組みの最大の勘所といえそうだ。キーワードは「コスト節約」、そして「イノベーション」。これはマイクロソフトに限らず、どのクラウドを採用する時にも当てはまることだろう。

 経済情勢の厳しい折り、クラウド化の目的についてはとかくコスト節約に偏りがちだが、それを含めたイノベーションの実現を最大の眼目にしたいものだ。クルトワ氏のコメントを聞いて、改めてそう強く感じた。

プロフィール 松岡功(まつおか・いさお)

松岡功

ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。




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