シスコのUCS採用は約400組織、追加製品も発表

国内の大学や金融機関からコンピュータ環境の統合化を支援する「Cisco UCS」への問い合わせが増えているという。

» 2010年04月08日 16時06分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 シスコシステムズは4月7日、データセンター向けソリューション「Cisco Unified Computing System(UCS)」の販売状況と追加製品を発表した。コンピュータ環境の統合を検討する企業や組織の導入案件が増えているという。

ジャンダニ副社長(米国からビデオ会議で説明した)

 Cisco UCSは、サーバやネットワーク、ストレージ、仮想化技術を統合し、データセンターを1つのシステムとして管理できるようにする次世代型のデータセンターアーキテクチャ。2009年第2四半期から製品展開を始めた。

 米Cisco SystemsでUCS事業を統括するソニ・ジャンダニ副社長によると、今春までにイタリア国鉄や近畿大学、米Purdue University、韓国・仁川市など全世界で400以上の企業や公共機関がUCSの採用を決めたという。「日本のユーザーは近畿大学が初めて。これを契機にほかの大学や金融機関からの問い合わせが増えた」(シスコのアーキテクチャ&テクノロジ事業統括マネージングディレクターの石本龍太郎氏)。医療機関やITサービス企業の採用も目立つ。

 採用理由の多くは、世界各地に点在するデータセンターの集約と、仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)の展開を視野に入れたデータセンターの再構築だという。例えば、イタリア国鉄では国内34の民間鉄道事業者を含めた鉄道管理システムの統合を進めている。近畿大学では今年4月に開設した総合社会学部に導入。運用コストを抑制しつつ、柔軟性の高いネットブックベースの授業システム環境を構築した。

近畿大学での導入事例

 ジャンダニ氏は、UCS導入でユーザーが得るメリットの1つとして、ネットワークケーブルの削減を挙げた。ケーブルの量を平均して60〜80%削減できるといい、米医療サービスのSt.Joseph Health Systemでは顧客の中では最多の85%削減を達成した。これは、UCSでサポートしているサーバとルータ、スイッチを統合する「FEX-Link」というネットワークアーキテクチャによる効果で、ネットワーク全体の管理コストを引き下げるものだという。

 UCSの新たな構成製品として、ブレード型(Bシリーズ)およびラックマウント型(Cシリーズ)のサーバで6モデル、スイッチの「Nexus」シリーズで2モデルを追加する。

 サーバは、Intel Xeon 5600番台を採用した「B250 M2」「B250 M2」「C200 M2」「C250 M2」を3月末に出荷済み。Xeon 7500番台を採用した「B440 M1」「C460 M1」を今年第3四半期に出荷する予定だ。Xeon 5600を採用した4モデルは、2ソケット型でプロセッサのコアおよびキャッシュが1.5倍になった。7500番台を採用した2モデルは、4ソケット型でプロセッサの性能が3倍、メモリ容量が2倍、メモリ帯域幅が9倍に拡大した。

UCSに追加するサーバ製品の概要

 Nexusシリーズの2モデルは、10Gbps FCoEに対応する「Nexus 2232」と1Gbpsの「Nexus 2248」。いずれもFEX-Linkに対応したエクステンダー製品となる。FEX-LinkはUSCと、データセンター向けスイッチ「Nexus 5000」でサポートしており、年内には大規模データセンター向けの「Nexus 7000」でもサポートする。これにより、UCS1ブレード当たり最大160Gbpsの帯域幅を確保するという。

 なお、Ciscoは、UCSの管理ツール「UCS Manager」と外部アプリケーションを連携させるためのAPIを開発者向けに公開している。UCS事業でアライアンスを組むBMCやCA、EMC、HP、IBM、Microsoft、Symantec、VMwareのシステム管理製品とAPIを介してUCS Managerが連携できるようになる。

企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ