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» 2010年04月26日 10時00分 UPDATE

導入事例:販売店情報のリアルタイム見える化を実現し、経営指針に反映――毎日新聞社 (1/2)

毎日新聞社の創業は、その前身となる東京日日新聞が創刊された明治5年(1872年)。3年後の明治8年(1875年)には、世界初となる新聞の個別配達を開始。それから約135年間、新聞宅配の制度は、われわれの生活の一部として定着している。しかし今、新聞業界にも大きな変革の波が押し寄せようとしている。毎日新聞社が、5つの本社と全国の新聞販売店のやりとりを管理する販売管理システムの刷新を決断したのも、こうした厳しい環境変化に対応するためだった。

[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

環境変化に対応するため、紙中心のホストコンピュータからの脱却を目指す

 毎日新聞社の創業は、その前身である東京日日新聞が創刊された明治5年(1872年)にまでさかのぼる。その3年後の明治8年には、世界初となる新聞の個別配達を実施。その後、一軒一軒に新聞を配るいわゆる「新聞配達」は、日本独自のシステムとして定着。現在、全国の新聞販売店では約40万人が業務に携わっているという(2009年10月現在)。ところが今、その新聞業界に大きな変化が起きつつある。同社顧客サービス開発本部 本部長の醍醐祐治氏は次のように語る。

醍醐氏 顧客サービス開発本部 本部長 醍醐祐治氏

 「若者の活字離れが進み、新聞に限らず活字メディアが苦戦しています。つい最近も、インターネットの広告費が新聞を抜いたという報道がありました」(醍醐氏)

 ただ、新聞売上の99%は全国の新聞販売店が行っている宅配によるもので、駅売りなどの直売は1%に満たないという。135年以上も続く強固なシステムが簡単に崩れるとは思えないが、少なくとも今、そこに変化が訪れているのは事実である。営業戦略本部 委員 岩木譲二氏は次のように説明する。

岩木氏 営業戦略本部 委員 岩木譲二氏

 「全国には約6400の販売店があり、個々に販売契約を結んでいます。新聞販売店はそれぞれが独立した存在です。各販売店との取引は印刷工場から毎日、新聞を配送し、月ごとに請求書を発行して月単位で新聞代金を回収するのが基本です。本社側では販売店の住所や従業員数といった販売店側の基本的な情報はもちろんですが、世帯数、普及率、拡販の状況などを把握することが必要です。ただ取引や業務の基本的な仕組みは135年以上続いているものですので、地域による慣習の違い、それに伴う制度の違いなどがあり、状況の把握は一様にはいかないのが現実でした」(岩木氏)

 また毎日新聞社は、東京本社、大阪本社、中部本社、西部本社、北海道支社の5社からなり、それぞれが地域に根ざした独立性の高い活動を行っている。新聞販売店との関係も同様であり、各社の営業担当者が地域の慣習・制度に合わせて販売店とやりとりしているというのが実態だった。

 販売管理は、東京本社のホストコンピュータで集中処理されていたが、こうした違いを吸収するため、その処理は複雑を極めていたと技術本部 委員 西村巌氏は言う。

西村氏 技術本部 委員 西村巌氏

 「これまでの30年間、ホストコンピュータで販売管理を行ってきました。アプリケーションはすべて自社開発で、その総数は約4000本にもなります。各社によって制度が微妙に異なるため、機能は同じでも、5本の異なったプログラムを動かす必要があるなど、運用管理の手間やコストが非常に大きかったのです」(西村氏)

 毎日新聞社が販売管理システムの刷新に向けて動き始めたのは2005年のことだ。まず取り組んだのは、約1年をかけて5つの本社の業務を洗い出し、販売店と本社との取引制度をまとめていく作業だった。

 しかし、制度の違いがあまりに大きく作業は難航。当初の予定を超過し、統一のめどが立ったのは、2006年も半ばを過ぎたころだった。そこからシステムのRFP(提案依頼書)作成、ベンダー各社への提案依頼、ベンダーの選定まで進んだのは、2006年の末。最終的に東芝ソリューションのスクラッチ開発の提案が採用され、正式決定が下ったのは2007年の1月である。

5社のすり合わせを繰り返し、18個のモジュールを開発

 システム開発のキックオフは2007年2月。その年は要件定義とシステム設計に費やされる。その間に、今回のシステム開発のためのメンバーの異動を実施し、5社間のすり合わせが繰り返された。営業戦略本部 主任 松田秀平氏は、次のように語る。

「ミーティングは、多いときで月に100回は開いていました。『補助金管理』『奨励金管理』『セールス管理』など、合計で18個のモジュール(システム)を開発することになったのですが、これだけ数が多いと、システム間の仕様調整に時間がかかります。あるシステムを調整すると、再び前のシステムについても検討が入るといったことを繰り返しました」(松田氏)

松田氏 営業戦略本部 主任 松田秀平氏

 2007年前半は、こうした打ち合わせを重ねて要件定義を行い、後半で基本設計/システム設計を実施。本格的な開発は2008年に行われる。約1年間の開発を経て、2009年1月には、毎日新聞社内にサーバを設置してテストが開始された。まずは東京本社でテストを実施し、順次、大阪本社、西部本社……と2009年中はほぼ断続的にテストを実施。データ移行やホストコンピュータとのデータ照合などを行い、問題がないことを確認して、7月に東京本社、9月に大阪本社、10月に西部本社、11月に中部本社/北海道支社でシステムが本稼働を開始し、2009年12月いっぱいで開発は無事終了を迎える。

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