トラ・トラ・トラで攻めていけ?ドジっ娘リーダー奮闘記(2/2 ページ)

» 2010年05月13日 11時30分 公開
[小俣光之,ITmedia]
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春美ちゃん えぇ? 新しいことをしなくても攻めなんですか?

輩田さん そう、従来通りに業務を行う中にも攻めはある。より効率的に仕事を進めたり、信頼性を高めたり、誰が担当してもうまく行くようにするなど、いわゆる「改善活動」も立派な攻めだ。

しんこちゃん なるほどー。攻めるというとついつい新しく生み出すことばかり考えがちですが、今より少しでも良くすることも立派な攻めなんですね。

輩田さん そうそう。実際、きみたちのチームのメンバーの多くは、チャレンジするよりも、改善の方が向いているんじゃないかい? そもそも日本人は、新しいものを生み出すよりも、すでにあるものをより良くする方が得意だしね。そういうメンバーがしっかり仕事を支えてくれるからこそチャレンジする余裕も作れるわけで、どちらの攻めも欠かせないものなんだ。

春美ちゃん でも、改善って地味。攻めてる感がなくて格好悪いし、あまり評価されないんじゃないですか?

輩田さん それはわが社の評価制度の悪い点でもあるね。改善活動に本気で取り組んでいる会社では、きちんと目標を設定して評価する制度があって、社員の自発的な気付きを大切にしているんだよ。新しいことを始めるのが得意なメンバーにはチャレンジを、そうではないメンバーには改善と、両方の攻めのバランスが大事だね。

輩田さんの今日の「喝!」

 組織を発展させるためには、攻めやチャレンジが必要だ。だが、新しいことに取り組むばかりが攻めとは限らないぞ。

  • 新しいことへのチャレンジは攻めだ
  • 従来の業務をより良くする改善活動も攻めだ
  • チャレンジと改善活動、両方の攻めをバランス良く進めよう

輩田さん 攻めと言えば、わたしが若いころは……。

春美ちゃん あ、いいこと思いついた! 改善活動の成果が具体的に分かるようにしたら、みんなやる気が出るんじゃないかしら。どういう取り組みがどれだけ改善に役立っているか数値化できるように、原価管理の仕組みを改修してみようかしら。

輩田さん あ、こら。わたしの話はまだ終わっていな……。

しんこちゃん きゃー! さすが春美ちゃん、ナイスアイデアね。せっかくだから、全チーム同じ仕組みでやりましょうよ。こうなったら善は急げ、ほかのチームのリーダーも集めて相談しましょう。

輩田さん だから、わたしの話を聞いてくだ……。

春美ちゃん そうね。一緒に「見える化」すれば情報共有できるし、お互い協力できていいわね。じゃあ、すぐに相談しましょう!

 「春美ちゃんさえてるー」「要件定義作るの手伝ってよね」。しんこちゃんと春美ちゃんは興奮しながら輩田さんの席から去っていきました。

輩田さん おーい、話はまだ終わっていないぞー!

 ……いや、今回はもうわたしの出る幕はなさそうだな。こういうリーダーの取り組みも改善活動といえるし、立派な攻めだ。あの娘たちもだいぶ成長してきたな。

 新米リーダーたちの成長を、うれしいような寂しいような複雑な気持ちで見守る輩田さんでありました。

著者プロフィール:小俣光之

小俣光之

 日本シー・エー・ディー株式会社代表取締役社長・現役プログラマー。
多趣味で話し好きで説教臭い。
ITmedia オルタナティブ・ブログの「プログラマー社長のブログ」執筆中。
著書に、「プログラミングでメシが食えるか!?」、「プログラミングでメシを食わせろ!!」など。



(構成:鈴木麻紀)

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