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» 2010年06月01日 19時41分 UPDATE

企業は温室効果ガス削減の取り組みを開示すべし――SAPジャパンが提起

SAPジャパンは、温室効果ガス削減に向けた企業の取り組みを社会に公表していくべきだと提起している。

[國谷武史,ITmedia]

 SAPジャパンは6月1日、温室効果ガスの排出量管理ソリューションの最新版「SAP Environmental Compliance 3.0」に関する記者説明会を開催した。この中で同社は企業に対し、温室効果ガス削減に向けた取り組みを社会に公表すべきだと主張した。

 地球温暖化への関心が世界的に高まり、企業でも温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みが進められている。従来はさまざまな環境関連の法規制による圧力から製造業が積極的に対応していたが、2009年に施行された改正省エネ法や今年4月に施行された東京都の改正環境確保条例を契機に、一般企業にも温室効果ガスの排出義務が課せられるようになった。

脇阪氏 脇阪順雄インダストリー戦略本部兼バリューエンジニアリング本部長

 SAPジャパンのインダストリー戦略本部兼バリューエンジニアリング本部の脇阪順雄本部長は、企業の環境対策への取り組みをCSR(企業の社会的責任)やビジネスの永続性の観点で重要な要素と位置付ける。「SAPは社会に貢献する立場から温室効果ガス削減の実績をすべて公表している。同様の取り組みを検討している企業には、ぜひ当社のノウハウを参考にしてほしい」と話した。

 温室効果ガスに関する法規制強化を受けて、排出量削減の実績を財務情報と同様に投資家や顧客など企業を取り巻くすべての関係者に公表するよう求める動きが活発化しているという。例えば、英国のNPO法人Carbon Disclosure Project(CDP)は世界各国の大手企業に対して、二酸化炭素排出量などに関する情報を年1回開示するよう請求している。CDPは資産運用額が55兆ドルを超える機関投資家らの要請を受けて活動しているといい、企業が開示する内容は資金調達などに影響するとみられる。

 CDPの要請を受けて情報を開示した企業は、欧州で82%、米国では66%に上る。日本は37%だった。新興国ではブラジルが76%なのに対し、インドと中国は20%未満だった。

 SAPジャパンが顧客企業などに実施した二酸化炭素の排出管理に関するアンケート(有効回答50社)では、36%が自主的な開示、34%が有価証券報告書での開示、32%が自社排出量の可視化を課題に挙げた。ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部の中田淳氏によれば、2012年度ごろをめどに温室効果ガスの削減に関する取り組みを有価証券報告書で開示することが検討されているという。

アンケート SAPジャパンが実施したアンケートの結果

 「仮に開示義務が決定すれば、どのようなプロセスで温室効果ガスの排出を管理しているのかという点も監査対象になるだろう。現在はExcelシートなどを利用しているところが多いが、改ざん防止などの点で厳格に管理するのが難しい」(同氏)

 現状では、温室効果ガスの削減実績を開示するかどうかは企業の自主的な判断に委ねられる。適切な取り組みを社会に公表すれば、企業に対する信頼が高まるというメリットがある。今後、開示が義務化されれば罰則を伴うことも予想される。東京都の改正環境確保条例では、削減義務に違反した企業に罰金や企業名の公表などの厳しい罰則を課すことが決まっている。

 企業が温室効果ガス排出削減の取り組み開示を検討し始めた背景には、法規制強化の動きや社会的信用に対する意識強化の傾向がある。

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