「次世代ホームネットワーク」普及の条件アナリストの視点(3/3 ページ)

» 2010年06月02日 08時00分 公開
[志賀知文(富士キメラ総研),ITmedia]
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 デジタルテレビでは現在、「3D」という新たなキーワードが掲げられており、今後はネットワーク機能の優先順位がより低下することも考えられる。デジタルテレビの買い替えがピークとなっている今こそ、ネットワーク機器の認知度を高めていくべきである。

 次世代ホームネットワークサービスとしては、エンターテインメントのほか、生活支援やセキュリティ、省エネなどといった生活を豊かにするサービスが多い。これらは高齢者を含む幅広い層での利用が想定されており、誰もが簡単に操作、利用できることが必須条件となる。サービス普及においては、機器同士の相互接続やインターネット接続など、ホームネットワーク構築における煩雑な各種設定が課題に挙がってくる。

 ホームネットワーク関連サービスの提供には、ネットワーク環境の構築が必須である。この点、各種メーカーや販売店などは、製品購入後にネットワーク構築のサポートサービスを提供するといった対策が必要になるだろう。

 また、インターネット接続やDLNAによるコンテンツ共有など、ホームネットワークに対応したデジタル家電の多くは、イーサネットによる有線接続である。有線接続は、宅内の複数の機器でホームネットワークを構築する場合のボトルネックとなる。ホームネットワークの普及には、無線LANを搭載したデジタル家電の増加が重要とみられる。

 無線LANを搭載した製品の例として、家庭用の据え置き型ゲーム機(Wii、プレイステーション 3、Xbox 360)では、普及台数に対するインターネット接続率が45%以上となっている(Xbox 360の無線LANはオプション)。天気やニュースの配信に加え、ゲームのダウンロードやオンライン対戦などのサービスが提供されている。ほかのデジタル家電との一概に比較できないものの、無線LAN搭載によりデジタル家電が容易にインターネットに接続できるようになれば、「とりあえず接続してみよう」と考えるユーザーも含め、インターネット接続台数の飛躍的な増加が見込まれる。

 FTTH、ADSL、CATVインターネットを含むブロードバンドの契約数は3000万を突破し、同時に各世帯にPCが普及してきた。だが現状、これらのブロードバンド環境はPCによるインターネット接続のみに用途が限られている場合が大部分である。

 ノンPC機器は、PCの様にインターネット接続利用を前提として普及してきた製品とは異なり、単体で利用され、普及してきた製品である。それらをネットワークに接続して各種サービスを利用する次世代ホームネットワークは、それまでの生活様式を一変させる可能性がある。そのため、特定の企業や業種の取り組みではなく、メーカー、サービス事業者、通信キャリア、販売店などの各業界が協力し、次世代ホームネットワークを推進していくことが重要になるといえよう。

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