サイボウズとマイクロソフトの協業にみる日本製ソフトの新たな可能性Weekly Memo(1/2 ページ)

サイボウズが先週、マイクロソフトとの協業のもとでSharePoint Serverをベースとしたグループウェア製品を発表した。両社の協業は、日本製ソフトの新たな可能性を感じさせる。

» 2010年06月07日 08時34分 公開
[松岡功,ITmedia]

日本の商習慣に見合った機能や操作性で勝負

 「Microsoft SharePoint Serverはビジネスコラボレーションの基盤ソフトとしてよくできているが、日本の企業文化にもう少しなじんだ形にしてほしい。そんなユーザーの声に応えたのが今回の新製品だ」

 サイボウズの青野慶久社長は6月1日、同社とマイクロソフトが共同で開いた記者会見でこう切り出した。新製品のシリーズ名称は「Cybozu SP Apps」。昨年9月に表明した両社の協業のもとで開発を行ってきた、SharePoint Serverをベースとしたグループウェア製品である。

 今回はその第1弾として、「Cybozu SP ワークフロー」および「Cybozu SP 掲示板」を商品化した。SharePoint Serverでもワークフローや掲示板の機能は備えているが、新製品はそれらに日本の商習慣に見合った機能や操作性を付加した格好だ。

 例えばCybozu SP ワークフローでは、ユーザーが日々の申請・承認作業を効率良く行える機能を強化した。SharePoint Serverのワークフローは文書の申請・承認プロセスを電子化したドキュメントワークフローに相当するもので、多段階での承認や文書に依存しない申請への対応が課題となっていた。Cybozu SP ワークフローはそうした課題に対し、稟議や残業申請など簡易に利用できるワークフローを搭載し、自社に合った業務処理手順を適切に定めることができるようになっている。

 また、Cybozu SP 掲示板では、グループディスカッションを行う際に未読・既読を自分で判断しなければならないというSharePoint Serverの掲示板が持つユーザー負担を取り除き、システム側で管理できるようにした。さらにサイボウズ製品で定評のある見やすく使いやすいユーザーインタフェースを実装したことにより、ユーザー全員が掲示板を閲覧し議論できる仕組みづくりを支援している。

 青野社長に続いて説明に立ったマイクロソフトの樋口泰行社長は、「SharePoint Serverはマイクロソフト製品の中でもいま最も成長著しいが、さらに付加価値をつけていくことで市場はもっと広がる。とくに日本の場合は、特有の商習慣に見合った機能や操作性が求められる。そのノウハウと実績を持つサイボウズさんと協業して付加価値の高い製品を提供できるようになったことは、たいへん喜ばしい」と語り、さらにこう続けた。

 「これまでサイボウズ製品は中堅・中小規模の企業ユーザーに広く使われてきた。一方、SharePoint Serverは大規模なシステムの導入実績も数多く、両製品が融合すれば一段と幅広いユーザーに使ってもらえるようになる」

 これをして樋口社長は、「ユーザー、サイボウズ、マイクロソフトの間でWin-Win-Winの関係を築くことができる」と胸を張った。

青野氏と樋口氏 記者会見に臨んだサイボウズの青野慶久社長(左)とマイクロソフトの樋口泰行社長
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