NECが披露したビジネスプロセス改善の勘所Process World 2010 Report

ドイツで開催された独Software AGのユーザーカンファレンス「Process World 2010」において、NECは全社的に取り組んでいるビジネスプロセスマネジメントの取り組みを紹介した。

» 2010年06月22日 18時34分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 NECは6月8日(現地時間)にドイツで開催された独Software AGのユーザー企業向けカンファレンス「Process World 2010」において、同社のビジネスプロセス改善の取り組みを紹介した。連結経営管理の迅速化、業務効率の改善、総コスト削減を目指し、2008年7月から販売・経理・資財をつかさどる基幹システムの全面刷新に取り組んでいる。

 刷新する基幹システムには独SAPのERPパッケージソフトを採用。新システムの実装にBPR(業務プロセスリエンジニアリング)の手法を取り入れ、国内外のNECグループ企業をカバーする標準的なビジネスプロセスの実装を進めている。

 人工衛星からPC販売までを手掛けるNECにとって、ビジネスプロセスの標準化は業務効率の改善をもたらす。国際会計基準(IFRS)の対応や内部統制の強化も図りやすくなる。

 Process World 2010でBPM(ビジネスプロセスマネジメント)の取り組みを紹介した経営システム本部 業務プロセス改革部 シニアマネジャーの土`方(ひじかた)雅之氏は「グローバルで競争に勝つ体制作りを進めるという経営判断の下、ビジネスプロセスの改善を進めた」と振り返る。

 NECのビジネスプロセス改善の勘所は「組織作り、方法論、ツール」(土`方氏)だったという。その中でも「BPMを実現するための組織作りが重要」と土`方氏は強調する。NECでは各ビジネスプロセスの進ちょく管理を担当する「プロセスオーナー」を100人近く配置したり、グローバル規模でBPMのワークショップを展開したりしている。こうした「地道な取り組みこそが、BPMを成功に近づけた」(同氏)という。

 方法論としては、トップマネジメント層、プロセスオーナー、マネジャー、従業員といったユーザー層に合わせて、業務プロセス改善のロードマップから実際の作業工程までを詳細に定義していった。

 業務プロセスの設計には、IDS Scheerのビジネスプロセス管理ソフトウェア「ARIS」を採用。販売領域で100種類を超えていた業務処理パターンを22種類に整理し、標準化を進めた。ビジネスプロセスのデザインやリスク管理などの機能を1つのレポジトリで管理でき、多言語にも対応しているARISが「プロジェクト成功の核となった」(土`方氏)。

 NECは4月に経理システムの稼働を開始しており、10月には販売および資材関連のシステムも稼働させる予定としている。業務プロセスの最適化と新システムへの刷新により、基幹システムの総コストを20%以上削減する見通しだ。



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