クラウドに照準を定めたVMwareのロードマップ(2/2 ページ)

» 2010年07月20日 11時54分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK
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 ラグラム氏によると、多くの顧客企業は、仮想化の仕組みおよび仮想化がITシステムの効率改善につながることを理解しているが、クラウドコンピューティングの特質と利点に関してはまだまだ教育が必要だという。

 「大手企業の場合は、さすがにそういったこともよく知っている。その一方で、1年前には見られなかったような状況も生じている。新たな顧客が“クラウド環境は手に入れたが、これは既存のアプリケーションにどう対応するのか、また対応させるにはどうすればいいのか教えてほしい”と言っているのだ」とラグラム氏は話す。「“どうすればいいのか”という問題に対しては、仮想化が解決の出発点になるケースが非常に多い」

 同氏によると、世界規模で見た場合、仮想化システムの導入が最も急速に拡大している地域は、中国、インド、ロシア、南米、および東欧の一部だという。

 大抵の企業では、問題なく機能しているレガシーアプリケーションを保有しており、「壊れてもいないのに変更する必要がどこにあるのか」という疑問も抱くかもしれない。

 「仮想化の最大のメリットの1つは、既存アプリケーションを最新の環境に移行し、それらに新たな特質を付加できるということだ。つまり、クラウドがどうのこうのというのではなく、アプリケーションの移行そのものが重要な利用価値なのだ」とラグラム氏は話す。

 「クラウドインフラ、すなわち社内のvSphereインフラ、あるいはサービスプロバイダーが提供するvSphereインフラ上で動作する仮想マシンに既存のアプリケーションを配備してしまえば、このアプリケーションを自由に移動できる。これはデータも自由に移動できることを意味する。とはいえ、そのデータはデータセンターの中にあるのだ」とラグラム氏は説明する。

戦略的な意味を持つGemStoneの買収

 VMwareは、高度な機能を備えたクラウドシステムを構築するには、ワークロードが実行される仮想マシンのできるだけ近くに(少なくとも仮想的に)データを置く必要があることを十分認識している。ラグラム氏によると、米GemStoneと同社のデータファブリック技術をVMwareが最近買収した狙いもそこにあるという。

 今後、VMwareにとってGemStoneの戦略的な重要性が次第に高まるだろう、とラグラム氏は話す。GemStoneのファブリック技術は、データをキャッシングしたりデータを移動したりすることにより、アプリケーションをデータの物理的な場所から隔離するという。

 「その結果、アプリケーションからはデータがすぐ近くに存在するように見え、レスポンス改善などのメリットが得られる」とラグラム氏は語る。「データの実体は社内あるいはどこかほかの場所にあっても構わない」

 言い換えれば、データのソースを抽象化することによって、アプリケーションの高速化と効率化を実現するということだ。

 「この技術にわくわくしている。これについては今後も話題にしていくつもりだ」(同氏)

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