住友林業とNEC、住宅業界向けSaaS「JHOP」で協業

住友林業とNECは住宅業界向けクラウドサービス事業で協業する。住友林業がノウハウを提供し、NECがSaaSを開発・販売する。

» 2010年07月20日 21時38分 公開
[石森将文,ITmedia]
住友林業の坂 直 執行役員

 住友林業とNECは7月20日、住宅業界向けクラウドサービス事業における協業について合意したと発表した。両社は共同で、住宅関連事業者(工務店/建材納材店/専門工事業者/設計事務所/建材メーカー/建材商社など)向けのSaaS型業務システムを企画・開発し、「JHOP(Japan Housing Open Platform)」というブランドで同日より販売開始する。

 本協業のもと、NECはシステムの開発と販売を行い、住友林業はNECに対し業界特有のノウハウを提供する。プロモーションや営業活動は両社ともに実施するという。またJHOPの販売パートナーとしてはシーピーユー、日本ユニシス・エクセリューションズ、DTSの3社が参加を表明している。

 業界の、契約、着工、引渡しというビジネスサイクルに対応する形で、受注支援/構造積算/物流・施行/アフターサービスの各カテゴリに対し複数のSaaSを投入していく。まずは2010年10月に「JHOP CAD(簡易見取り図作成)」と「物流システム」をリリースする予定だ。

 その後、「プレゼン・意匠CAD」、「構造設計CAD」、「積算・実行予算システム」、「工事/資材発注システム」、「工程管理システム」、「物流システム」などを順次SaaS化していく。

 JHOPの提供形態は、伝票や棟単位の従量課金制となる。NECでは、全般的なコスト削減が可能だと見ており、「数千万円単位の契約を書面で交わすと、印紙代だけでかなりの金額になる。それをJHOPは電子化し、1伝票当たり200円で提供する予定だ。契約をアーカイブしつつ、関連業者と情報共有もできる」(NEC)という。

 国土交通省の統計(平成18年度)によると、戸建住宅の市場規模は年間約35万棟。NECでは、そのうち約10万棟の施行においてJHOPが使われることを、当面の事業目標に据えている。

 住宅業界は、新規着工棟数の減少、顧客ニーズの多様化、法規制の複雑化といった課題に直面しつつある。また構造的に、高齢化や人手不足、経営資金難といった問題も抱える。住友林業の坂 直 執行役員は「われわれも業界大手の建材商社として、売り上げは重視していく。だがその前に、戸建住宅の原価低減による需要喚起や、全国の工務店、ひいては業界全体の活性化を図りたい。JHOPが立ち上がれば、そのプラットフォームを(住友林業の)競合企業も利用するかもしれない。それを気付きに、住宅関連事業者の業務のあり方を変えていきたい」と話す。

 坂氏は、住友林業が100%出資する住宅資材の物流サービス事業会社、ホームエコ・ロジスティクスの社長も務める。同社ではJHOPのSaaS型物流システムを基盤に、物流事業を展開するという。

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