激化する価格競争――インターネット決済サービス市場はどうなるかアナリストの視点(2/2 ページ)

» 2010年07月21日 08時00分 公開
[坂田康一(矢野経済研究所),ITmedia]
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新規・既存EC事業者の取り込みが市場拡大の鍵に

 インターネット決済サービスの市場拡大には、決済サービス事業者による企業の取り込みが重要だ。具体的には、ECを新たに開始する企業、同サービスを活用していない既存のEC事業者への働き掛けが不可欠になる。ECの活用を視野に入れる小売業だけでなく、出版社のデジタルコンテンツやソーシャルアプリといった非物販も対象企業になり得る。

 ECサイトにおける数年に一度のシステム更新に伴うリプレース需要も、市場拡大の一因となる。だが、リプレース需要は決済サービス事業者間で既存のユーザー企業を奪い合う構図を作ることも否めない。

 決済サービス事業者の中には、リプレース案件という新たな需要を獲得した結果として、インターネット決済サービス市場全体よりも高い成長率を期待する企業もある。だがスイッチングコストなどの理由から、ユーザー企業は即座にシステムをリプレースするとは言い難い。そのため決済サービス事業者にとってリプレース案件は、利益を獲得するためのプラスアルファの位置付けになる。

 こうした状況下において、決済サービス事業者間の価格競争は激化している。特に主要なサービス決済事業者は、サービスの低価格化を推し進めている。これらの企業のシェアが高まると、インターネット決済サービス市場の成長率はおのずとEC市場の成長率を下回ると予想される。当面はEC市場の伸張を少し下回る格好で、10%程度の成長率を確保していく見通しだ。

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