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» 2010年08月31日 13時53分 UPDATE

オルタナティブ・ブロガーの視点:日本企業が変わりつつあることを読み取れる、IBM Global CEO Study 2010

日本IBMが発表した「Global CEO Study 2010」について、同社に勤めるオルタナティブ・ブロガー永井孝尚氏が解説します。

[永井孝尚,ITmedia]

(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「永井孝尚のMM21」からの転載です。エントリーはこちら。)

 8月10日に、日本IBMから「Global CEO Study 2010 Japan Report - 日本企業の特徴」が発表されました(プレスリリースはこちら資料はこちらからダウンロードできます)。

 Global CEO Study 2010は、グローバル60カ国33業界のCEO・公共機関のリーダー1541名にIBMがインタビューした結果をまとめたものです。この種の調査としては史上最大のものです。

 日本からも171名が参加しており、上記資料は特に日本企業に見られる特徴について、詳しく分析した結果がまとまっています。

 私の勤務先ということでひいき目に見ている訳ではないのですが、新しい発見がいろいろありました。「日本企業は、変わらなければいけない」という経営者の認識が読み取れます。ひと通り読んでみて、私なりの発見をまとめてみました。

1.グローバル化について:日本・韓国はこれからの課題。欧米では乗り越えた課題

 「今後3年間で自社に大きな影響を与える外部要因」の1位は、グローバルも日本も「市場の変化」。日本78%、グローバル56%で、この点は同じです。

 一方で、日本で2位の「グローバル化」は、グローバル全体では6位(日本41%、グローバル23%)。ちなみに韓国でも44%でした。

 グローバルでのグローバル化はすでに対応済みで最優先事項ではない一方で、日本や韓国の経営者はこれからの経営課題と考えていることが、ここから分かります。

2.リーダーの資質も、グローバル志向

 今後5年間で最も重要となるリーダーの資質については、下記のような順位と比率になりました。

順位 日本 グローバル
1位 創造性(58%) 創造性(60%)
2位 グローバルな思考(48%) 誠実さ(52%)
3位 熱心さ(37%) グローバルな思考(35%)
4位 持続可能性に関する関心(32%) 影響力(30%)
5位 誠実さ(29%) 寛大さ(28%)

 ちなみに韓国は、創造性が92%、グローバルな思考が72%。

 日本がグローバルな思考を高い優先順位に置いているのは、「今後3年間で自社に大きな影響を与える外部要因」の結果と一致しています。

 一方で日本では5位で29%である誠実さが、グローバルでは2位52%と高い優先順位になっている点を興味深く感じました。グローバルでは金融危機の引き金になったモラルハザードの反省があるのに対して、日本ではそれほど問題になっていなかったことが原因かもしれません。

3.迅速な意志決定が競争力を高める

 「迅速な意志決定を重視するか」「議論の徹底を重視するか」で、結果が分れました。

 「迅速な意志決定を重視する」のはグローバル平均で32%、中でも高業績企業では43%でした。日本は47%ですが、金融危機の前も後も利益成長が特に高い花形企業ではこれが67%でした。韓国企業は全体で64%。全体的に、迅速性重視の姿勢が見てとれます。

 また、日本企業は通念とは異なり、トップダウンの意思伝達を重視する傾向があります。特に花形企業はこの傾向が顕著。「迅速な意志決定を重視する」ために、日本はトップダウン型マネジメント志向に変革が進みつつあるようです。興味深いことに、韓国企業では逆に「説得と納得感醸成を重視」が大きくなっています。

 日本の変革は成功するのでしょうか?

4.「何が何でも高品質」から「リーズナブルな品質」へ

 「価格と価値のバランス」の関心については、グローバル平均では45%が「期待される/非常に期待される」という回答であったのに対して、日本では76%、特に花形企業では100%でした。

 よく言われる過剰品質への反省と、国内の低価格志向、新興国のボリュームゾーンの顧客ニーズを満たせない傾向などが背景にあるようです。

5.自前主義から協業モデルへ

 自前主義についてはどうでしょうか?

 「外部との提携か、すべて社内で行なうか」という質問に対して、「広く外部と提携する」と答えたのは、グローバルで70%、日本で65%、韓国は92%でした。日本の花形企業では88%です。

 自前主義が強いと言われていた日本企業が大きく変わりつつあるのかもしれません。その背景には、自前主義ではグローバル市場で勝てないとの認識があるようです。

6.政府の影響力に関する認識の違い

 今後5年間の方向性は、政府の影響力に関する見方について、差が出ています。

 政府の影響力が高まり規制が増えると見ているCEOは、グローバルが70%、日本が50%です。規制緩和は、1980年代の英国サッチャー政権・米国レーガン政権から始まり、欧州・アジア、そして世界に拡がり、2008年の金融危機が大きなターニングポイントになりました。

 現在、政府による経済への影響力は増大しています。一方で、日本はもともと規制が強いとの認識があるようです。

 ほかにもさまざまな発見がありました。IBM Global CEO Studyは、数十分程度あれば読めるボリュームです。現代の日本の経営者が何を考えていて、グローバルと比較してどうなのかを知りたい方は、参考になるかもしれません。

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