バーリンスキー氏は、Googleがずっと無償サービスを続ける保証はないと指摘する。Googleは、通話を転送するために米国の電話通信事業者に相互接続料金を支払う必要があるからだ。
「VoIPを収益化する手段を見つけなければ、同社はサービスを有料化せざるを得なくなるかもしれない」とバーリンスキー氏は話す。「一方、Skypeによると、解約料金が同社の純収入で最も大きい部分を占めており、2009年はこれが65%に上った」
さらに同氏によると、Googleのサービスの国際通話料金は必ずしもSkypeの料金よりも安くないという。国際通話サービスはSkypeの屋台骨だ。
米Forrester Researchのアナリスト、チャールズ・ゴブリン氏によると、Skype普及の原動力となったのは、低価格で国際通話ができるという魅力だという。「このため、GmailがSkypeから多くのユーザーを奪うとは思えない」と同氏は語る。
「GmailがSkypeと同等の価値を提供できる機会は少ない。Gmailのサービスに切り替えれば電話機への国内通話では得をする(SkypeOutの費用がなくなる)が、国際通話の節約分は非常に小さい」とゴブリン氏は付け加える。
「このため、Skypeが大きな影響を受けるとは思えない」(同氏)
GoogleのGmail通話発信技術は、ビデオ通話機能を提供するGoogle Chatや、通話管理サービスのGoogle Voiceといった既存の音声通信製品がベースとなっている。Google Voiceは140万人以上のユーザーを抱えている。
Gmail自体のユーザー数は約1億8000万人であり、その通話ネットワークの潜在規模はSkypeのユーザーベースよりもかなり小さい。
VoIP分野ではVoxOxや英BTのRibbitといった技術のほか、各種コラボレーションプラットフォームに搭載された技術が競争しており、Googleもいずれこの市場で有力なプレイヤーになるだろう。しかし今のところ、同社は新参プレイヤーの1社にすぎない。
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