VMware、ハイブリッドクラウド関連の新製品を発表

VMwareは開催中の「VMworld 2010」で、企業がハイブリッドクラウドを構築するための新製品3種類を発表した。

» 2010年09月02日 06時53分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 米VMwareは8月31日(現地時間)、サンフランシスコのモスコーニセンターで開催中の「VMworld 2010」において、一連の新製品および新サービスを披露した。これらはVMwareの顧客によるクラウドコンピューティング導入を支援するものだ。

 つまり、これらの新製品を利用することで、VMwareの顧客企業はクラウドコンピューティング事業を基本的に自社で構築できるようになる。

 VMwareの新しいクラウドインフラ製品およびサービスはすべて、同社の主要な収益源であるvSphereプラットフォーム上で稼働する。新たな管理制御製品群は、管理、セキュリティ(3つの製品で構成)、データセンターサービス、コンサルティングサービスで構成されている。

 この6つの新製品をさまざまに構成することで、プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドコンピューティングシステムを実現できる。

 VMwareでプライベートクラウド製品の製品マーケティングディレクターを務めるジョン・ギルマーティン氏はeWEEKに次のように語った。「これらの製品は、顧客がプライベートクラウドを段階的な方法で構築することを助ける。顧客は既存のデータセンター上に、使い慣れた仮想化環境であるvSphereで稼働する既存のアプリケーション(もちろん仮想マシンで稼働しているもの)をベースにクラウドを構築できる」

 「企業はさらに、エンドユーザー向けにIaaS(サービスとしてのインフラ)を提供できる」(ギルマーティン氏)

プライベート/パブリッククラウドに共通の管理インタフェース

 VMwareはまた、パブリッククラウドでも利用できる共通の管理インタフェースを開発したとギルマーティン氏は言う。

 「(VMwareの顧客は)このインタフェースによって、プライベートクラウドで使っているのと同じツール群をパブリッククラウドでも利用でき、プライベートクラウドとパブリッククラウド間の相互運用性を保つことができる」とギルマーティン氏は語った。

 近年の仮想化ソフトの普及によって、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアおよびサービスも整理統合されてきている。IT管理者はやがて、社内向けやサプライチェーン、パートナー、顧客への提供向けに利用するローカルのハードウェアやソフトウェア、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなどの広範なITサービスを管理できるようになるだろう。

 8月31日に発表されたVMwareの新製品は以下の通り。

VMware vCloud Director

 「Project Redwood(コードネーム)」と呼ばれていた同製品は、VMware仮想環境の利用顧客が、サプライチェーンや外部顧客向けの独自のITサービスを「仮想データセンター(VDC)」と呼ばれる機能を通してパッケージングし、提供できるようにする。

 vCloud Directorは、vSphereのリソースプール機能を拡大する。IT管理者が、コンピューティング、ネットワーク、ストレージのリソースプールを、管理ポリシー、SLA(サービス品質保証契約)、料金に合わせて作成できるようにすることで実現する。顧客企業は、こうして作成したVDCを、仮想アプライアンス、仮想マシン、OSイメージなどとともに、完全に自動化したセルフサービス接続を通してユーザーに提供できる。

 このようにして、VMwareの顧客は自社のデータセンターに安全で互換性のあるパブリッククラウドを統合し、プライベートクラウド同様に簡単に管理できるようになる。これは企業にとっての重要な収入源になりそうだろうか? VMwareはなると言っている。

VMware vShield

 vShieldは3つの製品から構成されており、仮想化およびクラウド環境向けに設計されたセキュリティを提供する。「vShield Edge」「vShield App」「vShield Endpoint」の3製品が、セキュリティとエッジサービス(ファイアウォール、VPN、ロードバランサなどを含む)を仮想化する。これらのサービスを物理的なインフラから解放することで、プログラム可能な一元的セキュリティインフラを提供できる。

 「アプリケーションやサービスが流動的にインフラを共有しているクラウド環境の動的性質には、新しいセキュリティのアプローチが必要だ」とギルマーティン氏は語った。

VMware vCloud Datacenter Services

 このサービスは、VMware環境に接続する、安全で相互運用性のあるエンタープライズクラスのハイブリッドクラウドで、主要なサービスプロバイダーが提供する。標準的なパブリッククラウドが提供しない領域を引き受ける。パブリッククラウドのビジネス利用には、不確かなSLAやコンプライアンスの欠如、ロックインの恐れなどに起因するセキュリティ上の懸念がつきものだとギルマーティン氏は指摘する。

 VMware vCloud Datacenter Servicesは、データセンターの一部をクラウド的な外部実体とし、セキュリティ、コンプライアンス、QoSの制御を維持する方法を提供する。これらのサービスは、Verizon、Terremark、Bluelock、Colt、SingTelなどのメジャーなプロバイダーが提供する。

 これらのサービスは完ぺきに見える。VMwareの認証、SAS 70 Type IIあるいはISO27001による情報セキュリティコントロール、そして、ステートフルファイアウォール、レイヤー2ネットワークの隔離、ロールベースのアクセス制御、LDAP認証などの仮想アプリケーションセキュリティを備える。

 もちろん、上記のすべてをまとめたサービスもある。vCloud Consulting Servicesは、これらの製品に、ITインフラのアップデートあるいは構築のための評価、計画、設計、導入サービスを追加したパッケージだ。

 9月2日まで開催しているVMworld 2010の情報はVMwareのサイトにまとまっている。

企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ