自社ビジネスに組み込み外販も:“その道のプロに任せる” ―― SIerが信頼したクラウドサービス

出版関連企業向けのシステムインテグレーターとして知られる光和コンピューター。IT統制の強化を課題としていた同社では、ソニーのプライベートクラウド型サービスを導入してセキュアで運用も容易なシステムを構築。また、その経験を生かして自社のビジネスにもクラウドサービスを展開している。


業種特化型のビジネスで成長を続ける

 平成の始まりとともに創業の産声を上げた光和コンピューターは、書店や取次を含む出版関連企業向け業務システムに特化した、システムインテグレーター(SIer)である。その拠点は出版社が集まる神保町のほど近くに構えられ、今では大田区平和島、埼玉県越谷市、加えて沖縄県にも事業所を抱えるまでに成長した。

 成長の要因としては、やはり出版という業態に特化していることが挙げられる。再販制度を前提とした出版業界には、一般的な事業とは異なる商慣習、ビジネスプロセスが存在する。例えば出版社(版元)が一冊の本、あるいは雑誌を取次に搬入すると、その段階で入金がある。だが、取次から書店に卸された後、結局売れずに返本されれば、その分を実質的に“返金”しなければならない。

光和コンピューター ソリューション技術部 リーダー 遠藤俊吾氏 光和コンピューター ソリューション技術部 リーダー 遠藤俊吾氏

 雑誌の場合などは、一応、返本期限が定められているが、全ての書店が厳守するわけではないし、少々期限を過ぎていても、返本を受け付ける版元が一般的。このようなやり取りが、事業年度や四半期をまたぐ形で発生しているのが、出版という業態なのだ。

 業務のIT化、という視点でこのビジネスプロセスを見ると、一般的に使われるERPなどは、非常にフィットしにくい。既存のERPをカスタマイズして導入するにしても、出版という業態を熟知したERPベンダーあるいはSIerが必要だ。

 光和コンピューターが主力とする「出版ERPシステム」は、版元はもちろん、取次、書店、広告主、そして作家に払う印税などが相関する“出版のビジネスプロセス”をカバーし、出版社のビジネスプロセスのIT化を支援するもの。そのため「パッケージ型のERPと競合したり、既存ERPのカスタマイズを前提としたSIerとコンペになったりというケースはありますが、これまでも、そしてこれからも競争優位性を発揮できるでしょう」と光和コンピューター ソリューション技術部の遠藤俊吾リーダーは話す。

現業優先――成長企業にありがちな落とし穴

 実際、光和コンピューターの顧客には日本を代表する出版社が並ぶ。創業以来、成長を続け、今では約130人を超えた従業員を数える同社だが、数年前から、成長企業が陥りがちな問題に直面していたという。

 「社員の多くは、営業、あるいはエンジニアです。顧客対応を最優先した業務スタイルのため、どうしても“現業に関係のないところは置いてきぼり”という状況がありました」と遠藤氏は振り返る。

 光和コンピューターはその事業がら、ITリテラシーが高い社員を多く抱えている。そのためメールサーバやプロキシサーバの設置、クライアント環境の整備などはある程度“自前”で行っていた。だがその後の運用やメンテナンスについては、遠藤氏の話すとおり、どうしても“現業優先”となってしまう。ITを事業のコアコンピタンスとするがゆえに、高いITスキルを持つ人間を、専任の管理者に充てるのも難しい(直接の利益を生み出す部門に配置した方がいいからだ)。

 とはいえ、大手出版社との取引、そして信頼関係を考えると、IT統制を進めることは必須だ。そのため「必要に応じ社内の“有志”がITインフラをメンテナンスすることが多かったですね」と遠藤氏は話す。

 しかし、ずっとこのまま、というわけにはいかない。現状を打破するきっかけになったのは、ソニーのプライベートクラウド型サービスである、bit-drive“マネージドイントラネット”だったという。

遅かれ早かれクラウド化するなら、いま取り組むべき

 「遅かれ早かれ、社内で面倒を見ているITインフラを“クラウド化”すべきでは? と考えていました」と話す遠藤氏。もともと、bit-driveの既存サービスを利用していたことと、遠藤氏自身が(移行後のインフラに)確固たるイメージを持っていた事情もあり、2009年11月末の検討開始からほどなく、2010年1月末には、切り替えを完了できた。

 構成としては、メールサーバ、プロキシサーバ、そしてログ管理サーバをクラウド環境(bitdriveデータセンター)に移行。併せて、従来はクライアントレベルで実施していたウイルスチェックやスパムチェック、メールアーカイブの各種機能もbit-driveのものに切り替えた。

 東京にある光和コンピューター本社はもちろん、越ヶ谷事業所、沖縄事業所もマネージドイントラネットのVPNに包含し、セキュアなネットワークの下に一元化した。ネットワークの状況は、マネージドルータ経由で収集され、専用のマネージメントツールで、負荷状況を可視化したり、ネットワーク設定を一括で行ったりできるようになった。

 ハードウェアはデータセンター側で全て冗長化され、またバックアップ回線も整備された(もちろん障害時は自動切換)。結果として光和コンピューターは、専任の管理者を置かずとも、ITインフラのパフォーマンスと可用性を大きく向上できたことになる。

 だが同社は、ユーザーとしてのみマネージドイントラネットを利用したわけではなかった――。

自社ソリューションにプライベートクラウドを組み込む

 既に言及したとおり、光和コンピューターはSIerである。「マネージドイントラネットの基盤を、われわれのビジネスに組み込めないだろうか? と考えました」と遠藤氏は話す。

 例えば同社の越ヶ谷事業所には、顧客から受託したコンタクトセンター業務の拠点がある。そこと光和コンピューター本社、そして顧客の事業所をマネージドイントラネットのVPN網で接続すれば、コンタクトセンターの拠点にシステム管理者を配置したり、遠隔地からメンテナンスに赴いたりしなくても、センターを運営できる。もちろん顧客も、セキュアで安定したVPN回線の内側で、コンタクトセンターの状況を把握できることになる。

 光和コンピューターでは、認証と暗号化によりセキュアにメールサーバへアクセスできる「PRA PLUS」を導入。セキュリティを確保したまま社外からの接続も可能になり、外出先からのメール参照など、社員の利便性向上にも寄与している。また、一部の社員には非接触型ICカード“FeliCa”で認証するリモートアクセスサービス「CRYP」も導入している。これによりリモートからのサーバのメンテナンスが容易になり、緊急時の対応スピードもアップした。

 「マネージドイントラネットなら、SIerとユーザーの双方にとって、運用負荷の低いアクセス環境を利用できます。リモートメンテナンスの効率も段違いです」(遠藤氏)という。

 実際2010年に入り、出版大手であるプレジデント社のコンタクトセンターをこのモデルで受注しており、遠藤氏は「SIerとして、顧客のITインフラまで含めたビジネスを展開できました。しかもオンプレミスな基盤を顧客に提案するより、価格競争力も高くなります」と意気込みを見せる。また、「bit-driveのサービスを活用して、出版ERPのクラウドサービス化も視野に入れたい」と自社の強みを生かす取り組みにも意欲的だ。

kowa_figure01.jpg 国内3カ所の事業所をインターネットVPNで接続。社外からセキュアにサーバアクセスできる環境も整った

資産管理ツールでのライセンス可視化に期待

 マネージドイントラネットユーザーとして「構築できるITインフラ環境から考えて、大変リーズナブルです」と話す遠藤氏だが、既に今後の展開も見据えているようだ。

 マネージドイントラネットはそのロードマップ上、2010年の秋を目処に「クラウド型IT資産管理」の提供を予定している。一部ユーザーがトライアル運用を開始しており、光和コンピューターもその中に含まれる。

 通常のクライアントPCはもちろんだが、「SIerとしての業務上、案件ごとに開発環境を構築するケースがあります。その場合、特にソフトウェアライセンスの管理が煩雑になりがちです。現在はExcelなどで台帳管理していますが、特殊な開発ツールのインストールやアンインストールを繰り返すことも多い。そのため、ライセンス状況を自動で可視化してくれるツールは必須と考えています」と遠藤氏は期待を寄せる。

 「われわれはアプリケーションのプロフェッショナル。その分野で、顧客に最大の価値を提供していきます。同様にbit-driveもIT基盤のプロです。信頼できるプロにインフラを任せることで、安心して中核事業に注力できるのです」(遠藤氏)

株式会社光和コンピューター

株式会社光和コンピューター

株式会社光和コンピューター

・所在地 東京都千代田区岩本町3-1-2 岩本町東洋ビル5

・設立 1991年4月

・事業内容 情報システム構築、ソフトウェア制作、販売、ネットワークインフラ構築




提供:ソニービジネスソリューション株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年12月31日

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