日本ネティーザ、DWHアプライアンス製品の性能向上を実現

DWHアプライアンスの新製品を日本ネティーザが発表した。従来製品と比べてデータ圧縮率は32倍に、高度な分析機能も実装した。

» 2010年09月15日 19時07分 公開
[内野宏信,ITmedia]

 日本ネティーザは9月15日、データウェアハウス(DWH)アプライアンス「Netezza TwinFin」と「Netezza Skimmer」の性能向上、機能強化を実現するアップグレード・ソフトウェア「リリース6.0」を発表した。Netezza TwinFin/Netezza Skimmerのパフォーマンスを従来比で2倍以上に向上させるほか、データマイニングなど高度な分析機能を提供する「iClass」を実装した。10月末から出荷し、Netezza TwinFin/Skimmerのユーザーに無償提供する。

 Netezza TwinFinは、ハードウェアにIBM製のハードディスクやサーバを採用したブレード型のDWHアプライアンス製品。一方、Netezza Skimmerはエントリクラスのアプライアンス製品で、今回リリースしたアップグレード・ソフトウェア「リリース6.0」により、これらのパフォーマンスとキャパシティを2倍以上に向上させられるという。

 特徴は3つ。1つは圧縮機能の向上で、数値型の圧縮だけではなく、すべてのデータ型の圧縮を可能にした。また、複数の圧縮アルゴリズムを用意し、データのタイプに応じて自動的に最適なアルゴリズムを選んで圧縮する仕組みとしたことで、従来比4〜32倍の圧縮率を実現したという。

 データの解凍については、ほかの一般的なDWH製品がCPUで行うのに対し、Netezza TwinFin/Skimmerは、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて、ハードディスクからのデータをCPUに渡す前段階で取捨選択している。「従って、CPUが処理しなければならないデータ量を大幅に削減できるため、CPUに負荷が掛からない。すなわち、この高い圧縮率を、そのまま高いパフォーマンス、よりスピーディな処理速度に還元できた」(米ネティーザ プロダクトマネジメント&マーケティング バイスプレジデントのフィル・フランシスコ氏)という。

米ネティーザ プロダクトマネジメント&マーケティング バイス・プレジデントのフィル・フランシスコ氏 米ネティーザ プロダクトマネジメント&マーケティング バイス・プレジデントのフィル・フランシスコ氏

 2つ目の特徴は、データブロックを効率よくスピーディに読み取る「ZoneMap機能」を拡張したこと。テーブル単位で指定された項目のうち、類似するレコードを集めることでディスク・スキャンを削減、ディスクのI/Oを減少させて、大規模テーブルに対する多次元クエリを従来の数十倍に高速化させたという。

 そして3つ目は、データマイニングや予測分析など、高度な分析を行う機能「iClass」を実装したことだ。同社製品は「Asymmetric Massively Parallel Processing」(AMPP:非対称型超並列処理)という独自のアーキテクチャを採用している。これはCPU、メモリ、ハードディスクをワンセットにした「SPU(スニペット・プロセシング・ユニット)」と呼ぶ小型ボードを1つのシステムに多数搭載することで、ハードディスクから出たデータのスピーディな並列処理を可能にしたもの。これにより、「iClass」も他社の一般的な分析ツールより、大幅に高速な処理を行えるという。Java、 Python、C++、R、Hadoopなど複数の言語、アプリケーションをサポートするほか、基本分析パッケージも複数用意している。

日本ネティーザの代表取締役、ダグラス・エッツェル氏 日本ネティーザの代表取締役、ダグラス・エッツェル氏

 なお、運用管理面でも、よりきめ細かなシステムリソースの配分を可能にした。従来は最小リソースしか定義できなかったが、グループごと、ユーザーごとに最小・最大のリソースを指定可能としたほか、1つのグループで同時に実行できるクエリ数を制御可能とした。さらに、クエリ・プランやグループレベルでのリソース使用状況、システム全体のCPU、ディスク、ネットワーク使用状況を可視化するポータル機能も用意し、安定的な運用に向けたワークロード管理を強力に支援するという。

 日本ネティーザ代表取締役のダグラス・エッツェル氏は、「適切な意思決定を行うためには、蓄積したデータを有効かつタイムリーに活用することが大切。そして、確実に生産性や業績の向上につなげることが肝要だ。今後も、性能向上が図りやすい素性の良いアーキテクチャと、簡単に素早く提供できるアプライアンスという提供形態を大切にしつつ、多くの企業を支援していく」と述べた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ