米マイクロソフト、日本の大学研究者にWindows Azureを無償提供NIIとMSが協定締結

米マイクロソフトが日本の大学研究者にWindows Azureベースのデータ分析環境を無償で提供する。国立情報学研究所が窓口となり、「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」の研究チーム(東京大学 喜連川優教授)が活用する。

» 2010年10月01日 15時40分 公開
[谷古宇浩司,ITmedia]

 国立情報学研究所(NII)と米マイクロソフトは10月1日、Windows Azureのリソース活用に関する協定を締結した。文部科学省の科学研究費補助金で行われている共同研究「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」(「情報爆発」プロジェクト)の一環。マイクロソフトが国内の大学研究者に、Windows Azureベースのデータ分析環境を提供する。

 研究機関が抱える問題は深刻だ。科学研究の分野では、年々活用するデータ量が増大する。膨大なデータを扱う必要がありながら、研究を進めていくには、日常的に使うデスクトップパソコンの「およそ1万倍の処理能力が必要になる時がある」(米マイクロソフト ダン・リード氏)。多くの研究者はシステム管理者になることを望んでいるわけではなく、また、彼らが研究に際して利用するツール(表計算、統計用パッケージ、デスクトップ用視覚化ツールなど)は実際、市販製品がほとんどだ。

 マイクロソフトが提供するのは、(クライアントとクラウド環境が連動した)データ分析環境である。これにより、研究者は例えば、600のサーバで稼動するゲノム分析ツールをExcelで利用できたり、1万枚のMRIイメージ(医学用の磁気共鳴画像)を対象にしたデータ分析・データマイニングを系統的に実行したりできるようになる。また、遠隔地にある装置が記憶したデータをクラウド上に蓄積し、デスクトップ上で視覚化することも可能だ。

 今回、マイクロソフトが提供するWindows Azureのリソースは、「情報爆発」プロジェクトに参加する研究班の中から選ばれたグループに無償で提供される。彼らは超大規模Webテキストの構文・格解析分野の研究や、並列スクリプティング・ワークフロー環境の研究などでWindows Azureを活用するようになる。

 米マイクロソフトによるアカデミー分野での連携活動は、米国を除けば今回の日本が初めての試み。

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