iPadの勢い、iPhoneやDVDプレーヤーを上回る――米アナリスト

iPadは急ペースで売り上げが伸びており、このままいけば、タブレットはテレビ、スマートフォン、ノートPCに次いで米国で4番目に大きな消費者家電のカテゴリになるという。

» 2010年10月07日 14時08分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 アナリストの調査報告によると、米AppleのiPadは米国でiPhoneやDVDプレーヤーを上回る勢いで売り上げを伸ばしており、このままいけば、タブレットコンピュータはテレビ、スマートフォン、ノートPCに次いで米国で4番目に大きな消費者家電のカテゴリになる見通しという。こうしたiPadの好調ぶりを受けて高まっているのが、今後競合各社から発売されるタブレット型の各種新製品が果たしてAppleの勢いをそぐことができるのかという疑問だ。

 CNBCによると、Bernstein Researchのアナリスト、コリン・マクグラナハン氏は調査報告書において、「iPadは当初、それほど成功するようには見えなかった。だが、今や空前の成功を収めている」と指摘しているという。

 同氏によれば、現在iPadは1四半期あたり450万台のペースで売れており、2011年の売上高は約90億ドルに拡大する見通しという。

 ここで疑問となるのは、今後、タブレット型の各種の競合端末が新たに市場に投入される中、Appleが今の勢いを維持できるかどうかという点だ。韓国Samsung ElectronicsはAndroid搭載のSamsung Galaxy Tabを4社の米キャリアを通じて2010年秋にデビューさせる計画であり、米Hewlett-Packard(HP)とカナダのResearch In Motion(RIM)もそれぞれ独自OSを搭載するタブレット端末を開発中だ。さらにMicrosoftのスティーブ・バルマーCEOも、Windows搭載のタブレット端末を年末商戦期までにリリースすると明言している。

 こうした競合各社は、iPadが従来のPC市場から売り上げを奪っているのではないかと懸念している。この見方は先月、「iPadにノートPCの売り上げの50%以上を奪われた」とする家電量販店Best Buyのブライアン・ダンCEOの発言がThe Wall Street Journal紙で報じられたのを受けて広まったもの。その後、ダン氏はこの報道に反論し、発言の内容を否定したが、それでもなお、このカニバリゼーション問題はWeb中に大いに波紋を広げた

 NPD Groupのアナリスト、スティーブン・ベイカー氏を筆頭に一部のアナリストは「iPadがノートPCの売り上げを奪っているという報道はひどく誇張されたものだ」と指摘しているが、一方では、「タブレット端末は従来のノートPC市場に確実に影響を及ぼしつつある」と断言する向きもいる。

 9月17日版のFortune誌によると、Morgan Stanleyのアナリスト、ケイティ・ユベルティ氏は調査報告書で、「この先、DellのStreakやSamsungのGalaxy Tabなど、タブレット端末の新製品が続々と発売される予定であり、またAppleもiPadの流通を拡大している。タブレット端末は今後もPC市場を圧迫し続けることが予想される」と指摘しているという。同誌によると、さらにユベルティ氏は「2010年に米国のノートPCの売り上げは前年比で4%減少しており、タブレット端末によるカニバリゼーションがその大きな要因の1つとなっている」と述べているという。

 この売上高データはNPD Groupのもの。NPD Groupのベイカー氏によれば、2010年にローエンドノートPCの販売台数が減少したのは、既に2009年の売り上げが横ばいだったことからすれば自然なことだという。

 実際にカニバリゼーションが起きていようといまいと、iPadの売上高に迫るという点で、タブレット端末の競合各社に長い道のりが待ち受けていることには変わりはなさそうだ。Appleは先発者利益を守るべく、テレビ電話のために前面と背面にカメラを備えたデュアルカメラ仕様の次世代iPadを開発中とうわさされている。台湾の市場調査会社Digitimes Researchなどの情報筋は既に今年8月の時点で、2010年中か2011年第1四半期に7インチモデルのiPadが発売されることを予想している

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