日本オラクル、Exadataの最新モデルを発表――QoS管理やDB暗号化の機能を搭載

「Oracle Exadata Database Machine X2-8」は、新CPUやサービス品質管理機能、DB暗号化機能を搭載する。

» 2010年10月20日 15時35分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本オラクルは10月20日、OLTP・データウェアハウス基盤製品の最新版「Oracle Exadata Database Machine X2-8」ならびに「同X2-2」のラインアップ強化を発表した。サービス品質(QoS)管理や暗号化の機能を新たに搭載する。

 Oracle Exadata Database Machine X2-8は、9月に米国で開催された「Oracle OpenWorld 2010」で発表されたもので、国内では同日から受注と出荷を開始した。64コア・2TバイトメモリのIntel Xeon 7560プロセッサを採用したデータベースサーバを2基搭載し、OSは「Oracle Linux Unbreakable Enterprise Kernel」もしくは「Solaris 11 Express」を選択できる。10Gbpsのイーサネットも2ポート搭載する。

Oracle Exadata Database Machine X2-8

 また既存製品のX2-2では、CPUが6コアモデルのIntel Xeon 5670に変更したほか、データベースノードのメモリも72Gバイトから96Gバイトに強化した。X2-8と同様に、10Gbpsのイーサネットも2ポート搭載している。

 新機能のQoS管理は、リソースやI/Oなどの状況から、OLTPのワークロードを再配置することで、パフォーマンスの改善を図る。例えばセールス系アプリケーションのトランザクションが増加してパフォーマンスが低下した場合に、管理者にアラートが通知される。管理者は管理ツール「Enterprise Manager」でシステム側が提案するワークロードの推奨構成を確認し、ワンクリック操作でアプリケーションに割り当てるサーバリソースを変更できるという具合だ。業務時間帯や夜間、休日などのアプリケーションの稼働状況に応じた事前設定済みのワークロード配置のポリシーも用意している。

 データべ―ス暗号化機能は、オプションの「Oracle Advanced Security Option」で利用できる。Xeonプロセッサに搭載された暗号化アクセラレーション機能の「Intel Advanced Encryption Standard New Instructions(Intel AES-NI)」を利用することで、データベースとしては初めて実用レベルでフル暗号化機能を利用できるという。

 Exadata X2のハードウェア価格は、X2-8(フルラック)が1億6793万4857円。X2-2では「クオーターラック」(3358万6971円)「ハーフラック」(6157万6114円)「フルラック」(1億1195万6571円)のラインアップを用意する。別途ソフトウェアライセンスなどが必要になる。

「ハード+ソフト」の理想形

Exadataを導入した企業での主な効果

 製品発表会の場で米Oracle データベース製品担当バイスプレジデント マーク・タウンゼント氏は、ExadataがSun Microsystemsを買収した現在のOracleの姿を体現する製品の1つだと強調した。日本オラクル 常務執行役員 三澤智光氏も「Exadataは、アプライアンスではなく“マシン”だ」とコメントした。

 タウンゼント氏によれば、ExadataはOLTP処理とデータウェアハウス、データベース統合のために開発された専用マシンであり、競合他社の製品と一線を画すものであるという。「10倍以上のパフォーマンスと容量を実現しつつ、価格は数分の1となる、Oracleが企業顧客に提供できる価値だ」(同氏)。三澤氏は、Exadataによってデータベースの統合が数カ月から数日に短縮され、コストが大幅に削減されると話した。

自治体向けクラウドでの運用事例

 Exadataは2008年秋の初出荷以降、「全世界、全業種に導入された」(タウンゼント氏)という。国内でも製造や流通など幅広い業種での導入が進んでいるという。三澤氏は、36ラックのデータベースサーバを3ラックのExadataに統合したソフトバンクモバイルの事例や、大手サービスプロバイダーが自治体向けに提供するクラウドサービスがExadataで運用されている事例も紹介した。「Exadataは企業のビジネスのスピードを変えるものになるだろう」と述べた。

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