PCの運用管理業務を支援 vPro技術を活用した新サービスが登場

インテルのクライアントPC管理技術「vPro」を利用したヘルプデスクやセキュリティ対策の新サービスをインテルとパートナー各社が発表した。

» 2010年10月25日 18時31分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 インテルは10月25日、クライアントPC管理技術「インテル vPro テクノロジー」(vPro)のビジネス動向に関する記者説明会を都内で開催した。4月に発表した最新バージョンの機能を活用したサービスを、同社とパートナー各社が発表している。

 説明会の冒頭、インテル 取締役 副社長の宗像義恵氏は、vProを発表した2006年9月以降に累計5500万台のvPro搭載PCが世界で出荷されたことを明らかにした。同氏は、vProについて「企業のクライアントPCが抱える運用管理やセキュリティ、コストの課題を軽減する目的で開発に取り組んできたが、今ではITを戦略的に活用したいという企業を支援する存在になった」とコメントした。

 vProは、「インテル AMT」「インテル TXT」「インテル VT」「インテル AT」という4つの技術で構成される。これまで、インテル AMTでは遠隔操作によるPCの起動や電源管理、インテル TXTではアプリケーションの安全な実行環境の実現、インテル VTでは仮想化環境のサポートといった機能を提供してきた。最新バージョンでは盗難・紛失対策の「インテル AT」を新たに追加したほか、故障したPCの復旧を遠隔で行えるリモートKVMの機能をインテル AMTに追加した。

各社の製品やサービスでリモートKVMの機能がサポートされる

 vProを利用したサービスは、例えばNTTデータウェーブがPCのリモートメンテナンスサービス「Wave PC Mate」を、大塚商会がクライアントPCのアップデート、バックアップ作業を効率化する複数のサービスを既に提供している。最新バージョンを利用したサービスでは、リモートKVMの機能をクオリティソフト、Sky、ハンモック、富士通四国システムズが2010年11月から2011年1月にそれぞれ提供する。また、インテル ATを利用した盗難・紛失対策サービスをNECキャピタルソリューションが「SecureDoc Managed Service」として提供する。

 SecureDoc Managed Serviceでは、NECキャピタルソリューションが紛失・盗難対策の設定を有効にしたPCを企業にリースなどの形態で提供し、万が一PCが紛失・盗難に遭えば、同社のサービスデスクが遠隔操作でPCを起動させなくする(PCロック)といった悪用を防止するための処置を行う。PCがユーザーの手元に戻れば、PCロックなどの保護措置を解除し、再び利用できるようになる。同社ではPC1台当たり月額数百円程度で提供する計画である。

SecureDoc Managed Serviceのイメージ

 同社ではPCのリースサービスで、ユーザー企業が要望する設定を事前にPCに施した上で出荷するメニューやヘルプデスク対応のメニューなども提供しているという。シニアディレクターの荒谷茂伸氏は、「SecureDoc Managed Serviceを含め、PCのライフサイクルにおけるトータルコストや運用管理者の負担の軽減を支援してきたい」と述べた。

 vProを活用した新製品としては、シトリックス・システムズ・ジャパンが先に発表したクライアント用ハイパーバイザー「Citrix XenClient」を紹介した。同製品はクライアント端末のハードウェア上で直接動作するハイパーバイザー。

 OSにインストールして動作する従来型のハイパーバイザー製品とは異なり、例えばOSがルートキットなどの悪質なプログラムに感染した場合に、ハイパーバイザーとその上で動作する仮想マシンが不正に操作されるといった危険性が少ないという。複数の仮想マシンを同時に動作させることができ、仮想マシンを切り替えながら利用することも可能となる。グラフィックチップセットとの連携によりハイビジョン動画などを滑らかに再生できるなど、ハードウェアの性能を引き出す点でも優れるとしている。

XenClientの仕組み

 こうしたvProによる機能のユーザー事例として、インテル マーケティング本部の徳永貴士氏が、NTTデータと聖路加国際病院の取り組みを紹介した。NTTデータは、PCの電源管理による電力消費の削減とセキュリティ強化を目的に、vPro搭載PCの導入を2008年に開始した。のべ1万台のvPro搭載PCが利用されているという。聖路加国際病院ではPCのパッチ管理やアップデート作業の効率化のためにvProを導入した。既に約2000台のvPro搭載PCが稼働している。

 徳永氏は、インテル自身もvProのユーザー企業の1つであるという。インテルでは、2011年中に同社で稼働する約9万台のPCの95%以上がvProモデルになると予定である。

 vProを活用した製品やサービスの導入効果について徳永氏は、例えば情報漏えいを防ぐためにノートPCの社外持ち出しを禁止しているような企業では、紛失や盗難時の対応策を確保できるため、社外への持ち出しを認めて社員の生産性を高められるなどのメリットが得られると述べている。

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