“Beyond Boundaries” ビジネスの限界を突破する「データ中心型企業」の実現Informatica World 2010 Report(2/2 ページ)

» 2010年11月04日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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Hadoopとつなげる

 同社が掲げる「データ中心型企業の実現」において、今後注目されるのが非構造化データをどのように取り込んでいくかという点である。アバシ氏が示した4つ目の観点「Beyond Relational Data」は、既存のリレーショナルデータベースと、ソーシャルサービスのような外部の非構造化データを統合するというアプローチだ。

 企業のブランディング活動や顧客との関係構築に、TwitterやFacebookなどのソーシャルサービスが有効な手段として盛んに利用されるようになった。新商品を直接顧客に知らせたり、さまざまなテーマについて顧客とやりとりができ、ソーシャルサービス上に蓄積されていくデータが企業のビジネスに大きな影響を与え始めている。

 このような情報をリレーショナルデータベースでも効率的に管理、分析できるシステムが望まれるが、現状ではソーシャルサービスのような外部の非構造化データをリレーショナルデータベースに取り込む手段が少ない。そこで同社は、Hadoopシステムの管理ソリューションを提供する米Clouderaと提携し、Hadoopファイルシステム(HDFS)を新たにサポートすると発表した。製品にもMapReduceやUser Defined Functions(UDFs)の機能を組み込み、ソーシャルサービスの大規模なデータの処理を可能にするという。

 5つ目の観点である「Beyond Infomatica」は、同社のこれまでのビジネスモデルを変革していくというものである。その具体的な取り組みの1つが、6月に発表したマーケットプレイス「Informatica Marketplace」の展開となる。アプリケーション開発者と10万人以上のユーザーをつなぐコミュニティーという位置付けだ。

 Informatica Marketplaceではデータ統合やマスターデータ管理など5つのカテゴリーが設けられているが、特にクラウド連携や付加価値の創造を目的とする「ソリューション」のカテゴリーには、147種類ものアプリケーションが登録されている。例えば、マーケットプレイスで提供されている顧客分析のプラグインを利用して、マーケティング活動で「インフルエンサー」の役割を果たす顧客を抽出し、その顧客の情報をマスターデータに反映するといった作業が容易にできる。

 データを目的に応じて加工したり、分析したりする手法は、ユーザーによってさまざまであり、Marketplaceはそのノウハウをユーザーが共有する場でもあるという。アバシ氏は製品やサービスだけでなく、ユーザーコミュニティーの基盤も提供していくことで、「データ中心型企業」を実現する環境を広げたいと述べている。

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