「データ統合」は日本企業が復活を遂げる手段Informatica World 2010 Report

企業内に散在するデータを統合してビジネスにつなげるという取り組みについて、日本企業は米国企業よりも数年の後れを取っていると言われる。米Infomaticaでアジア太平洋・日本地域を統括するソーウェデン上級副社長に展望を聞いた。

» 2010年11月05日 07時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 データ統合ソフトウェア大手の米Informaticaは、2009年の売上高が5億ドルを超え、過去5年間に年率18%の成長を達成した。企業内に散在するデータを統合してビジネスにつなげたいとする顧客企業ニーズの取り込みに成功したという。

 こうした動きは、特に米国市場において顕著であり、中国やインド市場の拡大も著しいとしている。だが、日本企業の取り組みはこうした市場の企業に比べると、その歩みが遅いとされる。米Infomatica アジア太平洋・日本地域担当 上級副社長のグラハム・ソーウェデン氏に日本市場の展望を聞いた。

ITmedia アジア市場における企業のデータ統合ニーズはどのような状況ですか。

ソーウェデン氏 中国およびインドの市場では顕著な成長を見せています。特に中国の成長ペースは世界全体で見ても最も高いペースであり、それに続くのがインドです。2つの市場は将来のビジネスチャンスが期待される非常に有望な市場です。

 日本市場は中国やインドほどのペースではありませんが、順調に拡大していくと見ています。日本の市場規模は、中国やインドよりも非常に大きく、数多くのグローバ企業が存在します。フォーチュン500の65社が日本企業であり、このほかにグローバ市場で活用している企業が少なくありません。

 こうした企業の多くが、まさにデータ統合によってグローバル展開を加速させようというフェーズにあります。例えば、東芝ソリューションの米国法人(Toshiba America Business Solutions)はクラウド環境を活用したデータ統合プロジェクトに成功し、今回のカンファレンスでアワードを受賞しました。

アジア太平洋・日本地域を管轄するグラハム・ソーウェデン氏(右)と、同地域のセールスコンサルティングを担当する副社長のニール・ゴウ氏

ITmedia データ統合の難しさは、企業内に散在するさまざまなデータの状況が管理部門によって異なり、統合に対する要求内容が関係者によって異なる点にあると言われます。

ソーウェデン氏 どのような企業でも、はじめから全社規模でデータを統合するようなことはありません。まず部分的に着手して標準となる手法を確立します。その手法を横展開しながら、全社に広げていくというアプローチが成功につながります。

ITmedia 今回のカンファレンスでは、ソーシャルサービスに代表されるインターネット上の非構造化データを企業内に取り込む方法を紹介しました。日本市場向けにはどのような形で展開されるのでしょうか。

ソーウェデン氏 われわれの製品とHadoopによる環境を相互接続する仕組みを提供します。これは世界共通ですので、Hadoopで構築されているサービスであれば、そのデータをわれわれのデータ統合基盤に取り込むことができます。これにより、ソーシャルサービスを介して顧客とやりとりしたデータを戦略的に活用していけるでしょう。

ITmedia 大手ベンダーとの競争が激化していく中で、どのような点が強みになるのでしょうか。

ソーウェデン氏 われわれの最大の強みが中立性です。競合はアプリケーションやハードウェアも含めた垂直統合型のソリューションを展開していますが、このモデルではアプリケーションを中心にデータを活用する仕組みを考えなくてはならず、柔軟さを求めるユーザーの要件を十分に満たせないでしょう。

 われわれのソリューションは、データを起点にしたビジネス展開を実現していくための方法をユーザー企業に提供します。中立的な立場から競合も含めた多数のベンダーとオープンな関係を結んでいますので、ユーザー企業のために幅広い選択肢を用意できる強みもあります。

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