Microsoft Lyncはワークスタイルをソーシャル化する起爆剤になるか?Windows Phone、iOSにも対応

マイクロソフトは2010年末までに、ユニファイドコミュニケーション製品「Microsoft Lync」の国内販売を開始する。企業内コミュニケーションのソーシャル化を視野に入れた先進機能だけでなく、電話との融合を重視した機能強化も図られている。

» 2010年11月10日 10時00分 公開
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包括的な生産性向上プラットフォーム

 マイクロソフトは2010年12月までに、「Microsoft Lync(以下、Lync)」というブランドのもと、ユニファイドコミュニケーション分野の新製品・サービス群について、国内提供を開始する予定だ。この“Lync”という新しい名称からは、つながるという意味の“Link”と、同期するという意味の“Sync”のシナジーをイメージできる。機能をストレートに表した現行のブランドよりも、親しみやすいと言えるだろう。

 ここで言うユニファイドコミュニケーションとは、メールやインスタントメッセージ、電話などあらゆるコミュニケーション手段を統合し、業務を効率化する考え方。ビジネスの現場に直結する分野だけに、Lyncに対するマイクロソフトの期待は小さなものではない。

マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャ 米野宏明氏

 Lyncは、マイクロソフトが Wave“14”と呼ぶOffice 2010関連製品群と同一世代の製品であり、2009年末に発売したMicrosoft Exchange Server 2010、2010年春に発売したMicrosoft Office 2010、Microsoft SharePoint 2010などに続くものだ。Wave“14”の製品・サービス群は、ワークスタイルが多様化する中、ユーザーに高い生産性を提供することを目的に開発されたものだという。Lyncは、Exchange ServerやSharePointとバックエンドで連携し、ユニファイドコミュニケーション、ビジネスインテリジェンス、エンタープライズコンテンツ管理、エンタープライズ検索、コラボレーションの5つのソリューション分野をカバーするとされている。

 同社でユニファイドコミュニケーション分野の製品を統括するインフォメーションワーカービジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャの米野宏明氏は、Lyncを次のように位置付ける。

 「主にユニファイド コミュニケーション分野で中心的な役割を果しますが、それだけでなくすべての分野においてリアルタイムな人と人のつながりをサポートし、効果的なソリューションを実現するのが、Lyncです。このような包括的な生産性向上プラットフォームを提供できるベンダーは、マイクロソフトだけであると考えています」(米野氏)

 なお、Lyncの発売から数カ月以内をめどに、Wave“14”世代の製品を実装したマイクロソフトのクラウドサービスが提供される予定。これにより、オンプレミスとクラウドをシームレスに連携したソリューションが提供されることになるという。

ユーザーが導入しやすいライセンス体系に

 Lyncは、現行のユニファイドコミュニケーションプラットフォームである「Office Communications Server 2007 R2」の後継バージョン「Lync Server 2010」、「Office Communicator 2007 R2」の後継製品「Lync 2010」、「Office Communications Online」の後継サービス「Lync Online」、「Office Communicator Web Access」の後継機能「Lync Web App」という4つの製品・サービスで構成される。

 製品・サービスは大きく分けて、「インスタントメッセージングとプレゼンス」「Web会議」「VoIP外線通話」の3つの機能を備える。これらの機能は、操作性が改良された新しい専用クライアント インタフェース、またはOutlookやWordなどOffice製品群からアクセスすることが可能だ。各種のリアルタイムコミュニケーションが、同一のシステムとインタフェースに統合されるため、素早い導入や移行だけでなく、コスト削減効果や既存の業務プロセス効率化が期待できる。

 ちなみに、それぞれの機能は「Standard CAL」「Enterprise CAL」「Plus CAL」という別々のクライアントライセンスにひも付いている。現行のOffice Communications Serverでは、Web 会議とVoIPがEnterprise CALでカバーされていたが、LyncではVoIPの部分がPlus CALとして分けられた。

 「Enterprise CALからPlus CALを切り出したため、Enterprise CALは従来よりも20%以上価格をディスカウントする予定です。これまでは、Enterprise CALですべての機能が利用できた反面、一部の機能を今すぐには利用しないユーザーにとっては割高に感じられました。それを改善することで、より導入しやすくなっています」(米野氏)

ユーザーが導入しやすいライセンス体系に

画面と機能を使いやすく改良

 Lyncの改良点の中でも、特に大きなものが、統合コミュニケーションクライアントのインタフェースだ。相手の状況(プレゼンス)を示す赤、黄、緑のアイコンと合わせ、顔写真が表示できるようになっている。コミュニケーションの相手が多いユーザーにとって、人を判別するために顔写真があることの有効性は高い。

 また、相手が今いる場所や、いつから空き時間になるかといった、予定表の情報や、上司や同僚、部下などの組織ツリーの表示も可能。これらの情報は、Lync 2010やOffice 2010で人物をマウスオーバーすると表示される「連絡先カード」に集約されている。これらのプレゼンス情報により、相手に声をかける前に、その人が適切なのか、いつどのような手段で問いかければよいかを、直感的に判断できる。

 この画面には、プレゼンス情報を知ることができるだけでなく、インスタントメッセージングやビデオチャット、Web会議、電話などすべてのリアルタイムコミュニケーションを実行する機能もある。例えば、Web会議を開催した場合、会話ウィンドウの右にプレゼンテーション用の領域が広がり、PowerPointのスライドやデスクトップ画面、自由に書き込めるホワイトボードなどを共有しながら会議を進めることが可能だ。

 会議の開催も容易で、Outlookの予定表でスケジュールを設定するか、クライアント画面からワンクリックで始められる。外部の参加者のように、Lync 2010がインストールされていないユーザーは、会議参加者専用アプリケーションをダウンロードするか、ブラウザ用クライアントのLync Web Appを使って参加するかのどちらかを選択できる仕組みになっており、会議への参加だけであれば Enterprise CALを購入する必要はない。

 会議の内容はそのすべてをレコーディングし、Windows Media Video形式のファイルとしても保存できる。これにより、リアルタイムで会議に参加できなかったメンバーに対しても、情報を共有できるだろう。

 「Windows Live Messengerだけでなく、Yahoo!やGoogleが提供しているインスタントメッセンジャーとの接続にも対応しています。これらインスタントメッセンジャーは、情報共有やファイル転送が簡単にできてしまうなど情報セキュリティ対策の面で課題がありましたが、Lyncを介したコミュニケーションならば、外部のユーザーとの間でもコントロールされた環境で安全に対話できます」(米野氏)

どのツールからでも一貫したインタフェースを提供

企業内ソーシャル機能を実装

 ビジネスの生産性向上の面で非常に役立つのが、SharePointと連携したソーシャルネットワークの機能だ。人の名前や部門名を検索できるという機能は、既存の製品にも含まれていた。しかしLyncでは、SharePointと高度に連携した検索が可能になっている。

 SharePointには、「個人用サイト」という仕組みがある。そこにはActive Directoryのプロファイルに加え、ユーザー自身がどんな分野に専門的なスキルがあるかを登録する場所が用意されている。また、共有されたドキュメントにタグ(参照のための目印)を付けておくことも可能だ。

 Lyncは、これらSharePointの個人用サイトが持つ情報を検索対象にして、キーワードで人を探し出し、プレゼンス情報として表示する。これにより、専門的なスキルを持つ人に面識がなくても、すぐに直接コミュニケーションをとれるようになる。

ビジネスに必要な情報をもった人と手軽に探し、アプローチできる

各種デバイス連携も視野に

 サーバの機能面で進化したのは、電話との連携部分である。強力なソフトウェアPBX機能を搭載し、自動着信転送設定や応答グループ、パーク保留、ボイスメールの再生など、一般的に必要とされるIP電話機能を搭載している。既存のPBXとの連携も、サードパーティ製のゲートウェイを介して実現できるという。

 「すべてのリアルタイム コミュニケーション手段が1つのインタフェースに統合されていることで、例えば、インスタントメッセージングでテキストチャットを開始し、話が込み入ってきたのでそのまま電話に切り替えて、さらに詳細な情報共有のためにビデオチャットとアプリケーション共有を使った会話に切り替えるといったように、ツールを切り替えることなく、コミュニケーションを一連の動作で行えます」(米野氏)

 さらにマイクロソフトが力を入れて進めているのが、マルチデバイスへの対応だ。2011年には、MacOS上で稼働する「Lync for Mac 2011」が登場する予定となっている。モバイル端末については、Windows Phoneが搭載されたスマートフォン向けの「Lync Mobile」をはじめ、iPhoneやNokiaのスマートフォンに対応したアプリケーションも提供する予定だという。

 これらのアプリケーションでは、PC版に近いリッチなプレゼンス、インスタントメッセージング、音声ベースでの会議参加などの機能が用意されるとのことだ。このほか、オフィスのビジネスフォンに「Lync Phone Edition」と呼ばれるクライアントアプリケーションを搭載したIP電話機も、サードパーティによって開発中だという。

 このようなユニファイドコミュニケーション分野の豊富な機能を備えたLyncは、さまざまなビジネスシーンで有用だと米野氏は言う。

 「営業部門で働く人はもともと社外にいる機会が多く、移動中や商談の合間に連絡をとることは容易ではありません。その時点のプレゼンス情報が確実に分かるLyncを利用すれば、数少ないチャンスに、最適なコミュニケーションを行えます。また、1人で集中して作業する時間が長く、作業が中断されると生産効率が低下するという開発者同士が効率的にコミュニケーションをとる手段としてもLyncは役に立つでしょう。開発者が疑問を持ったとき、これまでは上司など人を介してその分野のエキスパートを紹介してもらいましたが、LyncとSharePointを利用すれば、直接コンタクトをとることも可能になります。フリーアドレスやテレワークなど場所を問わない協業も実現されるので、災害時やパンデミック発生時の事業継続性を確保するためにも有用です」(米野氏)

 米野氏によると、現在大企業数社がLyncのβ版を先行導入して、新しいユニファイドコミュニケーションのシステムを構築中だという。「Lyncのようなツールを起爆剤として、ユニファイドコミュニケーションの市場そのものを活性化していきたいと考えています」(米野氏)

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