クラウド型ソーシャルウェアとして進化する「Lotus」にコラボレーションの未来を見たIBM Lotus Knows EXPO 2010

クラウドというITの利用モデルが企業において一般化するならば、ワークスタイルや情報共有のあり方も、クラウド時代に相応しいものでなければならない。Lotusは「ソーシャルウェア」を軸に、コラボレーションモデルにパラダイムシフトを起こそうとしているようだ。

» 2010年11月17日 10時00分 公開
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 企業ITが進化する方向として「クラウドコンピューティング」が提示され、はや数年がたつ。クラウドという言葉が浸透する過程では、ともすればパブリックか、プライベートか、それともハイブリッドにするのか? というようなITインフラの設置モデルに話題が集中してしまう向きもあった。

 とはいえ実際に、クラウドで企業価値を高めるためには、クラウド時代にふさわしい人間同士のコラボレーション環境と、それによるイノベーションが求められる。日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)が10月21日に開催した「Lotus Knows EXPO 2010」で示したのは、“クラウド型ソーシャルウェア”として企業価値の創出を助けるLotus®の姿であった。

Lotusが企業コラボレーションの中核に

日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部の三浦美穂事業部長

 基調講演に登壇した日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部の三浦美穂事業部長は、「企業がクラウド時代の新しいパラダイムに移行するには“7つのS”が必要だ」と指摘する(7つのSとは、企業価値をStrategy/Structure(組織)/SystemsとStaff/Skills/Style(企業風土)/Shared Values(価値の共有)からなる要素で測る考え方。一般に前者3つがハードのSで、後者4つがソフトのSと分類される)。

 「ハードのSを変革することで、ソフトのSも次のパラダイムに移行する」と説く三浦氏は、日本IBM自身が営業改革にチャレンジした事例を、聴衆に紹介する。

 90年代初頭、ハードウェア製品にビジネスの比重を置き、サービス事業の売り上げが全体の29%程度にとどまっていた同社は、顧客のニーズを掴みきれず、世界的に事業が停滞していたと三浦氏は振り返る。このような「作った物を売る静的なビジネス」から、「顧客が求める物を売る動的なビジネス」に移行することで、2005年にはサービス事業の売り上げ比率を約70%にまで伸ばし、業績の回復を見たという。

 これには、組織の壁を越えたチームオペレーションや、スタッフが抱えているタスクの見える化、それを基にした適切なコーチングなどが必要になる。三浦氏は「ビジネスプロセスの改革は“終わりのない物語”でもある。ユーザー企業が人を中心としたコミュニケーション、コラボレーションを形作るために、日本IBM自身が苦しんで得た経験を提供していく。その中心にあるのが、Lotusだ」と話す。

ビジネスに勝ち抜く秘訣はソーシャルウェアにあり

日本IBM ソフトウェア事業 ソーシャルウェア・エバンジェリストの行木陽子氏

 企業のコラボレーション基盤として、Lotusがユーザーに提供する価値はどのようなものか――日本IBM ソフトウェア事業 ソーシャルウェア・エバンジェリストの行木陽子氏は、その1つの解が「ビジネスプラットフォームとしての“ソーシャルウェア”」にあると考えているようだ。

 「『ソーシャルウェア』で実現する企業コラボレーション・パラダイムシフト」と題しセッションを行った行木氏は、聴衆に「歴史上、ソーシャルウェアとされたものが普及するまでに要した時間を考えてみてほしい」と問いかける。5000万人のユーザーを得るまでの年月を導くと、ラジオが38年、テレビが13年、インターネットですら4年かかっているという。

 「それに対し、facebookは2億人のユーザーを獲得するのに1年もかからなかった」と行木氏は指摘する。しかもfacebookは、その後も拡大を続け、今や5億人にのぼる登録ユーザーを抱えているとされる。

 この状況が示すのは、情報の伝達量とそのスピードが、ほんの数年前とも比較できないほど拡大しているという事実である。今や、最大の情報トランザクションを持っているのは、テレビではなく、インターネットメールですらなく、ソーシャルメディアなのだ。

 このことは既に、ビジネスにも影響を与えつつある。行木氏は、ユーザーの要望をTwitterで聞き、そして実現するソフトバンクモバイルの孫正義社長を例に挙げ、「従来、顧客のニーズを調査してそれが経営陣にレポートされ、ビジネス上の施策として反映されるまでには、おおむね半年から1年がかかっていた。それが今や、一瞬だ」と話す。

 行木氏は、「今も昔も、企業情報の鍵を握るのは“人”」であると指摘する。しかし従来は、組織の壁、距離の壁、時間の壁などに阻まれて、有用な情報をリアルタイムに共有することが難しかった。やがてその“人”が退職すると、本来ビジネスで活用されるべきだった暗黙知は、失われてしまっていた。こういった情報の断絶を防ぎ、共有し、有効に活用するための要を、行木氏は「ソーシャルウェア」と定義する。

 例えばソーシャルウェアを活用する企業は、国内だけでなく海外のブランチともコラボレーションしながらビジネス展開できる環境を手に入れるだろう。また消費者との関係も、従来の商取引のみを基本とした関係から、口コミなども取り入れたインタラクションのあるものへと変わるだろう。

 ここで具体的に、Lotusの製品ポートフォリオのうち、ソーシャルウェアに該当するものを考えると、Lotus Connectionsが挙げられよう(クラウドサービスであるLotusLive™も、同様のサービスをLotusLive Connectionsとして有している)。同製品は、ビジネスの中で組織を超えた情報共有を図るソーシャルウェアだが、最新バーションで象徴的なのは、入手したいコンテンツ(あるいは知見、スキルなど)視点で人間関係を“蜘蛛の巣状”に表示するダイヤグラムマップであろう。同製品内に蓄積されたデータを分析する機能が搭載され、プロジェクトや業務上、連絡をとるべき人や、目を通すべきコンテンツを推奨する仕組みが提供される。この機能は、従来の情報共有基盤では実現できなかった、社員間あるいはコンテンツ間のネットワークを拡張し、コラボレーションの世界を刷新すると考えられる。

 一般的に企業において、ある業務のために他部門の協力を得ようとするならば、まず自分の上司に説明し、上司が他部門の上司に説明し、他部門の上司が自部門内で検討し、適当と思われる人材をアサインするという流れになるだろう。プロセスの合間には会議も設定されることになる。これでは時間がかかるし(大きな企業ならなおさらだ)、アサインされた人が適切な知見を持っているかどうかも分からない。

 だがLotus Connectionsを導入していれば、組織の構造だけでなく、ノウハウやスキルの所有構造をもとに、適切な人材を視覚的に探し出せる。その人がどのような経歴を持ち、どんな事業に関わってきて、どのような成果を挙げたのかも一目瞭然であり、すぐにオンラインでアプローチできる。これなら、時間だけでなくプロジェクトメンバーを組む上でミスマッチも激減するだろう。

 このようなコラボレーション環境を実現するのに必要なのは、Lotusという製品だけではない。企業自身が、ソーシャルなコミュニケーションを前提としたビジネスプロセスを受け入れることも重要だ。定例会議で部下に報告させ、その報告内容を別の定例会議で上司に報告する日々を繰り返すような旧来のマネジメントスタイルは、コラボレーションを阻害こそすれ、意思決定の迅速化や、生産性の向上にはつながらないだろう。

 このことを行木氏は、ダーウィンの進化論にあたりつつ「唯一生き残るのは、変化できるものだ」と指摘する。「複雑化するビジネスを勝ち抜くには、今すぐにでも企業コラボレーションのパラダイムシフトが必要」という行木氏の言葉は、企業におけるソーシャルウェア活用の必要性を、強く示唆するものと言えよう。

 そしてLotusが、クラウド時代の情報共有モデルを実現する解として提示しているのが、LotusLiveである。

「クラウドだからできること」を追求したLotusLive

日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部 Lotus事業開発部の赤松宏佳氏

 日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部 Lotus事業開発部の赤松宏佳氏はそのセッション「Lotusのクラウド戦略」の中で、「今や企業でグループウェアを使うのは当たり前。90年代の発想でクラウド時代に求められるグループウェアを考えることには、無理がある」と自戒する。

 一般にグループウェアの利用を開始する場合、全社一括で導入することが勧められる。言うまでもなく、すべての従業員が同じコラボレーション基盤の上にいないと、共有できる情報に制限が出てしまうからだ。だが赤松氏は、この常識に一石を投じる。

 昨今、従業員のワークスタイルだけでなく、彼らが利用する情報端末(および場所)、必要とするデータ、それを支える情報基盤などの多様化が指摘されている。このような状況下で一律、そして一様なコラボレーション基盤を展開してしまうと、「ある人には複雑すぎ(高コスト)、またある人には機能が足りない(生産性低下)という事態を引き起こしかねない」(赤松氏)のだという。

 赤松氏はLotus Softwareが具現化したクラウドサービス「LotusLive」を、「ベンダーが製品を決め打ちするのではなく、ユーザーが目的に応じて選択できるポートフォリオを揃えた」と紹介する。例えばメールを含めたコラボレーション基盤が必要なら、LotusLive iNotesやより高機能なLotusLive Notesという選択肢があるし、既存のメール環境やディレクトリを変更したくないユーザーに対してはLotusLive EngageやLotusLive Connectionsを提供する。

 ユーザーにとって、特に利便性が高いと考えられるのが、「ゲストアカウントの発行にはライセンス不要」というLotusLiveの考え方である。例えば社外の協力会社と共同でプロジェクトを進める場合、グループウェアを利用してファイルを共有したり、進捗を把握したりしようとしても、相手にライセンスがないと使えないタイプのグループウェアであれば、結局コラボレーションは社内にとどまってしまう。

 だがLotusLiveの場合、独自のメールシステムを利用している外部協力会社に対しゲストアカウントを発行し、同じLotusLiveの基盤上で共同作業できる。加えてWeb会議についても、ライセンスが必要なのはイベントを開催する必要があるユーザーだけであり、開催権が不要なのであれば(つまり参加だけであれば)ライセンスどころかアカウントも不要である。

日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部の大川宗之氏

 「Webブラウザのみで利用でき、必ずしもメール環境に依存せず、そして外部とのコラボレーションを容易にするライセンスポリシーがあるLotusLiveは、“クラウドだからできること”を追求したコラボレーション基盤だ」と赤松氏は紹介する。

 赤松氏は自身のセッションを通じ、「LotusLiveはNotesをクラウド上に再現しただけの製品でも、単なるオンプレミスの置き換えでもない」と位置付ける。実際そこには、社内だけでなく社外の関係者とも柔軟にコラボレーションできる基盤が備わっている。

 なお先日、バージョン8.5.2として機能拡張したばかりのLotus Notes/Dominoも、HTML5への対応、リッチテキストエディタの拡張、iOSデバイスへの対応強化などを果たした。「Lotus Notes/Domino最新技術情報」としてアップデートを紹介した日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部の大川宗之氏は「ファイルベースの情報アプローチに縛られた製品も多い中、Lotusは“人ベースの情報アプローチ”という思想で一貫している。Lotus Notes/Domino8.5.2は今後のクラウド時代、Web時代を切り開く布石となるバージョンに仕上がっている」と自信を込める。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年12月16日