「データセンターの国内立地環境整備」にかかわる規制緩和の対応と各省庁の見解についてオルタナティブ・ブロガーの視点(3/3 ページ)

» 2010年11月22日 17時48分 公開
[林雅之,ITmedia]
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 国内において、いち早く対応を進めているのがIIJです。IIJは8月26日、「IIJ、商用として国内初となる外気冷却コンテナユニットによるデータセンター「松江データセンターパーク」を構築開始」という報道発表をしました。

 IIJの報道発表には、松江データセンターパークの構築に当たり、IIJが独自に企画、開発したITモジュールIZmo(特許出願中)を利用し、データセンターのコンテナついては以下の内閣官房の回答を受けて対応を進めているとしています。

 2010年8月2日に出された、内閣官房「構造改革特区及び地域再生(非予算関連)に関する検討要請」の回答の中で、国土交通省から「内部に人が原則として入らないコンテナを活用した通信機器収納施設については、建築基準法第2条第1号の建築物に該当しない設備機器として取り扱うことに関し、運用を明確化し、特定行政庁及び指定確認検査機関等に対し周知徹底を図る。」との見解が示され、平成22年度中に対応が全国的になされることとなった。

 IIJでは、「IIJ外気冷却コンテナ型データセンター実験に見る和製クラウドの未来」などによると、実験の段階では、ISO規格のコンテナではないため、モジュール型と呼んでいるようです。商用としての運用の場合、ISO規格のコンテナ型なのかモジュール型なのかは、報道発表資料からははっきりと読み取れませんが、独自のモジュールを特許出願をしているということから、ISO規格外と推測されます。

 政府では、平成22年度内に措置(通知)するとしていますが、コンテナ型データセンターの規制緩和の対象がどこまで対象としているのか、政府から出される通知の記載内容が注目されます。

 国内立地推進に当たっては特区創設の検討も進められており、「総合特区での「データセンター特区」の提案状況について(11月4日)」でも紹介されていましたが、特区にはデータセンター関連では10件の提案がなされています。一方、「ICT関連の事業仕分け結果について(フューチャースクール、地域ICT利活用広域連携事業、新ICT利活用サービス創出支援事業、ICT海外展開関係事業、総合特区推進事業など)(11月18日)」でも紹介しましたが、「A-19:総合特区推進調整費(内閣府)」で、23年度に820億円の予算が計上されていますが、事業仕分けで、しっかりとした説明ができない限り、来年度の予算計上は見送りとなっています。

 政府の国内立地推進に向けて、自治体などが動き出しています。自治体では独自に優遇制度をもうけるところも増えてきました。国内外のデータセンター事業者が政府の規制緩和などの通知を受けてどのような対応をしていくのか、特に外資系事業者が国内にデータセンターを立地できるのか、今後の動向が注目されます。

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