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» 2010年11月24日 18時53分 UPDATE

BPM FORUM 2010 Report:市場変化に耐えるビジネスプロセスの確立――BPM導入の方程式

市場を取り巻く環境変化が激しさを増す中で、企業がビジネスを成功させるには業務プロセスの最適化が不可欠だ。BPMの導入で理想的なビジネスプロセスを構築している企業に共通して見られるポイントとは、どのようなものだろうか。

[國谷武史,ITmedia]
ibm_bpm01.jpg 日本IBM ソフトウェア事業 エバンジェリスト 吉田洋一氏

 新興国市場の台頭や増え続ける企業の買収・合併など、企業を取り巻く経営環境は常に変化し続け、そのスピードを増している。環境変化に強いビジネスを実現する手段として注目されているのが、「ビジネス・プロセス・マネージメント」(BPM)だ。日本IBMが主催した「BPM FORUM 2010」では、BPMエバンジェリストを務める吉田洋一氏が、BPMの導入によってビジネスプロセスを最適化していく方法を解説した。

 同社が実施した企業のCEO意識調査によると、BPMの導入に注目する理由として「市場の変化」を挙げる回答が目立つ。その割合は世界全体で56%、日本で78%に上り、さらに日本では「グローバル化」(41%)や「技術革新」(40%)の回答も多い。

 吉田氏は、「戦略を立案しても環境変化によって整合性をとることが難しい時代。ビジネスを可視化し、分析によって最適化していける手段を短期間に実現したいという要望が強まっている」と話す。BPMは企業が環境変化への適応力を高める手段として注目されている。

 BPMの取り組み方には、ビジネスの重要性に応じて4つのパターンがあるという。最も高い順に「プロセスの監視」「プロセスの実装・自動化」「プロセスの分析・シミュレーション」「プロセスのモデリング」だ。まずは業務の内容やそのプロセスを可視化しようと、「プロセスのモデリング」から始めることが良いように思われるが、吉田氏は「大抵の場合は失敗する」と指摘する。一方で、「プロセスのモデリング」以外の3つのパターンは、どれから着手してもほぼ成功につながるという。

 「プロセスのモデリング」では、まず理想的な業務プロセスを図化し、そこに周辺業務(例外処理)を付け足していく。理想的な業務プロセスは非常にシンプルだが、例外処理を加えると複雑な構成になってしまう。例外処理が発生する割合やプロセス上のボトルネックなどについて、ビジネスの全体を把握しながら原因分析をすることが非常に難しい。プロセスを図化する際に、業務担当者から十分な協力を得られない場合もあるため、BPMの取り組みがつまずきがちだ。

 成功につながるとされる3つのパターンでも、ビジネスプロセスを可視化する作業が不可欠になるが、そこには「ビジネス上の付加価値が伴うかどうか」という視点が必ず加わる。その上で例外処理も含めた個々の業務を付加価値の有無、もしくはその割合によって分類し、さまざまな手段を利用して改善を図っていく。プロセス全体の状況を監視・分析しながら、環境の変化に応じて常に最適な状態を維持するという具合である。

 吉田氏は、可視化したビジネスプロセスを人や組織に依存しない「知識」として活用できるようにすることが重要だと説く。過去にビジネスプロセスの一部分を可視化しているような場合なら、その情報も活用して全体を可視化することが望ましい。ビジネスプロセスを可視化するために、業務に関する特別な深い知識を持っている必要はないという。

 BPMツールを導入した製造業界の日系企業では、世界各地の拠点ごとにSAPのインスタンスがあり、ビジネスプロセスがSAPのシステムと紙の伝票を利用する形で実装されていた。これを統合するためには莫大な時間とコストが伴い、作業時のデータ入力などでもミスが発生する恐れがあった。BPMの導入では、まずビジネスプロセスを標準的なものと拠点ごとのもの(差分ビジネスプロセス)に分解し、プロセス全体を定義した。業務処理は標準的なプロセスをベースとしつつ、差分ビジネスプロセスが必要な場合やSAPシステムとの連携は、BPMツールが必要に応じて動的に対応する仕組みにした。

 ここでは「プロセスのモデリング」までは行っていたものの、BPMツールを導入して「付加価値の高い業務」を優先する仕組みを構築した。以前は70ものプロセスが存在したが、BPMツールで34のプロセスに整理し、一部業務を事務処理センターに移管したことでコストも削減した。業務状況をリアルタイムに監視し、業務量の多いプロセスに社員を優先的に割り当てる体制を実現した。

 BPMツールの導入に際して吉田氏は、PDCAを通じたTCOによって効果測定ができること、非機能要件に対する拡張が容易であること、部門やシステム、地域をまたがったプロセスに対応できること――が重要になると指摘する。実際にビジネスプロセスを最適化する取り組みでは、IT部門と業務部門が協調し、顧客に近いプロセスから着手していくことが望ましいと、同氏はアドバイスしている。

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