コスト削減で経営に寄与:下町のインテリアカンパニーに息づく「クラウドのDNA」

生産設備を所有せず、製品の企画・開発に注力する「ファブレスメーカー」として事業を展開するアトムリビンテックは、その考え方をIT基盤にも適用し、コスト削減や運用改善を果たしたという。老舗の内装金物企業とプライベートクラウドの出会いは、どのようなものだったのだろうか?


 江戸は下町の風情を残す台東区入谷。そこに居を構えるアトムリビンテックは、創業を明治36年にさかのぼる老舗企業だ。扱う商材は住宅に使う金物類。住宅向けの金物としては、建築資材向けのものが一般的だが、アトムリビンテックの強みは、内装用の金物にある。

 同社のユニークな点は自社工場を保有せず、製品の企画と開発、販売に専念するという、いわゆるファブレスメーカーの形態をとっていることだ。この"コアコンピタンスでない部分は所有せず、利用する"というDNAは、同社の情報システムに対するポリシーにも、生きているようだ。

限られた人的リソースで社内にITサービスを提供する

sony_atom_ph1.jpg アトムリビンテック 管理部 次長 兼 電算課 課長 小林浩明 氏

 アトムリビンテックの規模は従業員が110人強、その事業所は国内6カ所におよぶ。同社管理部次長であり、電算課の課長も兼務する小林浩明氏は「出入庫などを担当する一部のスタッフを除き、ほぼすべての従業員がPCを利用して業務を行っています」と話す。

 もともと同社では、早い段階から業務でコンピュータを利用してきており、90年代後半には、社内にインターネット環境を整備し、高度なIT 基盤の構築を着実に進めていった。bit-driveとの出会いは2003年、インターネットVPNを導入し、セキュアな通信を実現した。

 電算課ではさらなるIT 基盤の向上を目指し、日々検討を続けていたが、より良いものに作り上げるには、いかに運用負荷を軽減し、5人の本社電算課員だけで全国のIT 基盤を運用するかという課題があった。

 電算課としての理想を言えば、本社だけでなく各拠点にも、スタッフを配置したいところであろう。だが現実には、5人の電算課員で、全国に散らばる同社IT 基盤を運用しなければならない。小林氏は「人員を増やすことは考えていませんでした。ただでさえここ数年は、業界全体が景気停滞の影響を受けていたところでもあり、電算課としては"コストを抑えつつ、いかにしてIT のサービスレベルを維持・向上するか?"が1 つの課題となっていました」と振り返る。

 このような中、サービスインしたのが、ソニーbit-driveが手掛ける中堅中小企業向けのプライベートクラウド型サービス「マネージドイントラネット」である。

コスト削減で経営に寄与

sony_atom_ph2.jpg アトムリビンテック 管理部 電算課 主任 星野智紀 氏

 マネージドイントラネットとの出会いについては、「実は担当営業からの提案でした。2009年の秋ごろでしょうか」と語る小林氏だが、その提案にはアトムリビンテックとして真剣に検討するに足る価値を認めたという。例えば社内に設置している(Web 環境周りの)サーバ群は、ソニーが管理するbit-driveのデータセンターに集約できる。また従来、各事業拠点のDNSなどはどうしてもリモートから設定できなかったが、マネージドイントラネットのマネージメントツールを使えば、一括でネットワークの設定を行える。そして何より、こういった改善により電算課の負荷が改善すれば、その分、運用以外の業務で経営に寄与できるだろう。

 自社で管理していたIT 基盤をマネージドイントラネットに移行すれば、bit-drive への月額費用は増大するものの、ネットワーク費用、アプライアンスやサーバの保守費用は削減できるため、トータルコストでは有利になる。またクラウド化により削減した工数を生産的な業務にまわすこともできる。「従来から当社の経営陣は、IT投資に対する理解がありました」と話す小林氏がその導入を経営陣に諮った結果、2010年の2月に、マネージドイントラネットへの移行が完了した。移行については「各事業拠点に依頼したのは、送付したマネージドルータの接続だけ。従業員には、ほとんど作業負荷をかけていません」(星野氏)という。

 その結果、従来は社内にサーバを立てたり、外部にホスティングしたりしていたメールサーバ/ウェブサーバ/プロキシサーバ/ログ管理サーバなどは、すべてプライベートクラウド環境に移行した。またオプションアプリケーションとなるウイルスチェック/スパムチェック、そしてメールアーカイブ機能も利用することとし、アプライアンスを2台、そしてメールアーカイブサーバを1 台、削減できた。

pict_atm.jpg 全国の拠点を結ぶネットワークを本社から一括管理できる

 星野氏は「ちょうどマネージドイントラネットを導入する前から、自社管理のグループウェアサーバ(desknet's)が不安定になっていました」と話すが、この問題もdesknet'sをプライベートクラウド上で利用することで、根本的に解消できたという。「蓄積された業務データを維持しつつ、グループウェアサーバを再構築するのは大変だと予測していましたが、マネージドイントラネットのおかげでその必要もありませんでした。むしろbit-driveに対し移行を急ぐよう、依頼をしてしまったほどです」(星野氏)

 とはいえアトムリビンテックでは、無条件にマネージドイントラネットの利用を決めたわけではない。当然、類似サービスとの比較検討も行ったという。

 「正直なところ、価格だけを見ればbit-driveよりも安価なサービスは存在します。ですがそういったサービスは、ユーザー側による設定が多く、導入時に負荷がかかるものでした。また、保守サポートも限定的だったりで、当社の作業負担が大きく、運用に耐えうるものではないと判断しました。また、パブリッククラウド型サービスであったためセキュリティの不安もありました。」と小林氏は話す。また星野氏も「bit-driveには、ユーザーの要望を聞き入れ、実際にサービスに反映するという機動力があります。リモートアクセスサービスであるPRA PLUSの仕様も、要望に沿った形となりました。必ずしも当社の声だけを聞いてくれているわけではないとは、思いますけれど」と笑う。

 「この景況をかんがみると、コスト削減で直接経営に寄与できたことは大きい。同じだけの利益を計上しようとすると、売り上げベースでは相当の金額を達成しなければいけませんから」と小林氏は話す。

経営にも貢献する「クラウドのDNA」

 効果はコストや運用負荷の削減だけではない。アトムリビンテックでは従来から、取引先への信用確保の観点からIT 統制への意識が高く、情報セキュリティやIT 資産管理の製品を導入して対策してきたというが、「今回、マネージドイントラネットのメールアーカイブを利用することで、より強固なものとできました」と小林氏は評価する。

 「これまでもbit-drive は、われわれユーザーの声を真摯に受け止め、サービスとして実装してくれました。今後もどんどん進化していくことを期待しています」(星野氏) 経営にも貢献するITを実現したアトムリビンテック。「クラウドのDNA」により改善されたIT 基盤はこれからも着実に発展していくだろう。

株式会社アトムリビンテック

株式会社アトムリビンテック

株式会社アトムリビンテック

・所在地 東京都台東区入谷1−27−4

・設立 1954年10月

・事業内容 住まいの金物(内装金物)の企画・開発・販売




提供:ソニービジネスソリューション株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年12月31日

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