Microsoft、Kinect以外にもジェスチャーや音声認識活用へ

モーションゲームコントローラー「Kinect」は、Microsoftにとってまだ「序章」のようだ。同社はタッチやジェスチャー、音声操作などの技術をさまざまな製品に取り入れようと考えている。

» 2010年12月02日 14時27分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftの幹部らの話からすると、Xbox KinectとWindows Phone 7はナチュラルユーザーインタフェース(NUI)の推進を目指す同社の取り組みの始まりにすぎないようだ。同社は、タッチやジェスチャー、音声操作などの技術を、ゲームから乗り物にいたるさまざまな製品に搭載しようと計画している。

 MicrosoftのTellme部門のマーケティング担当上級ディレクター、イリヤ・バクシュテイン氏が12月1日、ニューヨーク市で開かれた会合でeWEEKの取材に応じて語ったところによると、音声認識技術はMicrosoftの「主要な取り組み」の1つであるが、そのレベルは依然として「クラウドよりもまだ若干初期の段階」にとどまっているという。

 Microsoftの新しいハンズフリーコントローラ「Kinect」では、3Dカメラを利用して、プレイヤーの身体の動きを画面上のアバターに反映できるようになっている。さらにKinectは本格的な音声操作機能も搭載しており、Xboxゲーム内のキャラクターに声で命令を出したり、映像の一時休止や早送りを声で操作したりなど、ユーザーインタフェースのかなりの部分を話し言葉で実行できるようになっている。ちなみに、Bing Mobileでの検索は20%程度が音声で実行されている。

 「このように音声認識技術はNUIにおける共通の主要要素となっている」とバクシュテイン氏。Microsoftのスマートフォン向け新OS「Windows Phone 7」も、検索など各種の機能に音声認識を大いに活用している。

 同氏によれば、消費者向け市場と企業向け市場のいずれについても、音声認識技術がよりユビキタスな要素となるのは「2〜3年先」となる見通しという。企業向け市場においては恐らく、タブレット端末からホワイトボード形式のスクリーンにいたるさまざまな端末で音声認識とタッチ技術とジェスチャー技術が一斉に使われるようになるだろうと同氏は示唆している。とは言いながらも、同氏は開発中の具体的な取り組みについては一切コメントを控えている。

 また同氏は「クラウドがNUIの成功要因となる」とも語り、Bingなどの各種サービスから得られるデータがNUI技術の改良に役立っていることを示唆している。

 Microsoftは各種の端末やサービスで音声認識機能を強化することを目指し、まず2007年にTellme Networksの買収を発表した。「われわれは音声認識技術を、プロダクティビティソフトウェアとの対話性を向上させる方法として捉えている」と当時Microsoftのビジネス部門担当プレジデントを務めていたジェフ・レイクス氏は買収の際の声明文で述べている。「人々は絶えずあちこち動き回っており、インタフェースに音声を用いたいと望んでいる。情報にアクセスするためであれ、かかってきた電話に出るためであれだ」と同氏は続けている。

 Tellme NetworksはMicrosoftに買収されるまでは従業員数320名の株式非公開企業であり、UPSやAmerican Airlines、FedExなどの企業を顧客に抱えていた。Microsoftの当初の狙いは、新たに獲得した技術を、電話などの各種の端末のほか、ユニファイド・コミュニケーション製品に統合することだった。

 さらにMicrosoftは先ごろ、3DセンサーのCanestaを買収した。Canestaは、ノートPCから車のダッシュボードまで、さまざまな消費者向け製品に組み込める3Dセンサーチップやカメラモジュールを手がけるメーカーだ。Kinectの販売が好調に推移していることから――発売から25日間で250万台以上を販売したと報じられている――Microsoftは恐らく、この3D技術をほかの端末やアプリケーションにも活用することになるだろう。

 テクノロジーに詳しい人たちの中には、Microsoftや製造パートナーがジェスチャー技術を改良するのを待ち切れずに、Kinectの3Dカメラをゲーム以外の用途に早々と改造し、さまざまな応用例を開発している人たちもいる。例えば、Kinectを使って空中に3Dイメージを描いたり、ロボットをコントロールしたりなどだ。

 Microsoftは当初こうした二次利用に難色を示していたものの、その後、容認の立場に方針を転換している。MicrosoftでXboxのインキュベーションディレクターを務めるアレックス・キップマン氏は11月19日、NPRのラジオ番組に出演し、「まず最初に言っておくべきは、実際のところ、Kinectがハッキングされたことにはならないということだ」と語っている。「誰かがPCのUSBポートを開き、Kinectのセンサーからの情報を読み取るためのオープンソースドライバを開発した。そうしたUSB接続に関しては、われわれはあえて設計でプロテクトをかけなかった」とさらに同氏は続けている。

 今のところ、どうやらMicrosoftは今後のロードマップにおいてNUIに重要な役割を担わせる計画のようだ。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ