分析力に優れた企業は「人材」と「顧客満足」に強み

クロス・マーケティングとSAS Institute Japanは、「分析力に優れた企業のイメージ」に関する調査結果を発表した。

» 2010年12月16日 11時54分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 調査会社のクロス・マーケティングとSAS Institute Japanは、社会人1000人を対象に共同実施した「分析力に優れた企業のイメージ」に関する調査結果を発表した。国内企業ランキングではトヨタ自動車がトップとなった。

 調査は11月にインターネットアンケートで実施し、成長力や分析力に優れた企業に見られる傾向を調べた。併せて分析力に優れたイメージの強い国内企業のランキングも集計した。調査を企画したSAS Institute マーケティング本部の倉石英典氏は、「米国ではこの分野で多数の調査が実施されているが、国内では例がなく、日本の特徴を明らかにするのが狙い」と説明している。

 従来の成長企業に対するイメージについて、「顧客満足度の高さ」や「人材を育成する力」、「先の状況を見越す力」が備わっているとする回答が目立った。一方、今後の成長に必要とされる条件でも「人材を育成する力」や「先の状況を見越す力」、「顧客満足度の高さ」が挙げられた。

成長企業に備わっている条件のイメージ

 クロス・マーケティング プランニングリサーチャーの雪嶋貴大氏は、「時代を問わず、成長する企業には将来を予見する力、また、人材育成や顧客との関係作りに注力する姿勢が共通条件として備わっている」と分析している。

 分析力に優れた企業に備わる条件には、「顧客ニーズを深く知ろうとしている」(70.4%)や「市場動向を熟知しようとしている」(58.2%)が上位に挙がっている。「海外留学者やほかの文化を学んだ人材がいる」(7.7%)や「MBA(経営学修士)取得者や高学歴出身者が多い」(3.0%)など人材に関する条件は低い傾向にあり、「必ずしも“分析力=優秀な人材”ではない」(雪嶋氏)という。

 分析力を高めていく条件には、「社内人材の育成による向上」(65.2%)や「情報収集量の拡大と収集力の向上」(59.0%)、「経営層による方針作成とリーダーシップ」(54.0%)、「企業全体としての意識変化」(53.0%)が挙げられた。企業の成長に社員の分析力を高める取り組みが必要だと考える社会人が多いことが明らかになった。

 分析力に優れているとのイメージの強い国内企業には、トヨタ自動車のほか、パナソニック、ソニー、ソフトバンク、ファーストリテイリングが上がった。雪嶋氏によれば、顧客ニーズを的確にとらえた商品やサービスの展開、グローバル企業、業界のリーダーといった成果から分析力が高いとイメージする傾向がうかがえると指摘する。

分析力が高いという企業イメージが作られる要因

 企業が分析力を高めていくためには、経営トップによるリーダーシップのもと、社員の能力育成や意識改革、情報収集力の向上に取り組む必要があると両社ではアドバイスする。そのためには、分析業務を支援する情報システム基盤の活用が不可欠だと結論付けている。

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