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» 2010年12月20日 08時00分 UPDATE

プライベートクラウド化のA to Z:第二歩 仮想化のリスク評価は確実に

IT基盤をクラウド環境に移行する際には、現在の環境の分析と、プライベートクラウド化の戦略が必要だ。今回は分析項目および、リスク評価の方法を解説する。

[小坂剛生(EMCジャパン),ITmedia]

 前回の記事では、既存のシステムをクラウド環境に移行するに当たり、現在の環境を分析し、プライベートクラウド化のための戦略を立てることが必要であると説明した。こうした分析がなければ、システムをクラウド環境に移行または稼働させるに当たってのリスク判断はできない。

 この結果、ワークロードの低いサーバしか移行できなかったり、リスク回避のあまりシステムに対して過剰に投資してしまい、投資対効果が低くなってしまうのだ。

 今回は、分析すべき項目のポイントおよび、リスクを評価する方法について要点を説明したい。なお本稿では、仮想化ソフトウェアとしてヴイエムウェアのvSphereを、またシステムの分析についてはWindowsが稼働しているシステムを前提として、解説する。

なお前半部分では、システムのパフォーマンス分析の解説が中心となるため、分類の方法については本稿の後半部分を参考にしてほしい。

システム分析を行うための主なツール

 システムの分析に当たっては、サーバ仮想化技術を使ったプライベートクラウド化を検討することを前提とした場合、前回も述べたとおり、専用のツールを利用して収集する方法が一般的に知られている。ツールはハードウェアまたはソフトウェアの提供元しか利用できないものもあれば、自由にダウンロードしたり、専用のツールを購入したりすることもできる。代表的な物を以下の表にまとめた。

ソフトウェア名称 提供元
Microsoft Assessment and Planning Toolkit マイクロソフト
VMware Capacity Planner ヴイエムウェア
PlateSpin PowerRecon ノベル
パフォーマンスモニタ、sar、iostatなど OSに付属
その他 オープンソース製品など

 これらのツールは、測定対象のシステムにエージェントなどのソフトウェアを導入することなく、分析に必要な多数の情報を自動的に収集することができる(例えばWindowsの場合、標準で稼働しているPerformance and Logsサービスからシステムの稼働情報を収集したり、Windows Management Instrumentationサービスから機器の構成情報を収集したりできる)。

 なお、ソフトウェアによっては現在インストールされているソフトウェア情報なども収集することができ、資産の管理や、クラウド環境への移行計画を立てる場合の検討材料として重宝する。これは、物理サーバに導入されているドライバや、サーバ固有の監視ソフトウェアは仮想環境では、基本的に必要がなくなるため、移行時に停止したり、削除したりする必要があるからだ。

ワンポイント

ソフトウェアの一覧はサーバ固有のドライバやエージェントの導入状況を知る以外にも、バックアップソフトウェアやウイルススキャンなどのサーバ基本ソフトウェアをクラウド環境で利用するための標準を策定するのにも役立つ(ユーザーにとっては、クラウド化によりバックアップ方式やセキュリティ方針までを検討できる、良い機会になる)。


 なお、ユーザーによっては専用の監視ツールや、オープンソースのソフトウェアを活用して、物理サーバの障害監視だけでなく、パフォーマンスを監視しているケースもある。これらのソフトウェアによって蓄積されたデータはクラウド化での計画を立てるデータとしては、とても有効である。その理由は、繁忙期を含めた年間を通じてのデータを蓄積していることや、システムの重要度とは関係なく、リソースが不足するリスクが高いシステムをあらかじめ把握できるためである。

 既存環境の分析において重要な点は、クラウド環境に移行しても、その中でシステムが今まで通り稼働するか、潜在的なリスクがないかを評価、検証することである。また、同時に、複数ある既存のシステムの中で移行を進めやすいものはどのシステムなのか、そうでないものは何かを評価することも必要となる。

 また、中には現在の物理環境においてリソースが不足していたりするシステムも明らかになる。

 では、収集したデータを分析するに当たり、例えば要素毎に以下の表の項目について分析してみることを考えてみよう。なお、これらのデータは前述の収集ツールでは実際に収集している項目である(OSに標準で付属のツールはユーザー自身が設定しなければならない)。また、ツールでは実際にはアプリケーションの情報も含め多数の情報を収集していることを付け加えておく。主な評価項目例を、以下に示す。

大項目 評価項目 Windowsにおけるパフォーマンス
プロセッサ(および関連項目) プロセッサ使用率 % Processor Time
プロセッサ実行待ち命令数 Processor Queue Length
コンテキストスイッチング発生回数 Context Switchs/sec
割り込み発生回数 Interrupts/Sec
メモリ(および関連する項目) メモリ利用率 Available Bytes
ページング発生回数 Pages/sec
ストレージ(および関連項目) ディスクIO数(Read/Write) Pages/sec
ブロックサイズ Avg Disk Bytes/Transfer
容量
ネットワーク(および関連項目) ネットワークのトラフィック量 Bytes/Total
ソフトウェア ソフトウェア/セキュリティパッチの導入状態

 先に述べた多くのツール(Windowsのパフォーマンスモニタも含めて)では、このような測定結果をCSVファイルなどのテキスト形式で出力できる。これらの結果を可視化することで、システムの稼働度合やリソースの消費傾向が鮮明に分かるようになる。

 また可能であれば、ソフトウェア、セキュリティパッチなど、ソフトウェアの導入状況についても分析を行っておきたい。クラウド環境では、ライセンス形態が異なるソフトウェア製品があるためで、場合によっては追加でライセンスを購入しなければならない場合もある。

 セキュリティパッチについては、ユーザーの事情(アプリケーションの互換性など)があるもの、筆者の経験では、すべてのシステムにセキュリテパッチが適用されていないこともある。クラウド環境に移行するに当たって、もう一度見直しを行い、対応を検討してもよいのではないだろうか。

 データの収集は、通常30分に1回または1時間に1回の割合で収集を行う。繁忙期などがあらかじめ分かる場合は、そのような時期に合わせて稼働情報を収集するとよい。すでにシステム管理ツールなどで、このようなデータを持っている場合は、実際の稼働状態のデータを照らし合わせてみることを検討してほしい。

 次回は、ポイントとなるいくつかのパラメータについて説明する予定だ。


筆者プロフィール:小坂 剛生

EMCジャパン テクノロジー・ソリューションズ本部 コンサルティング部 コンサルタント。2004年3月、EMCジャパンに入社。主にプライベートクラウド化のためのサーバ仮想化、デスクトップ仮想化の計画策定に従事する。


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