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» 2010年12月29日 08時00分 UPDATE

2010年編集後記:ふぞろいの編集者たち【前編】

私たちITmediaエンタープライズ編集部員には、年越しそばに箸をのばす前に、やらなければならないことがあるのです――そう今年も、年末編集後記「ふぞろいの編集者たち」をお届けします。

[ITmedia]

 前・後編の本企画。前編を担当するのは記者発表会の突撃隊長、國谷武史と、朝なら任せろ外電担当、佐藤由紀子。そして2010年もアメとムチでブロガー陣を締め上げた? オルタナティブ・ブログのばんちょ〜鈴木麻紀の3人です。

評価の難しいお話

(國谷 武史)

 8月に米Intelが発表したMcAfeeの買収は、76億8000万ドルというIT業界では過去最大の規模である点に注目が集まりました。2009年にSun Microsystemsを買収したOracleに関しては、今でも買収についてのさまざまな話題が飛び交うことがありますが、Intelのケースは発表後しばらくして話題が収束してしまった感があります。

 その理由は、「この買収はどんな意味があるの?」という一番の疑問が解決しないままだからでしょう。当初から、半導体大手のIntelとセキュリティ大手のMcAfeeが1つになることの具体像がイメージしづらいという指摘が多方面から出ていました。8月の発表時点で、2社は次のコメントを発表しています。

セキュリティーが今日のオンラインコンピューティングにとって基本要素であることを表しています。現在のセキュリティー対策は、携帯端末やワイヤレス機器、テレビ、自動車、医療機器、ATMなど、新たにインターネット接続される数十億台の機器や、急増するサイバー脅威に対して、万全とは言えません。多様化するオンライン社会を保護するためには、ソフトウェア、ハードウェア、そしてサービスを包含したまったく新しい対応が求められます。(共同リリースより一部抜粋)

 9月にMcAfeeの担当者であるゲルハード・ワッツィンガー氏にインタビューしましたが、「具体的な計画は買収が完了してから」とのことです。当然ですが……(本コラムを執筆している時点で買収は完了していません)。

 その後、他のITベンダーにもこのニュースに対する印象や意見を、事あるごとに尋ねてみました。セキュリティ業界側は、セキュリティの必要性が評価されたと、おおむね好意的な意見が聞かれました。しかし、セキュリティ業界以外では好意的な見方と否定的な見方に分かれました。

 好意的な見方には、Intelの買収戦略を高く評価するものが目立ちます。否定的な見方には、「2社がシナジーを生み出せるのか疑問」「垂直統合モデルは顧客にメリットがない」といった意見が挙がりました。中には「オフレコで……」とお願いしても、コメントを拒否された方もいました。

 私としては、2社が表明した考えが今後必要になるだろうと考えています。2社が1つになって取り組む姿勢を明確にしている点も評価されるでしょう。さて、具体的にどのような展開を見せるのか――2011年にそれが明らかになることを期待したいと思います。


2010年を彩ったオトコたち

(佐藤由紀子)

 良くも悪くも、“顔の見える企業”はその動向を追うのが楽しいものです。質実剛健な企業も素敵ですが、基調講演などで派手な発言をしてくれるCEOが率いる企業については、ついつい頻繁に取り上げたくなります。今年もさまざまなCEOたちが話題を提供してくれました。

Oracle ラリー・エリソンCEO

larry ラリー・エリソン氏

 競合企業への攻撃的な発言がお約束になっている米Oracleのエリソン氏。米Sun Microsystemsを買収してハードウェア部門を持ったことから、従来の独SAPや米IBMに加え、これまで提携してきた米Hewlett-Packard(HP)も標的に。HPがマーク・ハードCEOを辞任に追い込んだ際は、「AppleがジョブズCEOを解雇したとき以来の最悪人事」とHPを非難し、HPが後任CEOに元SAPのレオ・アポテカー氏を指名したことには「開いた口がふさがらない」と言ったり。最近ではSPARC新製品の発表会で「OracleがチータならHPは亀」とイラスト入りのベンチマーク結果を披露したりしています。

 エリソン氏は米salesforce.comもやり玉に挙げています。9月のOpenWorldで「Oracle Exalogic」を発表した際、「salesforce.comは単なるサービスアプリであって、クラウドではない」とこきおろしました。8月に米GoogleをJava特許侵害で提訴していますが、今のところGoogleのエリック・シュミットCEOに対する公の発言はないようです。

salesforce.com マーク・ベニオフCEO

marc マーク・ベニオフ氏

 エリソン氏にこきおろされたベニオフ氏はOracle出身で、salesforce.com立ち上げの際にはエリソン氏から出資してもらっています。でも、エリソン氏直伝(?)の舌鋒(ぜっぽう)はかつてのボスに対しても鈍りません。9月に日本で開催した「Cloudforce Japan」では、「SAP、Oracle、Microsoftはもう古い」と言ってのけ、12月のDreamforceでは「箱を売るのはクラウドではない」と「Exalogic Elastic Cloud」を否定しました

 Dreamforceでは、宿敵Microsoftへの攻撃パフォーマンスでも会場を沸かせています。

 この人のすごいところは、記事を2004年くらいからたどって読んでみても、言っていることにブレがないことです。オンデマンドアプリとかビジネスウェブとかSaaSとかクラウドとか、使う言葉は変化しても、やろうとしていることは一貫しています。ビジョンが明確ってかっこいい。

Apple スティーブ・ジョブズCEO

jobs スティーブ・ジョブズ氏

 黒いハイネックのジョブズ氏は今年も大活躍で、年明け早々1月5日にはiPhoneアプリのダウンロード数が30億を超えたと発表し「競合は当面App Storeに追い付けそうにない」と暗にAndroidをけん制。iPhoneのFlash非対応をめぐってはAdobeを徹底的に非難しました。iPhone 4のアンテナが指で覆うと感度が下がるという“仕様”については、ケース無償配布という対策はしましたが、最後まで欠陥とは認めませんでした。

 また、大成功のiPadについて、7インチ版の可能性を聞かれたときは、7インチでは小さ過ぎて「指をヤスリで削る必要がある」と一蹴。iPad 2は7インチ版にはならないでしょう。

行く人来る人、など

 Timeの「今年の人」は米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOでした。ジョブズ氏が「1984年」のCMを打った年に生まれたこの人にジョブズ氏ばりのカリスマ性を求めるのは酷でしょうが、同氏のBlogや基調講演からはあまり強いオーラが感じられないような気がします。Facebook創業を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」は2011年1月15日に日本で公開の予定です。

 ステージでの大きな声と身振りが印象深いMicrosoftのスティーブ・バルマーCEOは、今年はちょっと静かでした。Windows Phone 7がブレイクしたら、楽しいダンスを披露してくれるかもしれません。

 今年CEOを退いた人は、Oracleの社長になったHPのマーク・ハード氏、米Sun Microsystemsのジョナサン・シュワルツ氏、ルクセンブルクのSkypeのジョシュ・シルバーマン氏、ノルウェーのOperaのヨン・フォン・テッツナー氏、米Twitterのエバン・ウィリアムズ氏など。シュワルツ氏は9月にヘルスケア関連の新会社Informed Biometry(サイト名はpicture of health)を立ち上げています(現在人材募集中)。

 2011年には、米Grouponのアンドリュー・メイソンCEOのような次世代の頼もしいCEOがどんどん登場しますように。


仲間っていいものですね

(鈴木 麻紀)

 マネジメント系記事&オルタナティブ・ブログ担当の鈴木麻紀(通称:ばんちょ〜)です。今年も日々ご機嫌に過ごしてまいりました。

 私の2010年最大(大ってなんだ?)のニュースといえば、まずはこれです。2009年に不定期連載として始まった、オルタナブロガー小俣光之さんとの共同執筆記事「ドジっ娘リーダー奮闘記」が、年明けより週刊連載になり、6月には書籍化したことです。

 書籍化に当たっては、オルタナブロガー各編集部の皆さんに書評を書いていただいたり、強引に関連記事を作ってもらったり、Ustでは津田大介さんにテレビショッピングさながらがらの宣伝(後半5分)をしていただいたり、とオールITmediaで支援してもらいました。いやー、仲間っていいものですねー。

 オルタナティブ・ブログの方はどうだったかというと、6月13日に5周年を迎え、1年間で69人の仲間も増え、ますます楽しく盛り上がりました。それもこれも、読者の皆さん&ブロガーの皆さんのおかげです。いやいやほんと、仲間っていいものです。

 2010年の私の幸せは、「仲間」によって支えられてきました。決して暴力をふるって、言うことをきかせてきたわけではありません。2011年はさらに仲間の和をガンガン広め、わがまま(我のあるがまま)に生きたいと思います。皆さんよいお年を〜。

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