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» 2011年01月11日 08時00分 UPDATE

クラウド界の「パンダ」になる?:普通のサーバに価値あるソフトを組み込む――Lindacloud

クラウド化したいが、パブリックにも、プライベートでもマッチしないと考えている企業に対するNTTデータの解答が「Lindacloud」だ。アプライアンスとして導入し、国内有数のSI実績を持つ同社のノウハウを手軽に享受できるという。

[石森将文,ITmedia]

 企業ITの利用モデルが、所有から利用へと変わりつつある。いわゆるクラウド化である。ではITの提供モデルは変化したといえるだろうか?

 1年ほど前から、大手ITベンダーによる「クラウドアプライアンス」的な位置付けの製品リリースが続いている。あらかじめ検証したサーバやストレージ、ネットワークスイッチなどをラックに納める形で組み上げ、そこに運用管理系のミドルウェアをセットアップした状態で、ユーザーに提供される。そこにデータベースや分析系ソフトウェアが加わる場合もある。

 ユーザーに対しては「プライベートクラウド基盤」というように説明されることが多いが、結局はハードウェアを調達することに変わりはない。またクラウドアプライアンスは、カスタマイズの柔軟性を見切った製品構成であることが多い。そのため「クラウドアプライアンスを検討したけれど、可用性などの要件を満たすにはカスタマイズが必要と分かり、従来型のハードウェア調達とSIを実施した」というケースもあろう。

 ハードウェアの提供が、ビジネスモデルという名のDNAに組み込まれた企業の場合、そこから抜け出すのは容易ではない。また現状では、企業ITの運用にハードウェアやソフトウェアが必要である以上、オンプレミスが悪だというわけでもない。とはいえ、クラウド化するつもりで検討を開始したのに、トンネルを抜けたらそこは非クラウドの世界だった――というのでは笑えない話である。

 ではどのような選択肢があるだろうか? プライベートクラウドの環境をベンダーから提供されるのではなく、自社で所有してしまうというのも、現時点では1つの方法だろう。そして所有するハードウェアはシンプルでオープンであるのに越したことはなく、そこにクラウド化したい用途のアプリケーションがあらかじめセットアップされていれば、なお良い。

 例えばNTTデータでは、上で述べたようなクラウド、オンプレミス、そしてアプライアンスの“良いとこ取り”を図るプロダクトとして、同社の垂直統合型サーバ「Lindacloud(リンダクラウド)」を位置付けているようだ。当然その狙いは、単純に箱を売りさばいて儲ける、というものではない。同社法人システム事業本部で、テレコムビジネス事業部 第三統括部の部長を務める角野みさき氏に話を聞いた。

ハードで競合するのではなく、SI力を付加価値に

kadono.jpg NTTデータの法人システム事業本部でLindacloudを担当する角野みさき氏

 特定用途向けのアプライアンスサーバと位置付けられるLindacloudは、用途に応じた複数のラインアップを有する。それはfor Hadoop、for NAS、for ThinClient、そしてfor Lindasync(分散ファイルシステムを利用した同期型オンラインストレージ)の4つである。

 製品化の背景には、企業システムを取り巻く環境の変化があると、角野氏は指摘する。アプリケーションは個別開発からパッケージ調達へ、開発する際もウォーターフォール型からアジャイル型へとトレンドが移ってきた。「作り込みを抑え、より安く早くシステムを投入したいというのがユーザーのニーズです」(角野氏)

 業務を迅速に効率化でき、速やかにコスト効果を上げられる選択肢を提供できれば、ユーザーに支持される。この考え方を、クラウド時代の特定用途向け製品として具体化したものが、Lindacloudとその4つのラインアップだといえよう。

 Lindacloudのユニークなところは、「ハードウェアでビジネスを成立させるつもりはありません」(角野氏)という点に集約できる。実際、サーバを調達する感覚で購入されてしまうと、「利益は見込めない」(角野氏)という。

 正直なところ、ハードウェアとして評価した場合、Lindacloudに目立った特徴があるわけではない。もちろんエアフローを最適化したり、高効率電源ユニットを採用したりすることで運用コストの最適化が図られているが、プロセッサはインテルのXeonなどではなくCore2 Quadだし、ネットワークも冗長化していない。「必要以上の冗長化はコストアップの要因になります。Lindacloudはハードの故障を前提とし、それをソフトでカバーするというコンセプトです。具体的には、分散ファイルシステムにレプリカを作り障害に対処します」と角野氏は話す(for ThinClientは除く)。

 もちろんユーザーとしては、信頼性に不安を抱く向きもあるだろう。角野氏は「本当にミッションクリティカルな基幹システムには高い可用性が求められますが」と前置きした上で、「ハードウェアの冗長化は、突き詰めればキリがありません。また実際の障害時に完全にフェイルオーバーできるケースが、どれだけあるでしょうか。多大な手間とコストをかけて冗長化するより、ファイブナインの可用性をフォーナインに落とすことで得られるメリットの方が大きいという考え方を提示したいのです」と指摘する。

 このようにLindacloudは、ある意味、枯れきったコモディティサーバだといえる。だからこそ、NTTデータが独自に開発したり、オープンソースを組み合わせたりすることで実現したアプライアンスとしての機能が、際立つことになる。

 実際NTTデータでは、既存の4つに加え、さらにラインアップを増やす予定だという。「“普通”のハードウェアに、NTTデータのSIノウハウをつぎ込んだソフトウェアを組み込むことで、付加価値が生まれます」と角野氏は話す。ハードウェアにクセがないことは、ソフトウェアの入れ替えで、今後さまざまなアプライアンス製品を作れる(ラインアップを増やせる)ことも意味するわけだ。

 実際のところ、既存の手法でクラウド基盤を構築するには、アセスメントから設計、構築、検証など、コストだけでなく時間もかかり、ビジネス環境の変化に即応するのは難しいことがある。「構築や導入に伴う作業が、ユーザーに重くのしかかっている現状があります。設計やチューニングのスキルを持つエンジニアが潤沢にいるとも限りません。要求条件さえ決まればすぐに稼働できるアプライアンス、この場合Lindacloudであれば、導入負荷を下げられるのです」と角野氏は指摘する。

 NTTデータにおける実績では、個別開発とアプライアンス導入を比べた場合、30%弱のコスト削減が可能だという。運用設計や検証に要するコストが減るとともに、サイジングやセットアップにかかるコストを低減できるからだ。

 NTTデータはLindacloudの製品ロゴとして、パンダをあしらっている。もちろんパンダのことは、皆が大好きである。例えば動物園の付加価値がパンダによって高まるように、Lindacloudは、同社のSIノウハウをユーザーに届ける牽引力になるのだろうか。


(なお、ITmedia エンタープライズとITmedia エグゼクティブでは、角野氏が登壇する「NTTDATA Innovation Conference 2011」に特別協力しています)

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