「可能性を追求する偉大な一歩」――NECとLenovoの提携の意義

PC事業で合弁会社を設立するNECとLenovoが会見を行い、NECの遠藤信博社長は「シナジーとスケールメリットを生かした“ポテンシャル”を追求する」と表明した。

» 2011年01月27日 22時59分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 NECとLenovoは1月27日、同日発表した合弁会社設立に関する記者会見を行った。NECの遠藤信博社長とLenovoのヤン・ユアンチンCEOは、合弁会社設立について「戦略的提携を実現する偉大な一歩」と強調した。

戦略的提携を発表したNECの遠藤信博社長(右)とLenovoのヤン・ユアンチンCEO

 会見の冒頭、遠藤氏は「世界シェア4位のLenovoと国内シェア1位のNECが組むことで大きなシナジーが生まれ、市場に新たな“ポテンシャル”を築くことができる」と語った。遠藤氏が掲げたシナジーは、(1)開発連携による製品力の強化、(2)スケールメリットを生かした価格競争力の強化、(3)NECの法人向けPC事業の海外展開――の3点。

PC事業での合弁会社設立のスキーム

 (1)および(2)については、品質や信頼を強みとするNECのPC技術と、「ThinkPad」で培った堅牢性などLenovoのPC技術を連携させることで、「顧客ニーズを満たす新たな製品を創造できる」(遠藤氏)という。NECは、Lenovoのサプライチェーンを活用することで、コストを抑えながら付加価値の高いPCを提供し、市場優位性を確保するのが狙いだ。

 また(3)では、海外進出をしている2万2000社以上の日系企業の需要獲得に着手する。「法人ビジネスは国内市場に特化していた。世界中のLenovoの拠点を活用することで、日本企業のグローバル化をサポートできる環境が整う」(遠藤氏)としている。

 ユアンチン氏は、「中国に続いて世界3位の規模を持つ日本のPC市場でもトップシェアに躍進する」とコメント。世界シェアで上位の米Hewlett-Packard、米Dell、台湾のAcerを追撃する同社のグローバル展開において、NECとの戦略的提携が非常に重要なものであることを強調した。また同氏は、遠藤氏が掲げたシナジーに加え、NECの持つ法人ビジネスのノウハウが2社のグローバル展開の鍵になるとの見方を示した。

 PC事業を足掛かりに、2社では戦略的提携の範囲拡大についても検討を進める。会見ではタブレット端末や企業向けサーバ製品が挙げられたが、その理由を遠藤氏は、「クラウドビジネスはサービスとIT基盤、アクセスするデバイスの3つの要素で成り立つと考えており、特にデバイスはクラウドの成否を握るポイントだ」と語った。

 NECは2012年度を目標とする中期経営計画「V2012」の中で、クラウドサービスを通じた事業拡大を標榜しており、遠藤氏はLenovoとの戦略的提携が「V2012の中でも重要なもの」と述べている。

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