次の25年を刻む第一歩――日本マイクロソフトが会見

2月1日付で社名変更と本社移転を行った日本マイクロソフトの樋口泰行社長が、直近の事業動向や今後の抱負を語った。

» 2011年02月01日 19時47分 公開
[國谷武史,ITmedia]
樋口泰行 代表執行役社長

 日本マイクロソフトは2月1日、同日付で行った社名変更(マイクロソフト)と本社移転に関する記者会見を行い、代表執行役社長の樋口泰行氏が直近の事業動向や今後の抱負などを語った。

 同社は2011年に設立25周年を迎える。樋口氏によると、社名変更とオフィスの統合は5年ほど前からの懸案事項だったという。「25周年の節目に新しい環境で新たなスタートを切ることができた。次の25年に向けて日本でのビジネスをさらに伸ばしていきたい」と語った。

 社名変更は、「企業市民として日本の社会により貢献していく意思を表すため」(樋口氏)。社内での反応は概ね良好とのことで、特に企業向けビジネスを担当する部門では顧客企業の認知度向上に貢献するとの意見が寄せられたという。樋口氏は、「日本」という言葉にこだわる理由に「日本品質」や「グローバル化」も挙げた。「多くの企業顧客が優れた日本品質をキーワードに海外進出を進めている。当社はグローバル企業だが日本マイクロソフトとしては、日本ならでは“味付け”で日本の企業を支援していく立場だ」と強調している。

 新本社はJRと京浜急行の品川駅に隣接する「品川グランドセントラルタワー」。モバイル向け製品の開発を手掛ける「調布テクノロジーセンター」(調布市)と、企業向けシステムの検証を行う「大手町テクノロジーセンター」(千代田区)を除く5カ所のオフィスを統合した。

 品川を選んだ理由は、(1)大手PCメーカーの本社所在地に近接、(2)大手企業顧客の拠点に近接、(3)交通の要衝地――という。「パートナーや主要顧客の7〜8割が近隣に集中している。新幹線や空港へのアクセスも良く、リニア(中央新幹線)も計画されているなど、品川は日本のビジネスの中枢になる」(樋口氏)と、立地の将来性を見込んでの判断だった。

 また樋口氏によると、本社移転前は社員のオフィス間の移動が1カ月に5500回も発生していた。移動に伴う時間や交通費といった直接的なコストに加え、コミュニケーション効率の悪化をもらしていた。今後はこうした損失が解消され、社員の生産性向上を見込む。樋口氏は、ユニファイドコミュニケーションのようなソリューションの実践を推進し、「新しいテクノロジーを使ったワークスタイルの変革を顧客企業に提案してきたい」と述べた。

 直近の業績について、同社の2011事業年度の上期(2010年7〜12月)は2けた増になり、Microsoftの地域別ビジネスでもトップの成長率を達成した。この要因は、2009年9月に発売したWindows 72010年6月に発売したOffice 2010の企業向け販売が好調に推移したこと、また、樋口氏が社長就任以来取り組んできた企業向けビジネスの強化が成果を出し始めたためという。「本社の支援もあり、過去3年間で“営業力のエンジン”となる人材の育成や採用が進めることができた」(樋口氏)

日本での事業動向とグローバルでの状況

 下期(2011年1〜6月)も順調な事業展開を見込む。樋口氏は、2010年7月に表明した経営方針に基づき、下期もクラウドコンピューティングに注力していくと表明。また具体策については明言を避けたが、タブレット端末やスマートフォン事業について、「遅まきながら巻き返しを図っていく」とコメントした。

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