ビジネスコミュニケーション進化論(前編)大競争時代を勝ち抜くワークスタイル(2/3 ページ)

» 2011年02月08日 07時30分 公開
[米野宏明,日本マイクロソフト]

第3のコミュニケーションツール

 現在の姿のままの電話を再びコミュニケーションの主役に戻すのは、もはや不可能でしょう。それなら、電子メールの利点を維持しながら、同時に問題点を解消していくしかありません。その鍵となるのが「インスタントメッセージング(IM)ツール」です。

Microsoft Lyncのビデオチャット画面

 IMは、インターネットの世界では既に普及した技術なので、ご存知の人も多いでしょう。例えば「Windows Live Messenger」というツールなら、インターネットに接続している人同士でリアルタイムにテキストチャットや音声、ビデオでの通信、ファイル転送などができます。このほかにも、「Yahoo! Messenger」や「Google Talk」といったツールも広く使われています。しかし、これらのツールをそのまま企業内で利用すると、セキュリティや統制の観点から問題視される場合があります。安全と統制を確保した環境の中で自由なコミュニケーションをするためには、企業向けのツールを使うことが求められます。

 IMツールには通信手段だけでなく「プレゼンス」という状態表示機能が搭載されています。これがコミュニケーションを変える鍵になります。通常は、ユーザーがPCを操作していることをツールで検知して、そのユーザーに連絡がとれる状態にあることを「青」信号として相手に表示します。PCの操作が中断されてしばらくすると、退席状態を示す「黄」信号に変わります。その時間帯に別のスケジュールが入っていたり、誰かとコミュニケーション中だったりした場合には、連絡ができない状態であることを示す「赤」信号に変わります。ユーザーがツールを起動していない場合は、オフラインを示す「透明」な信号が表示されます。コミュニケーションを始める前にこれらの信号を確認すれば、相手の状態をある程度知ることができます。

Microsoft Lyncのプレゼンス画面

 そして、これらの信号表示が自動的に変更されるという特徴も備えます。オフィスの中に自分の居場所や戻り時間を手書きする「行き先掲示板」を設置していたり、それを電子化したグループウェアのツールを利用したりすることがあります。特に営業系の部署では何らかの形でほぼ導入されているでしょう。しかし、これらのツールは情報の書き換えが面倒なため、必ずしも頻繁にアップデートされるとは限りません。人によっては、その頻度もまちまちです。こうなるとツール全体としての精度が下がってしまいます。

 「プレゼンス」機能が相手の状況を自動的に示してくれれば、「会議中」や「外出中」といった程度の粗い情報であっても、適切なコミュニケーションの方法を判断できるようになります。さらに、電話の欠点である「相手の状況が分からない」ことでの発信者のストレスを解消できるようになります。

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