自動階層化でデータの最適利用を実現する――IBM Storwize V7000の新発想ハイエンドの機能をミッドレンジに凝縮

ストレージの仮想化はサーバの仮想化に先駆けて実用化された経緯がある。その新機能はハイエンド製品から実装されたため、手が届かないという印象を抱いているユーザーが少なくない。だが、日本IBMは多くのユーザーにそのメリットを享受してもらうために、仮想化技術のミッドレンジ製品への実装にも積極的に取り組む。そして、ストレージの機能を最大限に引き出すソフトウェアを組み合わせた「バンドル・ソリューション」も提供する。

» 2011年02月23日 10時00分 公開
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 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、自由度の高い階層管理を実現し、ミッドレンジクラスでも仮想化によるストレージ統合を実現できる意欲的な新製品として「IBM Storwize V7000」を提供している。同製品の意義や日本IBMの仮想化技術への取り組みについて、システム製品テクニカル・セールス ストレージ・テクニカル・セールス ソリューション担当部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの佐野正和氏に聞いた。

ストレージ仮想化の意義

日本IBM システム製品テクニカル・セールス ストレージ・テクニカル・セールス ソリューション担当部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 佐野正和氏 日本IBM システム製品テクニカル・セールス ストレージ・テクニカル・セールス ソリューション担当部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 佐野正和氏

 一般的に、小さな容量のストレージを多数用意するよりも、大きな容量のストレージにまとめた方が容量効率が上がることが知られている。現在はそれをどのように実現させるかがユーザーの課題だ。効率面では、ストレージを1つの巨大なプールにまとめてしまえば投資対効果の観点からも最良になるが、あらゆる用途に対して1つのストレージ・プールで対応するのがよいのかということに関しては別の視点がある。

 例えば、契約書とメモ用紙を同じ場所に置くことはないだろう。契約書は金庫に保管し、メモ用紙は机の上に置く。それと同様に、データの重要性や利用形態に差があることがあらかじめ分かっている場合は、すべてを単一のプールに格納するよりも、階層化してそれぞれの置き場所を用意するのが効率的だ。

 Storwize V7000は階層化を実装し、重要なデータとそうではないデータを分けて格納するタイプのストレージである。機能面では、従来から提供されていた「SVC(SAN Volume Controller)」の仮想化機能や、ハイエンドストレージ製品である「XIV」や「DS8700」などの機能をミッドレンジ製品に取り込んだ形だ。

 V7000では、2.5インチまたは3.5インチのドライブを搭載でき、2.5型の場合は最大で240台まで搭載できる。2テラバイトのドライブで構成した場合は、最大容量が240テラバイトとなる。仮想化に対応してSSDと2.5インチSAS HDD、3.5インチのNear Line SAS HDDの3種類のドライブを選択できるため、単独で3階層の階層化を実現できる。さらに、仮想化機能として他社製品を含むファイバチャネル接続のストレージを配下に接続してプールに組み込むことが可能だ。接続可能なストレージは150種類もあり、業界でも最多クラスとなっている。外付けのストレージに対しては、管理者が階層を指定することで自動階層化の機能を活用できる。

 V7000には、自動階層化機能として「Easy Tier」を実装している。データへのアクセス状況を監視し、頻繁にアクセスがあるデータをより高速な階層に自動的に移動するため、管理者が手間をかけることなく高速化が行われる自動チューニング機能だ。従来は価格が1億円以上するようなハイエンドモデルに実装されていた機能だが、V7000ではミッドレンジ製品に組み込んでいる。

 PC市場ではSSDに注目が集まりつつあるが、エンタープライズ市場ではSSDの利用率はまだ低い。その理由はまだ価格が高く、ギガバイト当たりの単価はHDDの3〜4倍にもなる。エンタープライズ市場向けのHDDも高速性にも優れるが、多くのユーザーにとっては、より高速なSSDが価格に見合うメリットを提供してくれるものであるのか分かりにくい状態だ。だがEasy Tierを使えば、SSDの価値を明らかにすることにも貢献する。

ハイエンドモデルの機能をミッドレンジクラスに凝縮させた「Storwize V7000」

 Easy Tierでは、1台でもSSDドライブがあれば、ここに最も頻繁にアクセスされるデータを自動的に移動し、アクセスを高速化する。よく使われるデータがSSDに置かれることによる体感速度の向上は相当に大きなものであり、ユーザーはSSDの導入価値を体感を伴った形で理解できるだろう。データの階層間での移動は稼働中でも無停止で行なえる。これは、V7000の筐体内部での階層間だけでなく、外部接続するストレージとの間での移動も同様だ。

アーキテクチャの進化

 V7000は、従来ハイエンドストレージに実装されていた各種の先進機能などをミッドレンジに実装したことで、高いコストパフォーマンスを誇る製品となっているが、自動階層化と他社製を含む外部ディスクも仮想化するストレージとして設計されているという点では業界初と言えよう。

 かつて、メインフレームの時代にはごく少数のメインフレームに多数の周辺機器が接続されていた。数の分布で見ると、三角形のピラミッド構造の分布になっていた。この場合は、少数のメインフレームから多数の周辺機器を制御する、というアーキテクチャによって容易に管理ができる。しかし、現在のIAサーバ中心のアーキテクチャでは、サーバの数が膨大に増えている。ブレードサーバなどがずらっと並び、さらにサーバ仮想化によって各ブレード上で複数の仮想サーバイメージが稼働するような状況だ。一方でストレージは効率を考えてプール化が進み、その数が少なくなりつつある。その分布は、逆三角形型になっているのだ。

 この状況では、かつてのようにサーバがストレージを管理するというのは無理がある。ストレージの運用管理の際などに、どのサーバに影響が及ぶかを正確に把握することも難しく、ストレージで何か作業を行うたびにサーバを止めなくてはいけないようだと到底管理しきれない。その点、V7000ではデータの移動も無停止で透過的に実行できるため、サーバ側に影響を与えない。こうした点も、最新のシステムアーキテクチャを踏まえた設計となっている特徴だ。

 特にパフォーマンスや容量の監視などは、従来は各OS単位に実施していたが、現在では数多くのOSがユーザー環境で稼働しており、その種類も多い。このような環境では各OS側からストレージの管理や運用を行うことは難しい。運用手順も煩雑となる。このため、ストレージの運用管理などは「TPC(IBM Tivoli Storage Productivity Center)」などを使って、一元的に集中管理できるようになっている。

 V7000では、階層化に特化した設計として、Easy Tierによる自動チューニング機能に加えて、管理者が手動で任意のデータを任意の階層に移動させることもできる。自動/手動の両方のデータ移動をサポートしているストレージは業界でも初めてだろう。Easy Tierはデータへのアクセス状況を分析して階層を移動するので、いわば過去の実績に基いて配置を行う。一方で、現在は全くアクセスされていないが、アクセスが急増することが予想できるという状況もあり得る。例えば、オンライン・ショッピング・サイトなどでは、人気の新製品を発売すれば、その製品の購入ページにアクセスが殺到することが容易に想像される。こうした状況では、あらかじめ必要なデータを高速な階層に移動させておくことで、最初のアクセスから高速化できる。

予測可能な業務負荷に対応したディスク階層の利用

 さらに、「シン・プロビジョニング」機能もサポートしており、特にプール化と組み合わせて利用することで大きな効果が期待できる。従来のストレージでは、一度割り当てた容量を変更するのは容易ではなく、容量不足が生じた場合での対応の運用管理工数は多大なものになる。これを避けるためにあらかじめ十分な余裕を見込んだ容量を割り当てると、今度は未使用領域が断片化して容量効率を悪化させてしまう。

 シン・プロビジョニングを利用することで、各サーバに対しては十分な領域を割り当てておくことができるようになり、容量不足に対応するための運用管理工数の削減が可能になる。実際に未使用分のディスク容量を割り当ててしまうわけではないので容量効率は悪化せず、プール化による高効率性がそのまま生かすことができる。

多彩な標準ソフトと「バンドル・ソリューション」でコストを削減

 V7000では、ストレージのシン・プロビジョニング、Easy Tierのほかにも、FlashCopyなどの高度な機能が多数実装されている。従来のストレージ製品では、こうしたストレージソフトウェアの機能は有償オプションとして提供される例が多いが、V7000では標準で利用でき、機能を使うための追加費用が発生しないよう配慮されている。有償オプションとなっているのは、外部ストレージ機器の接続と、遠隔コピー機能の2つの機能のみだ。これらは、検証にコストを要するなどの理由で有償のまま残されているが、従来製品と比較すればユーザーのコスト負担は抑制されている。

 さらに、製品機能以外の面でも日本IBMではコスト削減に取り組んでいる。具体的には、ユーザーのデータアクセスのパターンや将来の容量予測などのデータを収集した上で緻密なシミュレーションを実施し、その結果に基づいてストレージ製品のモデル選択やサイジングを行なっている。こうしたシミュレーションを実施している例は業界でも珍しいのだが、これによってユーザーが必要とする最適なストレージを高精度に判断できるため、オーバークオリティ/オーバーサイズな製品を導入してしまうことはほとんどないという。こうした精度の高いコンサルティングができる点は日本IBMの強みでもあり、ユーザーは必要のない製品を導入することを避けて必要最小限のシステムを構築できる。結果として、コストを抑制できるようになっている。

 V7000では、さらに有利なバンドル・ソリューションも提供している。Tivoliブランドで提供するソフトウェアで、ストレージ側のFlashCopy機能と連携してアプリケーションの無停止バックアップを実現する「IBM Tivoli FlashCopy Manager」と、ストレージの利用状況の管理とモニタリングを行ない、時系列での情報分析などが行なえる「IBM Tivoli Storage Productivity Center」(TPC)をStorwize V7000と組み合わせ、さらに「導入サービス」「拡張保守サービス」を提供する「IBM Storwize Rapid Application Storage(RAS)」が新たに提供開始された。

 こうした施策を活用すれば、運用管理の負担を大幅に軽減して容量効率を向上できる上に、初期導入コストも下がる。ミッドレンジ製品の導入を検討しているユーザーにとっては朗報であろう。

バンドル・ソリューションを活用すれば管理の生産性が最大2倍、ディスク使用率が最大30%、データ保護レベルが最大95%にそれぞれ向上するという

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